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日本株投資、強気派現る KKR「割安さ魅力、円安恩恵」 設備投資・収益に明るさ 2022/10/25

日本は難しい投資先だ。市場は1990年代のバブル崩壊から回復しきれず、多数の賢明な投資家が転換を見込んで、やけどをする結果となった。日本の経済成長と株価の上昇を抑え込む力が大きいことは広く知られている。人口の高齢化、硬直的な労働市場、女性の労働参加率の低さなどだ。

日本株を避けるべき理由として全く妥当な理由であり、実際に多くの国際投資家がそうしてきた。日本の株式相場は他の国々より低調だ。

しかし、市場では最近の力強い勢いがほとんど見逃されている。日銀によるデフレ退治に終わりが見えそうになる中で、日本企業は潤沢な手元資金を持ち、年末にかけて棚ぼた的な観光収入350億ドル(約5兆2000億円)も得られる見通しだ。

いずれも有利な割安株投資につながりうるもので、少なくとも1社の大口投資家がもう目をつけている。

「我々の日本への関与は未公開株だけでなく、不動産やインフラ、自社のクレジット事業においても増え続ける」。KKRの250億ドルのバランスシートを管理するヘンリー・マクベイ最高投資責任者(CIO)は、FTにこう語った。

「日本市場の株価には魅力がある。投資家が引き揚げていっており、日本は通貨安の恩恵を受けている」とマクベイ氏は話し、上場会社の株式非公開化が増加するとの見方を示した。「現在の株価水準において、一般投資家に見過ごされている本当に優良な企業がいくつかある」

KKRは円安を追い風にする狙いだ。円は対ドルで年初から2割超下落し、32年ぶりの安値をつけた。日銀が超金融緩和政策を継続する一方で、他の大半の国の中央銀行が引き締めを図る中、金利差が拡大していることが背景にある。

弱さに目を奪われがちだが、実際には長期的な先行きの明るさを示すデータが出てきている。

日銀が3日に発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)は当初、企業の景況感を示す指数が悪化したことから期待外れと受け止められた。その陰に隠れる形となったのが、日本企業の全体的な設備投資意欲の高まりだ。

英調査会社IHSマークイットが実施している調査でも、同様の構図が浮かび上がっている。設備投資の拡大を見込む企業の割合から縮小を見込む企業の割合を引いて算出する指数だ。それによると、伸び悩む日本のサービス業も設備投資を増やそうとしている。

収益について7~9月期は6%減という指標などが失望を呼んだ。だが、持ち直しの兆しもある。

米証券ジェフリーズのショーン・ダービー氏は、収益性の指標とされる売上高利益率が日本において過去最高に達していることを挙げ、物価上昇が定着しつつあることを示すものと捉えている(日本ではプラスの要因となる)。さらに他の大部分の国と異なり、日本ではアナリストによる業績予想の上方修正の回数が下方修正の回数を上回っている。

魅力的な状況に思える。だが米運用会社コロンビア・スレッドニードル・インベストメンツのトーマス・ナカムラ氏は「バリュートラップ(割安のわな)」に注意を促す。

日本企業の収益率は、ドル建ての販売代金を有利な為替レートで円に替える輸出企業が押し上げているはずだという。名目国内総生産(GDP)成長率が2%を下回る状況の中で、日本企業が突如として収益率を大きく伸ばすことは考えにくいとの見方だ。KKRのような強気派は「この20年間の日本の歴史を見ていない」と同氏は言う。

そうかもしれない。しかし、これだけ有望な兆しが表れている中にあって、やってみようとする投資家が出てきたのはいいことだ。

(20日付)
=英フィナンシャル・タイムズ(FT)特約

(日本経済新聞)

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