金融、コンサル、外資系の転職・求人なら人材紹介【アスパイア】

無料転職支援・
相談のお申し込み

簡単登録
(入力1分)
信頼度NO.1の人材紹介エージェント
  • pic

    Jeff Bezos, president and CEO of Amazon

  • pic

    Former CEO of General Electric, Jack Welch

企業経営最新情報

Latest information on corporate management

出生率1.26、経済活力に危機 昨年過去最低 少子化、7年で2割減 官房長官「静かなる有事」 2023/06/03

厚生労働省は2日、1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率が2022年は1.26だったと発表した。05年に並んで過去最低となった。低下は7年連続で、新型コロナウイルス禍での婚姻数の低迷などが影響した。社会や経済の活力を維持できるかの瀬戸際にあり、出産や子育てなどへの若年層の経済不安を取り除くための対策が急務となる。

日本人の出生数は77万747人と前年比で5%(4万875人)減った。外国人を除く出生数が80万人を下回るのは1899年の統計開始以来初めてだ。

松野博一官房長官は2日の記者会見で「少子化の進行は危機的な状況で、日本の静かなる有事として認識すべきだ」と指摘した。少子化対策についても「日本の社会機能の維持にも関わる待ったなしの先送りできない課題だ」と述べた。

政府が15年に数値目標に掲げた「希望出生率1.8」とは差がある。人口を維持するには2.06~2.07が必要とされる。フランスの1.8(22年)や米国の1.66(21年)と比べても見劣りする。

少子化のスピードは加速している。日本人の出生数は15年まで100万人を超えていたが、そこから7年で2割以上減ったことになる。子どもの数が多かった団塊ジュニア世代も出産適齢期を過ぎ、減少に歯止めがかからない。

高齢化の進展や新型コロナによる死亡者数の増加に伴い、22年の人口の自然減の減少幅は過去最大の79万8214人となった。前年の減少幅より17万人ほど広がった。自然減は16年連続となる。

婚姻数は3年ぶりに増加に転じて50万4878組となったものの、伸び率は0.7%にとどまった。60万組近かったコロナ禍前の19年との開きは依然大きい。コロナ禍で控えられていた結婚がこれから再び増加傾向に転じるかは見通せない。

足元では23年1~3月に13.5万組と前年同期比で14.2%減った。コロナ禍で経済の正常化が遅れ、将来不安を拭いきれない実態も映す。

人口減少のスピードは想定を超える。国立社会保障・人口問題研究所が17年に示した将来推計人口では中位推計で22年の出生率を1.42、出生数を85.4万人と見積もっていた。現実はこれより8万人ほど少ない。

現役世代の先細りは避けられず、社会保障制度や日本経済の成長シナリオの再構築が求められている。

社会保障給付費は23年度の予算ベースで134兆円に増加し、この20年で1.6倍となった。

健康保険組合連合会が22年にまとめた推計では健保組合の加入者1人あたり保険料が40年度に45万円前後と、19年度のおよそ25万円から8割以上増える。高齢化や医療の高度化が背景にあり、給付と負担のバランスを改めなければ制度の持続性は高まらない。

人口減を補うだけの生産性向上も必要となる。就業者1人当たりの生産性は主要7カ国(G7)で20年以上最下位だ。現役世代が本格的に減少していく30年代に向け、高度経済成長期から続く長時間労働の是正や成長産業への労働移動といった改革は欠かせない。

人口減が深刻な地方で先手を打つ動きはある。宮崎県都城市は未就学児の保育料を23年度から完全無料化した。国の施策は3歳以上が無料で、3歳未満は第3子以降が対象だが、市は独自に3歳未満も第1子から対象とした。

(日本経済新聞)

出生率最低、見えぬ少子化反転 若者の不安払拭が急務 2023/06/03

2022年の合計特殊出生率が過去最低となり、日本の少子化は想定を超えるスピードで進む。23年に入っても出生数の減少は続いており反転の兆しはみえない。若年層の将来不安を解消し、出産や子育てをしやすい環境をどうつくり出すか。政府と企業が一体となって働き方改革の実効性を上げていく必要がある。

