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円安、98年危機以来の水準 一時135円台前半に 産業競争力の課題映す 2022/06/14

13日の外国為替市場で円相場が一時、1ドル=135円台前半まで下落した。金融不安で「日本売り」に見舞われていた1998年以来、約24年ぶりの円安・ドル高水準に逆戻りした。円安を招く構図は当時と様変わりした。浮かび上がるのは産業競争力を底上げしてこなかった日本経済のもろさだ。

円相場は対ドルで一時1ドル=135円22銭近辺まで下落した。今年の円の下落率は1割強に達し、世界の主要通貨で最も価値を下げた。
米欧でインフレが加速し、米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)が金融引き締めを急ぐ一方、金融緩和を続ける日銀との差が一段と鮮明になっている。海外と日本の金利差がさらに広がるとの見方から海外ヘッジファンドなどの円売りが勢いづいた。
円は2002年1月の安値を下回り、1998年10月以来の円安水準をつけた。当時は日本長期信用銀行が破綻し、金融危機下の日本売りが激しかったころだ。97年ごろから相次いだ金融機関の破綻の連鎖はなお止まらず、経済がデフレ局面の入り口に立ち、企業は投資を絞り、賃金抑制も始まりつつあった。
旧大蔵省(現財務省)は98年4~6月に計3兆円を超す円買い・ドル売り介入で異例の通貨防衛に動いた。それでも円は8月に一時147円台まで売られた。
現在、金融システムは強さを保ち金融不安に根ざす日本売りはみられない。一方でエネルギー価格が急騰するなか円安は「輸入インフレ」に拍車をかけ、家計や企業を苦しめる。原油価格の国際指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物は足元で1バレル120ドル前後で推移し、24年前の8倍だ。日銀の黒田東彦総裁は13日、急激な円安を「経済にマイナスで望ましくない」と述べた。
根本的な問題は円安を生かすための産業競争力が失われている点だ。
内閣府によると98年度に10%だった日本の製造業の海外生産比率は20年度に22%強と2倍になった。国内産業の空洞化が進み、コンピューター(周辺機器含む)は98年時点で輸出が輸入を7000億円強上回っていたが21年に2兆円を超す輸入超過になった。人手不足を補う投資も出遅れた。
新型コロナウイルスとウクライナ危機は国際的な供給網の再構築の必要性を浮かび上がらせた。今後も円売り圧力は強まる。円安を生かすために長期的な視点にたった産業強化策を急ぐべきだ。
(金融政策・市場エディター 大塚節雄)

(日本経済新聞)

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