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企業の脱炭素へ起債やM&A支援 みずほ証券、人員1.5倍に 野村は海外部門3倍、若手・中堅の派遣も 2023/11/28

証券会社が企業の脱炭素に向けた資金調達やM&A(合併・買収)支援に力を入れる。みずほ証券は2024年初めにも担当人員を50人と23年9月末比で約1.5倍にする。政府は脱炭素に今後10年で150兆円が必要と試算する。証券業界は日本株の売買手数料ゼロ化などで手数料の下げ圧力が強まっており、脱炭素を成長分野とみて人材を集中投下する。

政府は化石燃料からクリーンエネルギーへの産業構造の転換を目指す「グリーントランスフォーメーション(GX)」を掲げ、欧州のような一足飛びの脱炭素でなく、段階的に移行(トランジション)させる狙いだ。企業が必要な資金をどう調達するかが課題となっている。

証券各社が脱炭素関連の部署を拡充するのは、国内では資金調達などの案件が増えているためだ。日本証券業協会によると、23年1~9月の国内SDGs(持続可能な開発目標)債の発行総額は約4兆9000億円と通年で過去最高だった22年の約4兆5000億円を上回る。

みずほ証券はこのほど、取引先の脱炭素支援の案件を担う「サステナビリティ推進部」を拡充し、M&Aや証券化商品の担当チームと、大企業だけでなく中堅企業や地方自治体を担当するチームをつくった。23年9月末に30人強だった部門の人員を中途採用を軸に24年初めに50人まで増やす。エンジニアやコンサルタント、政府系機関などから採用し「取引先企業に専門的な提案をできるようにする」(森下修部長)。

SMBC日興証券は今春に脱炭素支援などを担う「サステナブル・ソリューション部」を投資銀行部門の直轄にした。もともとは引受部門の傘下にあったが、法人営業担当と連携しやすい体制にして株式調達やM&Aなど提案の幅を広げる。社員数の現状や目標は非公表だが「継続的に積極採用する」(悴田正則部長)。

野村証券は20年に脱炭素関連のM&Aや資金調達に強みを持つ助言会社、米グリーンテック・キャピタルを買収し、米国のほか、欧州やアジアで事業を広げている。「ノムラ・グリーンテック」のブランド名で活動する海外の脱炭素関連部門は23年3月末時点で約150人と3年間で3倍に増やし、今後も増員する。

足元では国内の若手・中堅社員数名を海外の脱炭素関連部門に派遣し、現地の資金調達やM&Aに関わるようにした。身につけた知見は将来、国内の案件に生かすようにする。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券も22年にESG(環境・社会・企業統治)案件を担う部署を設けた。大和証券は専門部署を構え、23年には政府が発行を計画する「GX経済移行債」の枠組み策定を助言した。

株式による調達も増えており、9月にはJFEホールディングスが増資と新株予約権付社債(転換社債=CB)で約2000億円を調達した。各社は主に債券引受部の傘下にあった脱炭素関連部署を「格上げ」し、取引先の財務や投資計画に応じた柔軟な提案ができるようにする。

脱炭素の投資は世界で拡大が見込まれ、国際エネルギー機関(IEA)はクリーンエネルギーへの投資額を30年までに年4兆5000億ドル(約660兆円)に増やす必要があると試算する。資本市場を通じて投資家の資金を日本企業に回し成長を促す好循環をつくれれば、脱炭素を巡る国際競争で優位に立てる可能性もある。

(和田大蔵)

(日経新聞)

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