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四半期決算短信を任意に 金融庁案、適時開示は拡充 2022/11/24

金融庁は証券取引所が3カ月ごとに上場企業に提出を求める「四半期決算短信」について、開示するかどうかを将来的に企業の判断に任せる検討を始める。代わりに、投資家の判断に影響を与えるような重要事項が発生した時にその都度公表する「適時開示制度」を充実させる。企業の負担を軽減する一方、開示情報の質を落とさないようにする。見直しには慎重論もあり、実現するか不透明な部分もある。

25日に開く金融審議会(首相の諮問機関)に「将来的な方向性」として提示する。まず政府に提出する四半期報告書を廃止して決算短信に一本化する。第2段階として残された四半期決算短信も開示は任意とする。その分、充実させる適時開示制度のなかで、どの程度の情報の開示を求めるかが今後の焦点になりそうだ。

金融庁は6月、法律で上場企業に開示を義務付ける四半期報告書を廃止し、取引所の規則に基づき開示する決算短信に一本化すると決めた。現在、金融審の作業部会で一本化の具体策を検討しており、2023年の通常国会に金融商品取引法の改正案を提出し、24年度以降に実現する見通しだ。

金融庁は四半期決算短信について、当面の間は一律に義務付けるものの、企業の適時開示を充実させる検討も開始。四半期決算短信を任意提出にする案を下敷きにして、全体の開示水準を維持できる環境を整える。

決算短信の将来像は第1、第2、第3四半期の開示を任意に切り替え、通期決算のみ提出を求める。今まで決算短信で開示していなかったセグメント情報やキャッシュフロー情報など開示内容の充実策も検討する。中間期の業績推移を見る第2四半期は金商法に基づき政府に提出する半期報告書として維持する。現行の第2四半期報告書と同程度の記載内容を求める。

世界各国も四半期開示のあり方を議論してきた。欧州やシンガポールが任意開示に切り替えた一方、米国や中国は義務付けており、対応が分かれている。金融庁は重要情報のタイムリーな開示と信頼性確保の両立を前提に、2段階の移行によって四半期の開示義務を廃止するタイミングを探る考えだ。

決算短信や適時開示は金商法に基づく法定開示ではないため、虚偽記載に対して刑事罰を科すことができない。金融庁は信頼性を確保する観点から、将来的に重要な財務情報を金商法に基づく臨時報告書の提出を求めることも検討する。

日本の四半期開示制度は1999年から東京証券取引所のルールで上場企業に順次求められるようになり、2008年に金商法で義務付けられた。四半期報告書は06年のライブドア事件で、四半期業績の虚偽記載について刑事責任を問えなかったことがきっかけで導入された。

岸田文雄首相は就任時、四半期開示の見直しを目玉施策の一つとして打ち出した。22年2月から見直しに向けた議論が進んでいた。関西経済連合会はかねて「企業経営者や投資家の短期的利益志向を助長しているとの懸念がある」と四半期の開示義務の廃止を訴えていた一方、作業部会に参加する委員の多くは「(四半期開示が)経営計画の進捗確認や日本市場の信頼性の維持の観点から有用」など完全撤廃に反対意見を表明していた。

(日本経済新聞)

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