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投信販売、楽天証券が首位 7~9月、若年層取り込む ネット経由が主流に 2021/11/17

楽天証券はクレジットカードやポイントを武器に顧客層を広げている

個人投資家の資産形成を担う投資信託で販売会社の勢力図が変わり始めている。2021年7~9月の個人向けの販売額はネット専業の楽天証券が、野村証券など対面大手を含む主要10社で初の首位となった。若年層が低コストの投信を積み立てで購入する動きが顕著だ。中高年層の投信の短期売買は影を潜め、ネットを通じた若年層の長期投資が主流になっている。

「使い慣れているカードで毎月支払えるため、積み立て投資を続けやすい」。東京都墨田区に住む男性会社員(30)は18年に楽天証券で積み立て投資を始めた。月2万円弱を積み立てる。「(楽天グループの)ネット通販でたまったポイントで投資できるのは魅力」という。

野村証券など対面大手5社、SBI証券などネット専業の主要5社の開示資料や聞き取り調査をもとに集計した。7~9月の投信販売額は楽天証券が5810億円と首位で、2位野村証券(5321億円)、3位SMBC日興証券(5013億円)が続いた。対面大手はリテール部門の販売額をまとめた。

楽天で投信を購入する投資家層は30代以下が中心だ。積み立て投資の設定口座は全体の3割弱。このうち30代以下が6~7割程度を占める。楽天カードを使うと購入額の1%がポイント加算される仕組みで、設定口座の8割はカード決済を利用しているという。

顧客層の若返りを進めてきたとはいえ、野村の投資家層は50~60歳代がなお約半数を占める。

売れ筋は低コストの投信だ。楽天投信投資顧問の米株ファンドのほか、信託報酬が業界最低水準の三菱UFJ国際投信「eMAXIS Slim」シリーズなどインデックス型(指数連動型)シリーズが人気という。

楽天の新規口座数は、積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)が始まった18年ごろから増加ペースが加速した。21年9月末時点では667万口座と2年あまりで2倍に急増した。

楠雄治社長は「新規開設は未経験の若年層が中心で、同業他社からの乗り換えではない」と手応えを語る。特に積み立て投資は根雪のように、中長期的には安定収益をもたらす基盤となる。

ネット販売の勢いは楽天に限らない。LINEと野村ホールディングスが設立したLINE証券(東京・品川)は10月末、開業から2年あまりで100万口座を超えた。楽天(11年4カ月)、SBI(6年2カ月)を上回り、ネット専業の最短期間を記録した。「23年までに200万口座を目指す」(正木美雪・共同最高経営責任者=CEO)

もっとも、預かり資産では依然として対面の大手が圧倒する。野村の投信残高は約20兆円と、楽天の2兆5687億円を大きく上回る。

対面大手は預かり資産を重視した経営にカジを切っている。野村の北村巧財務統括責任者は「株価上昇で投資家の含み益が増えても(投信の)乗り換え率は大きく下がっている」と強調する。

かつては短期の投信売買で売買手数料を稼ぐ営業が一般的だった。顧客の長期の資産形成にはつながらないとの批判は多く、近年はこうした営業姿勢が影を潜めている。

ネット証券にも悩みはある。低コスト投信の販売の比率が高く、収益の大幅な伸びは見込みにくい。独立系金融アドバイザー(IFA)、バリューアドバイザーズの五十嵐修平社長は「(ネット証券では)相談相手がいない不安から投資額が100万円ほどで止まってしまう人も多い。運用助言を求める層への支援が一層重要になる」と指摘する。

(駿河翼、渡辺淳)

(日本経済新聞)

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