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世界REIT「全部売り」 上半期で時価19%減 景気後退を懸念、不動産需要悲観 2022/07/05

世界の不動産投資信託(REIT)からの資金流出が加速している。時価総額の合計は6月末で2.1兆ドル(約290兆円)と2021年12月末から19%減った。世界中で急激な金融引き締めが進み、景気後退の現実味が増している。インフレに比較的強いとされる不動産も需要減への不安が強まり、物流や経済再開期待から持ち直していたホテル・オフィスを含めて「全部売り」の様相となっている。

QUICK・ファクトセットのデータを基に算出した。半期の時価総額減少率としては新型コロナウイルス感染拡大初期の20年1~6月(16%安)を超え、リーマン・ショック期の08年7~12月(37%安)以来の水準となった。四半期ベースでみると22年4~6月は16%安と、1~3月(4%安)から下落が加速している。

個別では4~6月に全体の9割にあたる750銘柄で時価総額が下がった。1~3月は6割の減少にとどまっていた。国・地域別で減少したのは45カ国・地域中40に上った。

市場規模が最大の米国で、代表的なREITや不動産株の指数である「FTSE・Nareit不動産指数」を業種別でみると、6月末時点で21年末比で全て下落している。

下落率が最も高いのがオフィスで21年末比29%安となった。景気後退懸念が増した4~6月に下落に転じた。米労働省によると米オフィスの賃料上昇率は5月に前年同月比で2.6%。8%台の高水準が続く消費者物価指数(CPI)の伸びを下回るなど、実質的な値下げ状況に陥っているとみられる。

コロナ後も出勤と在宅勤務を組み合わせた働き方が定着し、コロナ前ほどのオフィス需要は戻らないとの見方も重荷になっている。米不動産調査会社のクッシュマン・アンド・ウェイクフィールドによると、米オフィスの空室率は1~3月に17.5%と20年のコロナ感染拡大直後から上昇し続けるなど「借り手」優位の状況が続く。

物流施設が27%安と続いた。コロナ禍の巣ごもり需要を捉えて21年通年では59%高とREIT全体をけん引したが、ここに来て成長が鈍化している。代表格の米アマゾン・ドット・コムは22年12月期の通期売上高見通しが市場予想で前期比11%増と、21年12月期実績(22%増)から急ブレーキがかかる。同社は4月にこれまで拡張してきた物流倉庫に余剰感が出ているとして「規模の拡大は追わない」と表明している。

ホテル・リゾートは16%安だ。コロナ後の需要回復を見込み、年初からおおむねプラス圏で推移していたが、米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げへの警戒が進んだ6月上旬から一気に下落した。景気悪化懸念から消費者の財布のひもが締まり、旅行や出張需要が減るとみられている。景気に業績が左右されにくい病院や高齢者向け住宅などのヘルスケアも12%安に沈んだ。

REITは21年まで好調だった。世界のREITの値動きは21年7~12月に10%高と、世界株の上昇率(6%高、MSCI算出)を上回っていた。当時もインフレ圧力はじわりと高まっていたが、経済回復期待に加え、不動産は契約更改のタイミングで賃料を上げやすいため、株式などほかのリスク資産に比べインフレの影響を受けにくいと捉えられていた。

だが22年に入ってからREITと株価指数(19%安)は軌を一にして下落している。景気悪化で不動産需要そのものが落ち込み、賃料転嫁も難しいとの見方が広がった。日本不動産研究所(東京・港)が世界14都市を対象に実施したオフィス賃料調査によると、8都市で4月時点の賃料が半年前から横ばいか下落だった。

金利上昇は投資家から見た配当の高さや安定性といった「債券代替」としてのREITの価値も下げている。QUICK・ファクトセットによると世界のREITの分配金利回りは足元で3%台後半。指標となる米長期金利も6月半ばに一時3%台半ばまで上昇し、REITの割高感が強まっている。REITは当面「底値を探る展開が続きそうだ」(三井住友DSアセットマネジメントの秋山悦朗リートグループヘッド)など慎重な見方が多い。

(日本経済新聞)

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