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企業の監査法人交代、最多の228件 報酬安い中小に 2022/08/20

企業の決算書にお墨付きを与える監査法人の交代が増えている。2022年6月までの1年間で国内の上場企業による監査法人の交代件数は228件と比較可能な15年以降で最多だった。大手から監査報酬の安い中小への交代が目立つ。最近は企業の不祥事で監査法人が自ら辞任する例もある。金融庁は投資家にとって重要な監査の質を保てるかどうか懸念を強めている。

金融庁の公認会計士・監査審査会によると、21年7月~22年6月の1年間で国内の上場企業による監査法人の交代件数は228件(監査法人の合併による変更を除く)で、前年より21件増えた。近年は百数十件で推移していたが増加が目立つ。

大手から大手への変更などを除いた純増減をみると、トーマツ、あずさ、EY新日本、PwCあらたの4大法人で140件減少したのに対し、中小は109件増えた。大手と中小の間にあたる準大手は31件増えた。18年3月で16%程度だった中小法人のシェアは22年3月で20%を超えた。

パックご飯大手のサトウ食品は7月、トーマツから中小の監査法人A&Aパートナーズに変更した。監査法人に支払う報酬が増加傾向にあることなどを理由にあげた。監査報酬の増加を交代理由にあげる企業は多く、公認会計士・監査審査会によると交代理由としては「監査対応と監査報酬の相当性」が69件と最も多い。

監査法人は「会計基準の変化や開示量の拡充に対応するために、監査報酬を上げざるを得ない」(大手法人のパートナー)と主張する。一方、企業側は新型コロナウイルス問題やウクライナ危機の長期化で経営環境の先行きに不透明感が強まり、監査報酬の値上げを容易には受け入れにくい。

金融庁幹部は「大手監査法人による寡占の解消が進んでいることは望ましい。ただ中小が大手の受け皿になりうる体制はまだ整備されていない」と指摘する。金融庁は安易な監査法人の交代が監査上の問題の温床になりかねないとみる。

企業の会計監査を巡っては報酬以外の問題もある。医療支援のグローム・ホールディングスでは、子会社の不祥事などを理由に担当の監査法人が「監査チームの編成が困難」と辞任し、別の監査法人を起用した。

金融庁は5月に公認会計士法を15年ぶりに改正した。具体的には監査法人が上場企業の監査を担うにあたって、自主規制団体の日本公認会計士協会による登録を義務付ける。従来は自主規制の枠組み内でとどめていたが、法的拘束力を設けることで、中小監査法人の質を底上げする。22年度内にも施行する。

(手塚悟史)

(日本経済新聞)

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