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カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と三井住友フィナンシャルグループ(FG)のポイント事業統合で「新生Vポイント」が22日にスタートした。会員数は8600万人程度と国内有数の規模となる。世界1億店以上のVisaカード加盟店で使えるなど金融面の強みを生かし、共通ポイントで先行する携帯大手に挑む。
「経済圏にしばられない新しいサービスとして提案する」。Vポイント運営会社、CCCMKホールディングス(HD)の撫養(むや)宏紀取締役は22日、サービス開始イベントでこう強調した。
CCCのTポイントと三井住友FGのVポイントを統合し、新生Vポイントに統一した。共通ポイントの草分け的な存在で約20年の歴史を持つTポイントの名称は消えた。会員数は単純合算で1億5000万人規模で、重複を省くと8600万人規模になるとみられる。運営会社にはCCC側が6割、三井住友FG側が4割を出資する。
最大の強みは世界200カ国・地域以上に1億店以上あるVisa加盟店でポイントをためて使えることだ。Tポイントの提携先は15万店超だった。CCCの高橋誉則社長は「世界で使える場所が急速に広がる」と話す。加えてVポイントは会員1人あたりの年間ポイント獲得額がTポイントの8倍だ。1000円以下の決済が多いTポイントに対し、数千円、数万円単位のVポイントはたまりやすかった。
さらに三井住友FGはスマートフォンを起点とした金融サービスへの転換を進めている。核になるのが、総合金融サービス「Olive(オリーブ)」だ。銀行、カード、証券、保険などのグループの金融サービスの利用状況に応じてポイント還元率を高める。スタートから約1年で口座数は200万を超え、2027年度に1200万口座を目指している。若年層に加え中高年層も増えている。
Tポイントは知名度が高い一方、決済面の機能が弱かった。CCCの本業であるDVDレンタル市場の縮小などもあり、ここ数年は苦戦していた。一方、Vポイントはクレジットカードのタッチ決済など利便性は高いが、知名度に課題があった。
「2つのポイントの良さを合わせ、みんなが自由にどこでも使えるポイントになる」。23年6月、三井住友FGの太田純社長(当時)はポイント事業統合の記者会見で力を込めた。
両社の思惑が一致し、ポイントの統合交渉はわずか1カ月でのスピード合意だったという。CCC創業者の増田宗昭会長は「太田さんに会った時、一発で『おもろいオッチャンやな』と思った。一緒にやりたいと思った」と話す。その太田氏は膵臓がんにより23年11月に65歳で急逝した。
国内のポイント市場は成長が続いている。矢野経済研究所(東京・中野)によると、27年度の年間ポイント発行額は22年度比37%増の3兆3999億円に膨らむ見通し。
共通ポイントでは携帯大手の4社の存在感が強い。楽天グループの「楽天ポイント」、NTTドコモの「dポイント」、KDDI系の「Pontaポイント」、ソフトバンク系の「PayPayポイント」は通信や金融サービスを融合させて顧客を囲い込もうとしている。
NTTドコモはアマゾンジャパン(東京・目黒)と連携し、弱点だった電子商取引(EC)を補強している。楽天グループは18日、決済やポイントなどのアプリを統合すると発表した。5月にはJR東日本がデジタル金融サービス「JRE BANK(JREバンク)」を始めるなど通信以外の参入も増える。
MMD研究所の24年1月の調査では「最も活用しているポイント」は、TポイントとVポイントの合計で約8%にとどまる。ある共通ポイントの関係者は「脅威だとは思っていない」と話す。
新生Vポイントへの期待の声もある。複数のポイントを活用する30代会社員の女性は「その時々にお得なポイントを集めている。早速Vポイントへの移行キャンペーンも利用している」と話す。MMD研究所の伊藤南美研究員は「Visaの加盟店で利用できることは大きいが、VポイントがVisaだと消費者に分かりやすくアピールできるかが鍵だ」と話す。
(西岡杏、中村雄貴)
(日本経済新聞)