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会社400年、歴史と未来図 マネー大循環が革新生む 2021/11/28

株式会社の歴史が始まって約400年。資本主義の発展とともに、株式会社はそのありようを変えてきた。近年では会社が富の蓄積と引き換えに、社会や地球環境に負荷をかけすぎたことへの反省から、ステークホルダー(利害関係者)の枠組みを捉え直そうという動きが広がり始めている。会社とは何か、歴史を振り返るとともに課題を整理する。

(日本経済新聞)

世界で最初の株式会社は諸説あるものの、最も一般的なのが1602年設立の「オランダ東インド会社」だ。東南アジアでの香辛料取引の会社として発足し、当初は一航海ごとに出資を募り、無事に船が戻ったら利益を出資者に配分して清算するというプロジェクトの性質が強かった。

その後長期にわたり確実な利益を得るため、海外各地に貿易拠点を作るようになる。投下した資金の回収には時間もかかる。将来大きくもうけるため、全ての航海を一つの事業とみなし、出資を募るようになった。会社は継続的に事業をするものとして、今日の株式会社の原型が生まれた。

株式会社が広まったのは、18世紀半ばの産業革命が大きなきっかけだ。蒸気機関の発明で経済活動の幅が広がり、起業家に対して資本家がお金を出して支援し、新しい技術や製品が普及していく構図ができた。19世紀後半になると石油や鉄鋼、自動車を中心とする第2次産業革命が起き、消費財の大量生産も始まった。

20世紀後半にはコンピューターやインターネットが登場し企業の経営効率が劇的に向上した。近年はあらゆるモノがネットでつながるIoT、人工知能(AI)も普及し、新事業を起こす企業が急増している。世界の上場企業は現在4万社超と、新陳代謝を繰り返しながらも過去50年弱で約3倍に増えた。

マネー大循環、革新を生む
株式会社とともに株式市場の歴史も古い。オランダ東インド会社設立と同じ1602年、取引所の起源とされるアムステルダム証券取引所が誕生した。会社の「所有権」である株式の売買がしやすくなり、資本家は会社に資金を投じ、会社はそれを元手に事業を広げ、お金を増やして還元する流れができた。

株式会社は調達資金を使い、人類の生活を変える発明品を次々と生み出してきた。特に現代では米マイクロソフトの「Windows」、米アップルの「iPhone」などが生活を一変させた。世界の国際特許出願件数は20年、コロナ下にもかかわらず約27万件強と過去最高を更新し、イノベーションへの取り組みがやむことはない。

株式会社に対し株主は資本効率の向上を求める。自己資本利益率(ROE)を重視した「ROE経営」への関心は高く、ROEを高め企業価値の増大につなげる企業は増えている。各国の緩和的な金融環境も影響し、世界の株式時価総額は拡大を続け、足元では100兆㌦(1・1京円)超と2000年以降の20年で約4倍に膨らんでいる。世界の名目国内総生産(GDP、80兆ドル台)を上回る規模だ。

ただ、成長期待の高い企業にお金が集中する傾向が強く、アマゾン・ドット・コムなど米ハイテク企業5社GAFAM(Fは旧フェイスブックで新社名はメタ)だけで日本の全上場企業を飲み込むほどだ。規律なき資本主義は富の偏在をもたらす。かつて19~20世紀に貧富の差が拡大し共産主義運動が起こったように、株式市場を中心とする資本主義には批判も出ている。

ESG時代、新たな姿へ
株式会社に対しては株主など一部の利益を重視するあまり、他のステークホルダーが置き去りにされているとの声も多い。日本では20世紀後半、大企業の工場が立地する地域で大気汚染などの公害が相次ぎ発生し、地元住民が訴訟を起こした例が少なくない。

会社が様々な開発を進めた結果、気候変動問題も深刻さを増し、脱炭素の取り組みは世界の関心を集めている。さらに、取引先を含む労働者の人権問題への対応も重要な課題となっている。持続可能な社会が求められるなか、企業はESG(環境・社会・企業統治)に軸足を置き、環境や社会に貢献するビジネスを加速させている。

会社は何のためにあるのか。会社の目的、存在意義を明確に掲げる「パーパス経営」がここにきて広がりをみせている。各社に共通するのは自然にやさしく、社会にやさしい会社像だ。持続可能な社会に向けてカイシャが変わり始めている。

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