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強権中国、戸惑うマネー 7400億円流出 「ロシア売り」二の舞危惧 2022/04/03

中国から投資マネーが逃避し始めた。2022年1~3月の外国人投資家による株・債券の売越額は、4月1日時点の集計で384億元(約7400億円)となった。四半期ベースで過去最大の規模になる。ウクライナに侵攻したロシアの通貨や証券が暴落した連想から、強権的な政治・外交姿勢の中国への投資を見直す動きが広がりつつある。

中国から投資マネーが逃避し始めた。2022年1~3月の外国人投資家による株・債券の売越額は、4月1日時点の集計で384億元(約7400億円)となった。四半期ベースで過去最大の規模になる。ウクライナに侵攻したロシアの通貨や証券が暴落した連想から、強権的な政治・外交姿勢の中国への投資を見直す動きが広がりつつある。

株と債券を合計すると1~3月(債券は2月まで)の売越額は15年のチャイナ・ショックや20年の新型コロナウイルス禍の局面を上回った。

ここ数年、中国の市場開放や、世界の投資家が参照する投資指数への組み入れを背景に中国への証券投資(総合2面きょうのことば)が拡大してきた。主要な新興市場ファンドでは、08年の10%強から40%近くに高まっていた中国・香港株の組み入れ比率は29%に下がった。コロナやIT(情報技術)規制に、ウクライナ危機が重なった。資産運用会社DWSのショーン・テイラー氏は「過去3年間流入してきた資本が逆流し始めた可能性がある」とみる。

中国への投資を見直す傾向は長期に及ぶ可能性がある。投資家がこれまで軽視していた政治体制や価値観の違いに目を向けつつあるためだ。中国投資を積極化してきたある日本の主要な年金基金は「中国による台湾侵攻の可能性を警戒する声もあるなかで、中国への投資を続けるかどうか議論している」と明かす。

投資資金の流れは変わっている。中国から流出する一方、政治や経済の自由度に応じて投資配分を決める「自由主義100新興市場指数」に連動するETF(上場投資信託)には3月、過去最大となる5300万ドル(約65億円)が流入した。世界最大の政府系ファンド、ノルウェー政府年金基金は3月、人権侵害に関与した疑いを理由に中国のスポーツウエア大手・李寧を投資対象から外すと表明。同社株は3月に1割強下げた。

マネーの「デカップリング(分断)」は16年ごろから顕著だ。中国政府が対外投資を審査し、中国資本による不動産や娯楽などの米企業の買収が急減。米国は対内投資を審査する「対米外国投資委員会(CFIUS)」の権限を強化し、軍需関連など一部中国企業への投資も禁止した。

あつれきは強まるばかりだ。香港に上場するアジア最大級のETF「トラッカーファンド」は3月29日、運用会社を米ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズから地場の恒生投資管理に代えると発表した。一部中国企業への投資を禁ずる米国の制裁をステートが受け入れようとし、地元の投資家から反発の声が上がっていた。

「中国や香港の市場規模や欧米との相互関係を考えると状況が改善すればリカップリング(再結合)する。デカップリングは最悪のシナリオだ」。香港の証券会社、海通国際の王勝祖氏は期待を込めて話す。米中が相互に保有する株・債券は3.3兆ドル。マネーの結びつきはロシアの比ではない。相互依存が崩れれば世界経済の損失になる。

(香港=木原雄士、犬嶋瑛)

(日本経済新聞)

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