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外資系、日本で調査縮小 クレディ・スイス、アナリスト転出 企業の調達コストに影響も 2022/11/25

クレディ・スイス証券が日本株の調査部門を縮小したことが分かった。経営不振から世界的に進める組織再編の一環で、自動車や総合電機など主要セクターのカバレッジを止め、担当アナリストが相次ぎ転出している。外資系証券の日本株事業が一段と縮小することになり、日本株の存在感低下が改めて浮き彫りになった。

「リサーチ体制の見直しにより、(中略)投資評価の提供を中止いたします」。クレディ・スイスは11月中旬、自動車や総合電機、通信などのセクターでカバレッジを止め、複数の企業の業績予想や目標株価の算出を無効にした。すでに電機・半導体セクターの前川英之氏や通信セクターの江口博康氏など著名アナリストがカバーを止めている。

クレディは欧州系でグローバル展開する証券会社の一角として、早くから日本株事業を手がけてきた。前身会社の一つのザ・ファースト・ボストン・コーポレーションが1972年に東京事務所を開設。85年に証券業の免許を取得した。日経ヴェリタスの2022年のアナリストランキングによると、アナリストの人数は10人と、欧州系ではUBS証券(14人)に次ぐ。

調査部門縮小の影響は小さくない。アナリスト予想を集計するQUICK・コンセンサスによると、出前館はクレディ・スイスのカバー停止で目標株価を示すアナリストがいなくなった。HENNGEやネットプロテクションズホールディングスも目標株価を示すアナリストが1人だけになった。

外資系証券の日本株事業の縮小は続いており、16年に英バークレイズ、19年にはドイツ証券が日本での株式業務を大幅縮小した。日本株事業がたびたびリストラの対象になる背景には、日本株の存在感低下がある。世界の株式時価総額に占める日本株比率は10年間で2ポイント低下し5%割れが迫る。比率低下が外国人投資家の敬遠を招き、投資家の水先案内人を務める調査部門の縮小という悪循環につながっている。

アナリストの減少は市場の価格発見機能を低下させ、企業にも悪影響を及ぼす。中京大学の加藤政仁准教授の分析によれば、企業の公募増資の際にカバーするアナリストがいるかどうかで増資の引受手数料などのコストに差が出る。アナリストからカバーされている企業は相対的に低いコストで資金を調達できている。

新型コロナウイルス対策の金融緩和局面が終わり、証券各社の収益環境は悪化している。今後も各証券会社の日本での株式業務体制の縮小が続けば、カバーするアナリストをいかに確保していくかが企業の経営課題として浮上しそうだ。

(二瓶悟)

(日本経済新聞)

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