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政投銀が破綻企業再生ファンド 中小の有望技術を継承 2024/04/15

日本政策投資銀行は月内に、破綻した中堅・中小企業に投融資する専用ファンドを立ち上げる。スポンサー企業を見つけるまでの間のつなぎ資金の供給などで企業の再生を後押しする。国内の倒産件数は9年ぶりの高水準にある。過剰な債務を整理した上で企業の有望な技術やノウハウを継承できるようにする。

ファンドの規模はまず20億円の自己資金ではじめ、中長期で数百億円規模に増やす計画だ。今後は外部の金融機関からの資金受け入れも視野に入れる。企業再生の法的実務に詳しい粟澤・山本法律事務所と共同で運営する。

投融資の対象は法的整理や私的整理を申請し、再建手続きを進める中堅・中小企業だ。年間売上高が最大数百億円程度で、過剰債務を減らせば競争力を取り戻し、地域の活性化にも貢献できる企業などを想定する。

ファンドの資金を使って「DIPファイナンス」と呼ぶつなぎ融資を実行するほか、スポンサー企業が見つかった後は共同で出資する。債権を買い取ったり、劣後ローンを供給したりするなど、事業再生が軌道に乗るまで必要な投融資を一元的に担う方針だ。

政投銀が破綻企業向けのファンド運営に参入する背景には、新型コロナウイルス下の手厚い資金繰り支援で生き延びてきた企業の淘汰が始まっていることがある。

2023年度の全国の企業倒産件数は9年ぶりに9000件を超え、24年度もさらに増えるとの見方が多い。政投銀はユニークな技術力を持つ企業などは過剰債務を整理すれば立ち直る可能性が高いとみて、投融資によって支援する。

同業の企業との統合によって産業の新陳代謝が加速する案件や、地域の活性化につながる案件を中心に選別を進める。政府が中堅企業への支援を探るなかで、政投銀も金融面から競争力強化を後押しする手法を探る。

経営不振企業への投融資や債権買い取りは、かつて外資系ファンドや投資銀行が多く手がけていた。

政投銀は2000年代前半から法的・私的整理手続きに入った企業の当座の資金繰りを支援するDIPファイナンスを手がけ、ノウハウを蓄積してきた。破綻企業向け支援の専門チームが出資も含めて対応する体制をつくり、ファンド設立にこぎつけた。

コロナ下の20年以降、大手銀行もDIPファイナンスの供給を強化しており、業界全体の実行件数は23年3月期に30件に迫る水準に達したもようだ。ただ投融資の双方に対応する例は珍しく、政投銀の事例は銀行が破綻企業向け投融資に特化するファンドをつくる初のケースとなる見通しだ。

業績不振の企業の経営支援は大手行も注力する。三菱UFJ銀行は全額出資子会社の「MUFGストラテジック・インベストメント」を1月に立ち上げた。

まず300億円規模ではじめており、年度内に複数に投資する見通しだ。3年で500億円程度の投資を目指す。銀行の知見も生かし、自動車など製造業の経営支援を念頭に置く。

みずほ銀行は23年度に業績が振るわないメインバンク先を中心に中堅、中小企業100社を支援先に選んだ。外部のコンサルティング会社の導入やビジネスマッチングのような経営支援を重点的に取り組んだ。

三井住友銀行は中堅企業に向け事業承継を支援する部隊を1割増やす。

不良債権処理が進んだ00年代から一定の時間がたち、各行では企業再生のノウハウを継承する仕組みづくりが課題となっている。政投銀によるファンドの設立などは企業再生で現役の行員の経験を積ませる意味合いもある。

(日本経済新聞)

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