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不動産が中国経済の重荷に 恒大の最終赤字、2年で11兆円 冷える住宅需要、デフレリスク懸念 2023/07/19

不動産不況が中国経済の重荷になっている。経営再建中の不動産大手、中国恒大集団は2年間合計で約5800億元(約11兆2000億円)の最終損益の赤字を計上した。中国は人口減少社会への転換や雇用不安で、国民の住宅購入意欲が減退している。習近平(シー・ジンピン)指導部が政策対応を誤れば、日本型デフレのリスクが高まる。

恒大が17日発表した2021年12月期連結決算は4760億元の最終赤字、同22年12月期は1059億元の最終赤字だった。中国紙の第一財経日報(電子版)によると中国企業で過去最大の赤字という。

主因は開発用不動産の評価減だ。2年間合計で3800億元近くの評価減に、金融資産の減損損失などが加わり赤字額が膨らんだ。評価を見直したのは「住宅市場全体の環境が下振れしたため」(同社)という。

1996年創業の恒大は資材調達などのルールを整えて原価を抑制、中所得層向け住宅の需要取り込みに成功した。2010年代半ばには売上高で世界トップクラスの不動産会社となり、創業者の許家印・董事局主席は中国を代表する企業家、富豪として名をとどろかせた。

20年夏、中国人民銀行(中央銀行)が不動産大手に財務指針「3つのレッドライン」を設けて監視を強化すると風向きが変わる。負債比率などによって資金調達の規模を制限するもので、金融機関の貸し渋りに直面した恒大は経営難に陥った。

消費者は建設の頓挫を恐れて恒大物件を買い控え、20年12月期に5000億元を超えていた売上高が22年12月期には約2300億元に半減した。信用不安に起因する販売不振は恒大に限らない。国家統計局が17日発表した6月の不動産販売面積(1~6月の累計値から算出)は前年同月比28.1%減と5月(同19.7%減)から減少幅が拡大した。

同統計局が18日発表した23年4~6月の業種別国内総生産(GDP)でも不動産業は前年同期比1.2%減少した。22年春に上海がロックダウン(都市封鎖)を実施した反動で他業種の前年同期比増加率が1~3月から拡大したのと対照的に不動産業だけ増加から減少に転じた。「ゼロコロナ」政策の終了で23年1~3月はプラスになったが、長続きしなかった。

中長期的には家不足時代から家余り時代への転換という根本的な問題が潜む。民生証券研究院の試算では中国の家庭1戸当たり住宅保有数は24年に1.02戸となり、節目の1戸を超える見通し。

これに総人口の減少、一人っ子政策による複数住宅の相続が加わり、国民が競って住宅を購入した2000~10年代のような熱気は乏しい。人民銀が4~6月期に2万人を対象に実施したアンケート調査では、今後3カ月以内に住宅購入を予定するとの回答は16.2%にとどまった。

中国政府は22年11月に不動産市場への金融支援策を発表したが肝心の住宅購入が振るわず早くも息切れしている。

民営不動産開発会社の資金繰りは厳しい。格付け大手フィッチ・レーティングスは13日、中国商業施設運営最大手、大連万達集団(ワンダ・グループ)のグループ会社、大連万達商業管理集団の長期外貨格付けをダブルBマイナスからシングルBに格下げした。格下げを受けて、「恒大ショック」時のように米ドル債の利回りは再び上昇(価格は下落)している。

中堅不動産の佳兆業集団は10日、債権者が佳兆業の清算を求めていると明らかにした。

(上海=土居倫之、広州=比奈田悠佑、北京=川手伊織)

(日本経済新聞)

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