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振込手数料、窓口引き上げ 三菱UFJ銀が990円に 現金取引、かさむコスト 2023/04/28

三菱UFJ銀行は27日、10月2日から店舗の窓口やATMの振込手数料を引き上げると発表した。最大で500円を超える上げ幅となる。11月までに外国への送金や現金の両替にかかる手数料も上げる。現金取引に起因するリテールの経費の重さは業界共通の課題で、追随の動きが広がる可能性がある。

現金の取り扱いやマネーロンダリング(資金洗浄)対策に要するコストが増している。利用者の負担を上乗せする。

3メガバンクの三井住友銀行、みずほ銀行は振込手数料の引き上げは現時点で予定していないとする。ただ、窓口やATMでの現金の取り扱いの事務コストは高まっている。最大手の三菱UFJ銀行の動きを受け、地方銀行の一部でも改定を検討する動きがある。

三菱UFJの銀行窓口で他行の口座に振り込む際の手数料は現在、3万円未満で594円、3万円以上で770円。10月から3万円を境にした区分をなくし、990円でそろえる。

ATMを使う際の現金の振込手数料は三菱UFJ銀行の口座向けで220円、440円だが550円に統一。他行向けで374円、550円だった手数料は880円に改める。インターネットバンキングの手数料は据え置き、ネット取引に利用者の移行を促す。

外国送金などの店舗での手数料は11月20日に改定する。送金先によって2500~7500円と異なる手数料を7500円に一本化する。店頭で両替する場合の手数料は11~500枚で550円だったのを770円にする。

三菱UFJ銀の手数料改定の背景にあるのは2021年の「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」を通じてやり取りする銀行間の送金手数料の引き下げだ。3万円未満の場合は117円、3万円以上なら162円だったのを「一律62円」にした。

三菱UFJを含む大手銀行は呼応して21年にネットを経由する振込手数料を下げた。3万円を境に変わる手数料などが根拠のない名残として残った。

同時に手数料の抜本的な改定を模索する動きもあったが、金融庁などに消極論があり見送った経緯がある。三菱UFJ銀は統一地方選の終了なども見据えて引き上げを判断した。

キャッシュレス化の進展もあり、三菱UFJは現金を介する手続きで手数料の引き上げを模索してきた。経済産業省の推計によると現金関連業務の窓口人件費にかかる経費は業界全体で4100億円にのぼる。

米国や欧州の銀行の店舗の接客は富裕層向けのウェルス・マネジメントなどの業務に特化している例が多い。送金はネットを通じた送金や小切手の使用が一般的だ。日本でも送金はネット移行が進むが、なお高齢者らへの対応で店頭手続きが一定の割合を占めてきた。

本業の粗利益に対する経費の割合(OHR)をみると3メガバンクの22年3月期は三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)が69%、三井住友FGは62%、みずほFGが63%だ。三菱UFJはリテール事業を抱える部門のOHRが76%と店頭対応の費用負担が重い構図になっている。

日本の金融機関は基幹システムをはじめとした既存システムの維持にコストをかけている。コンプライアンスなどの対応ものしかかり、デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた投資にまわす余力に乏しい課題が指摘される。収益性を改善して成長に向けた原資を確保できるかが重要になる。

(日本経済新聞)

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