金融、コンサル、外資系の転職・求人なら人材紹介【アスパイア】

無料転職支援・
相談のお申し込み

簡単登録
(入力1分)
信頼度NO.1の人材紹介エージェント
  • pic

    Jeff Bezos, president and CEO of Amazon

  • pic

    Former CEO of General Electric, Jack Welch

企業経営最新情報

Latest information on corporate management

会計士、志願2倍でも監査法人離れ 企業の引き合い強く 2023/09/20


監査法人で働く公認会計士はこの10年間で50%から40%まで減った=ロイター

公認会計士試験の志願者数が増えている。2015年を底に23年までの8年間で倍増し、12年ぶりに2万人台に乗った。非財務情報の開示強化や国際的な会計基準対応などで企業の需要が強く就職や転職しやすいためだ。一方、監査法人で働く会計士は10年間で5割から4割に下がっている。

金融庁傘下の公認会計士・監査審査会によると23年の志願者数は2万318人で、06年に新しい試験制度に移行後、最少だった15年の1万180人から倍増した。試験制度は20年近く同じで、合格率も10%前後のため難易度は変わらない。

資格試験の予備校関係者は新型コロナウイルス禍で自宅で勉強する人が増えた「コロナ特需」が起きていると指摘する。コロナ禍前の19年と比べると62%増えている。

もっとも、志願者数の増加傾向はコロナ禍前から続いている。公認会計士・監査審査会は「試験に合格すれば確実に就職でき、大手監査法人で働けることが学生に伝わっている」と分析する。22年の合格者の4割超が大学在学中の学生だった。

日本公認会計士協会によると、合格者の9割強はまず監査法人に就職する。3年以上の実務経験などを経て公認会計士として登録されるが、その後は、監査法人で働き続ける人もいれば、企業の監査や財務部門、スタートアップ企業の最高財務責任者(CFO)など転職の道も多い。

企業側も会計士資格を持つ人材を求めている。リクルートで会計系職種の中途採用・転職活動支援を手掛ける鈴木暁敦コンサルタントは「従来の経理や財務以外に、最近は経営企画や事業企画など経営の意思決定に近い部門での求人案件が多い」と話す。

大企業では国際会計基準(IFRS)対応や新規事業などで会計実務が求められる場面が増えている。PBR(株価純資産倍率)1倍割れ問題やサステナビリティー対応で財務・非財務問わず数字を使って投資家に分かりやすく開示する必要性も増している。

転職含みで就職先を検討する学生が増えていることも大きい。日本公認会計士協会の鶴田光夫副会長は「資格を持つことが就職やキャリアの武器になるという考えが学生の間で浸透してきている」と話す。

資格人気の裏で課題もある。監査法人で働く公認会計士の比率はこの10年で10ポイント以上下がり、23年3月末は40.6%になった。背景には企業の開示情報の拡充に伴い、監査業務の負担が増していることがある。報酬や家庭との両立で待遇のよりよい一般企業に転職したり、監査業務以外への異動を希望したりする例が増えているという。

適切な会計監査は安心して投資するためのインフラだ。資格人気が会計監査の担い手増につながっていない実情は資本市場にとっても深刻な問題だ。志願者の増加にあわせて合格者を増やす案もあるが、監査法人の働き方改革が先決かもしれない。

(関口由紀)

(日本経済新聞)

menu