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新規公開4割減、4~9月37社 株価低迷響く、東証再編効果 道半ば 2022/10/05

国内の新規株式公開(IPO)にブレーキがかかっている。2022年4~9月は前年同期比4割減の37社だった。金融引き締めやウクライナ危機で株式市場が低迷し、企業が上場計画を延期している。4月の東京証券取引所再編から半年余り。高い成長可能性を持つ企業とリスクマネーを呼び込むためにグロース市場が立ち上がったが、成果は道半ばだ。

前年同期比の減少率は景気後退期の08年(78%減)以来14年ぶりの大きさ。業種別ではIT(情報技術)などの「情報・通信」と人材派遣などの「サービス」のIPOが目立ったが、社数はそれぞれ3~4割減少した。

投資家は売上高の拡大より収益性を重視する方向に舵をきっている。先行投資が膨らみやすいデジタル関連企業に高い価値がつきにくくなった。人工知能(AI)を活用した節電策を提案するインフォメティス(東京・港)や健康管理システムのウェルネス・コミュニケーションズ(同)は上場を延期した。

大型上場も減少した。初値ベースの時価総額が1000億円を超えたのは、アニメ調のCGキャラクターで動画配信するVチューバー事業のエニーカラーだけだ。前年同期は人材サービスのビジョナルなど3社あった。初値ベースの平均時価総額は3割減の約154億円と小粒化した。

調達総額は約300億円と6割減り、1社平均では約8億円と3割減った。前年は海外機関投資家の関心も高く、IPO時の評価額も高くつきやすかったが、今年は需要が急速に縮小した。

大きな要因は米欧の利上げやロシアのウクライナ侵攻だ。ただ、東証の市場再編が十分な効果を出せていない側面も見逃せない。

東証は4月、東証1部やマザーズなど従来の4市場を「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場に再編した。21年にIPOの7割が集中したマザーズは「1部へのステップアップというイメージ」(担当者)を変える狙いがあった。

グロースは「高い成長可能性を有する企業向け」とうたい、株主数や流通株式数の上場基準を緩和、代わりに「事業計画及び成長可能性に関する事項」を年に1回以上公表するよう義務付けた。基準緩和でIPOの「量」を追いつつ、成長戦略の更新を求めることで「質」の向上を狙った。

7月に上場したウネリーの内山英俊最高経営責任者(CEO)は「事業計画を投資家に伝える重要性が高まった。自身も資料作成に関与し、投資家に説明するアプローチをとった」と明かす。

市場再編は効果もみられるが、及第点とは言いがたい。楽天証券の窪田真之チーフストラテジストはマザーズ時代から上場し、低迷が続く企業も抱える点を課題に挙げる。「成長率が高いというイメージをグロースに根付かせるためには、上場廃止基準を厳格化すべきだ」と指摘する。

アセットマネジメントOneの岩本誠一郎ファンドマネジャーは「成長率の高い企業を集め、環境やDX(デジタルトランスフォーメーション)などテーマごとに分類した指標を作ってはどうか」と提案する。

投資家の裾野が広がればマネーの厚みは増し、グロースの魅力は高まる。市場の魅力が高まれば、有望企業を呼び込みやすくなる。この好循環を回すには、息の長い取り組みが不可欠になる。

(細田琢朗)

(日本経済新聞)

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