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世界のREIT時価総額、2年ぶり減少率 揺らぐインフレ耐性 3月末、前四半期比5%減の2.5兆ドル 2022/04/19

世界の不動産投資信託(REIT)への投資が鈍り始めた。世界のREITの時価総額は3月末時点で2.5兆ドル(約310兆円)と、2021年12月末比で5%減少した。減少率としては8四半期ぶりの大きさとなる。米国の急速な利上げ観測で景気の減速懸念が拡大。REITの強みとされるインフレ時の賃料への転嫁も難しくなり、「耐インフレ」資産としての評価が揺らぎ始めた。

QUICK・ファクトセットによると、3月末のREITの時価総額の減少率は、四半期ベースで26%悪化した「コロナショック」の20年3月末以来の大きさとなった。

22年から米連邦準備理事会(FRB)による利上げ観測が強まり、景気減速の懸念が増している。景気が悪化すれば物流施設からホテルまで不動産の利用は落ち込む。新規の不動産開発投資も縮小して、REITには逆風となる。

インフレに強い、という評価も景気減速懸念によって変わりつつある。REITの収益源は賃料収入で、電気代などのコスト上昇を契約改定によって比較的転嫁しやすいとされる。景気過熱に対応するこれまでの利上げ局面では「REITの相場は一時的に下落するものの、景気の強さで賃料が上昇するのに伴い回復する」(三井住友DSアセットマネジメントの秋山悦朗リートグループヘッド)など、「耐インフレ」資産として評価されてきたが、賃料を引き上げる前提となる景気は足元で減速懸念が強まるばかりだ。

既に4月上旬には市場が景気後退のサインとみなす米2年債利回りが10年債を上回る「逆イールド」が発生した。米バンク・オブ・アメリカによる4月の機関投資家調査では、景気後退とインフレが続く「スタグフレーション」を予想する比率が7割と、リーマン・ショック直前の08年8月以降で最も高くなっている。

金利上昇もREITにとってはマイナス材料だ。REITは資金を借り入れて物件を取得することが多く、金利上昇は利払い負担の拡大に直結する。賃料への転嫁が進まなければ、投資家への分配金が減る可能性がある。米REITの予想分配金利回りは3%台前半にとどまる一方、金利の指標となる米10年債利回りは急ピッチで上昇し足元では2.8%を突破した。

収益悪化懸念と金利上昇のダブルパンチで、投資評価の目安である10年債との利回り差は1年で5分の1に縮まっている。「『高利回り商品』としてのREITの魅力は薄まっている」とみずほ証券の大畠陽介シニアアナリストは分析する。

地域別に見ると、時価総額ベースで全体の7割を占める北米市場は3月末時点で21年12月比で6%減の1.8兆ドルとなった。日本を含むアジア(3%減)、欧州(3%減)を上回り減少率が最も大きい。

米国の保有物件の分野別ではデータセンター(14%安)や電波塔などのインフラ(12%安)、倉庫や物流といった産業施設(6%安)などで価格の下落が目立つ。新型コロナ下でも需要が見込め急成長してきた分野でブレーキがかかった。三井住友DSの秋山氏は「これまでの成長の反動もあるが、インフレや景気減速による業績の悪化懸念が意識されている」と指摘する。

データセンターを運営するREITのデジタル・リアルティー・トラストは時価総額が20%減少した。米国内外で電波塔や携帯電話の基地局などを保有し、個別銘柄として時価総額が最大のアメリカン・タワーも14%減少と苦戦している。

4月に入ってREIT相場はやや持ち直しているが、米国の標準的な住宅ローン金利が11年ぶりの高水準になるなど、好調だった住宅分野も転機を迎えつつある。みずほ証券の大畠氏は「ここ数カ月の価格下落で今後2、3年かかる利上げ局面の全てを織り込んだとはいえない」と指摘。当面、REITの上昇余地は限られるとみる。

(日本経済新聞)

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