金融、コンサル、外資系の転職・求人なら人材紹介【アスパイア】

無料転職支援・
相談のお申し込み

簡単登録
(入力1分)
信頼度NO.1の人材紹介エージェント
  • pic

    Federal Reserve Board Chairman Jerome Powell

  • pic

    Wall Street sign near New York Stock Exchange

株価時価総額最新情報

Stock price market capitalization latest information

中国の民間時価総額、2年半で6割減 「国進民退」続く 2024/02/05

【北京=川手伊織】中国の民間企業の時価総額が、2023年末までの2年半で6割減少したことが明らかになった。国有企業が幅を利かせて民業を圧迫する「国進民退」が止まらず、生産や投資も国有企業ほど伸びない。政府によるIT(情報技術)業界への統制強化が民間企業の不振につながったとの見方が多い。

米ピーターソン国際経済研究所が国内外に上場し、時価総額でトップ100社の中国企業を分析した。国の支配が50%を超す国有企業の比率は23年末時点で50%に高まった。5年ぶりの水準だ。

アリババ集団や騰訊控股(テンセント)などIT業を中心とした民間の成長で21年6月末に31%に下がった後、上昇に転じた。

これに対して、同10%未満と定義した民間企業の比率は低下した。22年末に国有企業の比率を下回り、23年末は37%にとどまった。ピーク時に4兆7450億ドル(約700兆円)あった民間企業の時価総額が2兆ドル未満に減ったためだ。

個別にみると、アリババやテンセント、出前アプリの美団など大手プラットフォーマーが2年半で5〜7割減と大きく落ち込んだ。

当局は20年秋以降、IT業界の監督強化に踏み切った。アリババ創業者の馬雲(ジャック・マー)氏が政府批判とも受け取れる発言をしたのがきっかけとみられる。技術革新のペースが鈍るとの懸念からマネーは中国テック株から離れた。

民間の不振はIT業界だけではない。製造業など工業企業が23年に稼いだ利益総額をみると、民間企業は2兆3400億元(約48兆円)だった。国有企業より4%多かった。15〜16年には2倍以上の差があったが年々縮小している。

先行き不安から事業拡大にも及び腰になっている。民間の固定資産投資は23年、前年比0.4%減と通年で初めてマイナスになった。地方政府主導のインフラ投資などの恩恵にあずかりやすい国有企業が6.4%増えたのと対照的だ。

みずほリサーチ&テクノロジーズの月岡直樹主任エコノミストは「ゼロコロナ政策や政府の産業界への統制強化など政策要因がトラウマとなり、民間全体のマインドが大きく低下している」と分析する。

就業者の8割が民間企業で働くだけに、民間企業の不振は雇用や所得の回復を遅らせた。人材会社の智聯招聘によると、企業が求人で提示した月給は23年10〜12月まで3期連続で前年同期より少なかった。家計にも不安が広がり、経済全体の需要不足を招いた。

政府は民間企業の活性化に動き出した。中国人民銀行(中央銀行)など金融当局は商業銀行に対して、融資全体に占める民間企業向け比率を高めるよう指導。中国国家発展改革委員会は「民営経済促進法」の制定を急ぐ方針だ。

事業効率が低い国有企業が幅を利かせたままなら、経済全体の生産性が伸び悩む恐れがある。労働力人口の減少とともに中長期的な経済成長の重荷になる。

ただ習近平(シー・ジンピン)指導部は、共産党統治を揺るがしかねないとみたITや金融への締め付けを強めてきた。政府が景気停滞から抜け出すため民間経済の活性化を強調しても、国家安全という名目で企業への統制が再び強まる可能性は否定できない。

(日本経済新聞)

menu