「若年人口が急激に減少する30年代に入るまでが少子化トレンドを反転することができるラストチャンスだ」。岸田文雄首相は1日のこども未来戦略会議で、働き方をはじめとする社会全体の仕組みを改める必要性を強調した。

今回公表した22年の出生率は概数だ。小数点以下の詳細な数字をみると1.2565で、過去最低だった05年の1.2601を超える低さになった。9月に公表予定の確定値でも1.2601を下回れば、17年ぶりに過去最低を更新する。

年間出生数が200万人を超え「第2次ベビーブーム」と言われた1970年代前半生まれの団塊ジュニア世代の子どもが、30年ごろにかけて出産適齢期を迎える。

出生数がまだ100万人を超えていた00年代生まれが30代の間に出生減に歯止めをかけなければ、日本は出生率を反転させるきっかけを失う。

少子高齢化と人口減のスパイラルも増幅しかねない。首相が「ラストチャンス」という危機感もここにある。

足元では少子高齢化に伴う人手不足で大卒者の就職環境は改善している。保育所の整備や育休給付の充実など少子化対策も進む。それでも少子化が止まらないのは日本経済や家計の将来不安が増しているためだ。

「少子化は副作用」
国立社会保障・人口問題研究所の21年調査では未婚者の平均希望子ども数は男性で1.82人、女性も1.79人とともに過去最低となり、夫婦の理想子ども数も2.25人と過去最低だった。

社会保障費も増え、子どもを産み育てるのは「ぜいたく」になったとの声もある。

家計維持のためにも働く女性が増え、共働き世帯は専業主婦世帯の2倍超になった。男女ともに仕事と育児を両立する環境を求める一方で、残業のない働き方や柔軟に休暇を取れる制度など働き方改革は後手に回ってきた。

大正大の小峰隆夫客員教授は「本当の病気は古い雇用慣行などにあり、少子化は副作用だ」と指摘する。「長時間労働や転勤制度といった雇用慣行や男女の役割分担意識を変えなければ少子化は止まらない」と警鐘を鳴らす。

第3次ベビーブームは訪れず
第2次ベビーブームに生まれた団塊ジュニア世代は出産適齢期を超えた。期待された第3次ベビーブームは訪れず、15〜49歳の女性はこの20年で500万人ほど減った。

この世代は大学卒業前後にバブルが崩壊し、高い失業率の下で就職氷河期に直面した。希望する職に就けなかった人も多い。

「失われた30年」の下で苦しんだ世代への社会的な支援は十分だったのか。05年の出生率が過去最低だったのは、経済情勢が出産適齢期にあった世代の人生プランに影響を与えた結果といえる。

政治の動きも鈍かった。団塊ジュニア世代が20代後半から30代にさしかかった00年代、当時の小泉純一郎政権は強固な政治基盤を主に郵政民営化などに費やした。企業もバブル崩壊からの立て直しにまだ躍起で、若手社員の働き方への関心は薄かった。

政府は03年に少子化社会対策基本法を施行するなど断片的に少子化抑制を試みたものの、育児支援が中心だった。

賃上げなども若年層の将来不安を解消するには不十分で、社会保障負担の増大や予算の高齢者偏重は是正されなかった。こうした失敗を繰り返している余地はもはや日本にはない。

政府は1日にまとめた「こども未来戦略方針」で「若者・子育て世代の所得を伸ばさない限り、少子化を反転させることはできない」と明記した。育児世帯への給付だけでなく、男性の育休取得促進や賃上げ強化も盛り込んだ。

首相は子ども・子育て政策が「最も有効な未来への投資」と明言する。政策の財源のあり方を含め、政府だけでなく企業も一体で次世代を育成する発想への転換が求められている。

(日本経済新聞)

menu