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博報堂、アバターがお客様 メタバースの消費入り口に 20秒で分身作成、仮想試着 2022/01/26

自分をモデルにしたアバター(分身)の活用が広がる。博報堂は2022年にもアバターを使った衣料品の試着サービスを始める。アバターは市場拡大が見込まれる「メタバース(仮想空間)」での消費行動の入り口となる。IT(情報技術)大手などが作成アプリを展開するなど囲い込み競争が始まっている。データ活用のルールなどを巡り課題も浮上している。

休日の百貨店。試着室にできた行列を横目にスマートフォンを手に取る。画面には自分そっくりの3次元(3D)の「マイアバター」。気に入った服と同じデジタルの服を次々と着せ替えコーディネートを確かめる。

試着のためにいくつもの店舗を行き来したり、サイズを選び直したりする必要はない。選んだ服はそのまま電子商取引(EC)で購入。ついでに同じ服のデジタルファッションをマイアバターに買ってあげた――。

東芝テックが試作したバーチャル試着のアプリ画面
博報堂が描く近未来のショッピング風景の一例だ。22年下期にもアバターを使った試着サービス「じぶんランウェイ」を始める。同社クリエイティブディレクターの尾崎徳行氏は「新型コロナウイルス禍で店舗重視の消費者もデジタルを使いこなし始めた」と話す。百貨店など商業施設で展開する構想を持つ。

簡単に着せ替え
一般的なアバターはキャラクターや動物を装うケースが多く、ゲームやSNS(交流サイト)に限られていた。本人の顔や体形を再現した「もう一人の自分」は、消費や仕事などにも生かしやすい。活発な動きを見せるのがファッションだ。

博報堂はスタートアップのVRC(東京都八王子市)の技術を使う。複数のカメラが設置されたブースに入ると20秒で全身が3Dデータ化される。商業施設などにあるプリントシール機のように手軽だ。レジなどで小売りに顧客を持つ東芝テックもVRCの技術を用いアバターを使った試着サービスの開発を急ぐ。

試着室を利用した客の約6割が購入に進むともいわれる。ただ何度も着替えるのは面倒だ。アバターなら異なるブランドの様々な服を簡単に着せ替えられるため、購入を促進する可能性がある。

把握が難しかった試着の状況も分析できる。アバターの着せ替えはデータとして蓄積される。試着したが購入に至らなかった事例などを分析すれば、デザインや価格などの改善につなげられる。

売れ残りや値引きによる採算悪化はアパレル業界の長年の経営課題だ。そもそも試着ができないネット販売では返品も多く「返品率を下げられるとの期待もある」(東芝テック新規事業戦略部の入沢瑛美氏)

1人1アバター
アバターの活用は広がる。米メタ(旧フェイスブック)などが開発を進めるバーチャルオフィスなどだ。一人ひとりが自分そっくりのマイアバターを作成し、サービスを利用したりバーチャルオフィスに出勤したりするようになる。

こうした「1人1アバター時代」を引き寄せるのはカメラや3Dの技術進化だ。自分とそっくりな3Dアバターを制作する設備の価格破壊も進む。かつては1台1億円以上の大がかりな設備が必要だったが数百万円の装置も登場している。

凸版印刷は1枚の写真から自分のアバターを作るサービス「メタクローンアバター」を始めた。人工知能(AI)と3D技術で、写真と身長、体重などの情報を基に作成する。23年度までに関連受注を含めて約50億円の売り上げをめざす。

スクウェア・エニックスなどが出資するPocket RD(東京・渋谷)は小型スキャナー「アバタリウム」を商業施設などに設置する。22年度末に20万人の利用をめざし「将来は誰もが自分のアバターを作れる時代にする」(籾倉宏哉代表取締役)。繊維商社大手の豊島(名古屋市)と組み、同社が持つ衣服の3Dデータの活用を進める。

将来はアバターに着せるデジタルファッションやバーチャル旅行など、仮想空間に立脚した様々なビジネスが新たな収益源に育つ可能性がある。1人1アバターの実現は、その一里塚になる。

(日本経済新聞)

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