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日本株の売買手数料無料化、ネット証券で広がる温度差 SBI、全顧客に拡大/松井追随せず 2023/02/17

日本株の売買手数料の無料化を巡り、インターネット証券で温度差が広がっている。若年層限定で無料化の口火を切ったSBI証券は9月末までに対象を全顧客に広げる。年200億円程度の減収要因になるが、顧客層の拡大を優先する。松井証券は無料化競争に加わらず対策を練る。楽天証券やマネックス証券も対応を検討する。日本株の売買手数料は売り上げの一定割合を占めており、経営判断が分かれる。

SBI証券は2021年に25歳以下の日本株の売買手数料をゼロにした。9月末までに無料化の対象を全年齢層に広げる。親会社SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長は「手数料の引き下げ競争に終止符を打つ」と公言する。

SBI証券の22年4~12月期の売上高にあたる営業収益は1265億円だった。このうち無料化の対象の日本株の売買手数料は約150億円、年間だと200億円程度になる。SBI証券の担当者は「無料化の業績影響は大きい」とこぼす。米国株取引や外国為替証拠金(FX)取引、デジタル証券を使った不動産金融の推進で無料化の穴を埋めたい考えだ。

松井証券は「赤字転落を許容してまで(SBI証券のしかける)無料化に追随はしない」(和里田聡社長)。日本株取引の依存度の違いが背景にある。松井証券の4~12月期の日本株の売買手数料は約100億円と営業収益の4割強を占めた。1割強のSBI証券とは開きがある。

日本株の売買手数料は0.01%台の争いとなっている。SBI証券の直近の平均手数料率は0.0117%、松井証券は0.034%だった。100万円で株を買ったとして手数料の差は200円ほどだ。松井証券は「さまざまな手段で対策を練っている」(和里田社長)として、コールセンターでの運用相談など独自サービスに磨きをかけて顧客の囲い込みにつなげる。

楽天証券は無料化に対して「方針は決めていない」(楠雄治社長)、マネックス証券は「具体策は話せない」(清明祐子社長)とする。auカブコム証券の二宮明雄会長兼社長は「(SBI証券の)動向を注視したい」と話す。

楽天証券などが口を堅くするのは、対抗策を先に発表してしまうと他社がそれよりも魅力的なサービスを打ち出す可能性があるからだ。SBI証券の無料化のスケジュールを見計らって、具体的な策を打ち出してくるとみられる。

米国では19年にネット証券大手のチャールズ・シュワブが株の売買手数料をゼロにし、ロビンフッド・マーケッツなどが続いた。米国のネット証券は信用取引などの金利収入を事業の柱にする。

チャールズ・シュワブの22年12月期の純利益は71億8300万ドル(約9600億円)と前年同期比2割増えた。米国の金利上昇を追い風に信用取引に伴う資金の貸し付けや株の貸し出しの金利収入が増えた。

一方、金利が低水準で張り付く日本では「米国のように金利収入で株の無料化の穴を埋めきれない」(ネット証券幹部)。ネット各社は日本株の売買手数料の依存度を下げてきたが、現在の収益構造では無料化した場合に大半は赤字に転落するとみられる。

ネット証券は新規客を取り込むカギとして24年に始まる新しい少額投資非課税制度(NISA)を注目する。SBI証券は無料化をアピールしながら新NISAでの基盤拡大を狙う。ネット証券の競争は一段と激しくなりそうだ。

(湯浅兼輔)

(日本経済新聞)

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