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Financial & M&A Industry Updates
年金基金などに投資を指南する投資助言・代理業への参入が増えている。金融庁の登録数は6月末で約1000と前年同月末比で20増え、8年ぶりに大台を超えた。増加幅は13年ぶりの大きさだ。年金などが債券や株式を中心とした保守的な運用を見直し、商機とみた外資系運用会社の参入が相次ぐ。金融庁が登録手続きを英語で可能にする規制緩和も後押しする。
投資助言・代理業は2つの役割がある。ひとつは日本拠点で日本企業などを調査・分析して海外の親会社に投資助言する業務だ。親会社の運用能力を高める狙いがある。もうひとつは日本の機関投資家と親会社を結びつけて投資一任契約などを媒介する代理業務だ。
運用会社で世界最大の8.49兆ドル(約1170兆円)を運用する米ブラックロックの日本法人は投資助言・代理業のほか、投資運用業などの登録を受けている。まずは投資助言・代理業で登録し、日本拠点の業務拡大に合わせて投資運用業などに追加登録するケースもある。
22年はスタートアップに投資する香港系のミネルバ・グロース・パートナーズや香港系ヘッジファンドのパンテウム・パートナーズなどが投資助言・代理業の登録を受けた。
国内債券の利回りが低水準に張り付く中、運用成果を求めようと不動産やヘッジファンド、非上場株などオルタナティブ(代替)資産に投資する機関投資家の需要は高まっている。外資系の参入は市場拡大に加え、機関投資家の運用ニーズの多様化が背景にある。
米系運用大手フェデレーテッド・ハーミーズ・ジャパンはESG(環境・社会・企業統治)関連に強く、ESGの視点から議決権行使を支援するサービスなどを提供する。在日代表の堀井渉氏は「日本の資産運用残高は増加傾向にありビジネス機会は多い」と話す。投資助言・代理業の登録に合わせて、6月に日本拠点を開設した。
金融庁は21年1月、海外の資産運用会社の参入を促そうと、事前相談や登録手続きを英語で受け付ける「拠点開設サポートオフィス」を開いた。補助金の申請やビザの取得なども支援する。開設から約1年半で10社11件が投資助言・代理業を含む金融商品取引業の登録を受けた。
資産運用の市場規模は拡大している。野村総合研究所によると、国内の運用資産残高は21年3月末時点で825兆円と、20年3月末比で26%増えた。新型コロナウイルス禍の資産価格下落の反動の影響が大きかったが、この要因を除いても12年以降は年10%のペースで増えているという。米系運用大手オールスプリング・グローバル・インベストメンツは今夏、国内初の拠点を東京に開いた。広報担当者は「重要市場で現地パートナーやその顧客に提供するサービスと支援の強化で開設を決めた」と話す。
香港投資基金公会の7月に資産運用会社を対象に実施した調査によると、回答した36社のうち約3分の1が拠点機能の一部かすべてを香港から移したと答えた。
日本への機能移転はまだ限られるが、金融庁は英語登録の対象をファンドビジネスに必要な第2種金融商品取引業に広げるなど一段の規制緩和を検討して参入を促す。国際金融センターを目指していくにはこうした規制緩和の継続に加え、税制や在留資格、生活支援など幅広い視点でのてこ入れが欠かせない。(湯浅兼輔)
(日本経済新聞)