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Financial & M&A Industry Updates

日本企業のM&A、昨年最多4304件 投資会社が存在感 事業承継、2割弱占める 2023/01/03

2022年1~12月に日本企業が関連したM&A(合併・買収)の件数は、前の年比1%増の4304件と過去最多となった。国内外の投資会社による日本企業の買収案件が増加したほか、事業承継の件数も伸びた。一方、世界では欧米の利上げなどを背景にM&A件数は減少しており、23年の国内M&Aにも影響する可能性がある。

M&A助言のレコフが、買い手か売り手のどちらかに日本企業が参画するM&A(出資も含む)の12月28日時点の状況をまとめた。22年は1985年の調査開始以来最多だった21年(4280件)を上回った。

国内外の投資会社による国内企業の買収件数は前の年比3%増の1071件と1998年以来、最も多かった。また事業承継案件は700件を超え、全体の2割弱を占めた。

M&A全体の合計金額は32%減の11兆4356億円と、2年ぶりのマイナスだった。日本企業同士は4兆59億円と26%増えたが、日本企業による海外企業の買収額が3兆4743億円と半減した。21年と比べて大型案件が少なかったことが影響した。海外企業による国内企業の買収額も3兆9552億円と約4割減った。

非中核事業や子会社を切り離す「カーブアウト」と呼ばれる案件で、投資会社が存在感を発揮した。日本企業関連のM&Aで最大だったのは米投資ファンドKKRによる日立物流へのTOB(株式公開買い付け)で、買収額は約6700億円。同社の親会社だった日立製作所は、上場子会社の売却などを通じてグループ再編を進めた。

オリンパスは8月、工業用顕微鏡などを手掛ける科学事業を米ベインキャピタルに売却すると発表した。売却額は4000億円を超え、今後は主力の内視鏡など医療機器分野に経営資源を集中する。新型コロナウイルス禍から経済が回復しつつある中で、事業の選択と集中を急ぐ企業が相次いだ。

事業会社によるM&Aでは、デジタルトランスフォーメーション(DX)関連の案件も目立った。ソニーグループは米ゲーム大手のバンジーを買収。ゲームで培った知的財産をソニーGのエンターテインメントのコンテンツに展開する。買収額は当初4000億円強を見込んだが、急激な円安で5000億円強に膨らんだ。このほかオムロンは医療データ分析のJMDCに約1100億円出資。レコフデータの吉富優子社長は「DXは22年もM&Aテーマとなった」と話す。

もっとも世界のM&A件数は落ち込んだ。金融情報会社リフィニティブによると、22年末時点で同年は約5万3000件と2割減った。ロシアによるウクライナ侵攻で世界経済の先行きに不透明感が増したことや、欧米の利上げで企業のM&A意欲が減退したことが影響している。「M&Aに意欲的だった欧米ハイテク企業の関連案件が急減している」(市場関係者)という。

23年のM&A動向についてKPMGFASの石井秀幸執行役員パートナーは、「コロナ禍からの回復を受け、国内企業の案件は堅調に推移する」と予測するが「世界景気の減速で海外企業が絡む案件は減る可能性がある」と懸念材料を指摘する。

(田辺静、村上徒紀郎、堤健太郎)

(日本経済新聞)

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