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世界最大級ヘッジファンド エリオット、最悪の金融危機を警告 株式市場、さらに下落も 2022/11/18

世界最大規模のヘッジファンドの一つであるエリオット・マネジメントは、世界は「ハイパーインフレ」に向かっており、第2次世界大戦以降で最悪の金融危機に突入する可能性があると警告した。

富豪のポール・シンガー氏が創設した米南部フロリダ州に本拠を置くエリオットは、約560億ドル(約7兆8000億円)の運用資産を抱え、業界で最も大きな影響力を持つとされる。

エリオットは顧客向けレターの中で、現在は世界経済や金融市場にとって「著しく厳しい」環境にあり、投資家は収益を得るのが困難になっていると指摘した。

資金コストが低い時代は幕を閉じ、「第2次大戦前後のどんな時期にも見られなかった一連の出来事が起き得るようになった」ことで、こうした「極端な」金融環境が生まれたとの認識を示した。フィナンシャル・タイムズ(FT)はこのレターを確認した。

エリオットはさらに、投資家は1970年代の弱気相場や石油ショック、87年の(ブラックマンデーでの)暴落、(2000年代初めの)ドットコムバブル崩壊、08年の金融危機などを経験したからといって「『すべてを経験した』と思い込んではならない」と付け加えた。エリオットはコメントを控えた。

エリオットの警告は、市場にとって悲惨な1年になる中で出てきた。ブルームバーグのデータによると、世界の株式は今年になって時価総額が28兆ドル減少したほか、債券価格も下落し、投資家にとって資金を逃避させる場所がほとんど見当たらなくなっている。

同社は危機を招いた責任の多くは中央銀行の政策当局者にあると指摘。中央銀行は高インフレについて、20年の新型コロナウイルス危機の最悪期に実施した超緩和的な金融政策ではなく、コロナ禍に伴うサプライチェーン(供給網)の目詰まりが原因だと説明し、「不誠実」な行動をとってきたと強調した。

さらに、世界は「ハイパーインフレに向かっている」とした上で、それが「世界的な社会の崩壊や、内乱および国際的な紛争」につながりかねないと指摘。実際にそうなるかどうかは不明確だが、世界はそうした方向に向かっているとの見解も示した。

各国の中央銀行が競って高進するインフレ率の抑制を試みる中、投資家は米国や他の国々での急速かつ大幅な利上げがもたらすであろう経済的ダメージを把握しようとしている。

米株式市場ではS&P500指数が今年初めのピークから20%下落しているほか、ナスダック指数は1年前につけた高値から3分の1下がっている。

しかし、エリオットは、多くのリスクが存在することを踏まえれば、市場はまだ十分に下落していないとみている。ここ数年の強気市場のピーク付近で見られた、投資家の高揚感があらゆるリスク資産価格を押し上げた「無差別的な上昇相場」の巻き戻しがさらに進行する可能性があると警告した。

多くの「おそろしく、非常にネガティブなことが起きる可能性」があるため、「あらゆるバブルの深刻な巻き戻し」が起きると考えないのは難しいという。

エリオットは、ピークから底までに50%下落することは「正常」だと予測しており、主な株式市場がさらに大きく下落する可能性があることを示唆しているが、実際にそれが起きるかどうか、いつ起きるかを予測するのは不可能だと付け加えた。

エリオットは現時点で、22年に6.4%のリターンを上げており、1977年の設立以来、暦年ベースでリターンがマイナスとなったのは2回しかない。同社は市場の下落に拍車をかけかねない潜在的なストレスがかかる分野がいくつかあると指摘した。特に、つなぎ融資に絡む銀行の損失、ローン担保証券(CLO)、借り入れを伴うプライベートエクイティ(PE=未公開株)の評価額が切り下がる可能性を上げた。

市場の下落は常に短期間で収束し、「無視」しても構わないと考える投資家についても批判し、「『前にも経験しているからパニックにならない』という考えは、現在の事実とは相いれない」と指摘した。(3日付)

=英フィナンシャル・タイムズ(FT)特約

(日本経済新聞)

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