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国際政治経済最新情報

International Political Economy Updates

日米韓、安保・経済で新時代 中国リスク念頭に 緊急時に情報共有、首脳・閣僚が毎年会談 2023/08/19

【ワシントン=秋山裕之】日米韓3カ国は18日の首脳会談の共同声明で「かつてない強固な関係」をうたった。首脳のほか安全保障・経済の担当閣僚の協議を年1回以上する。中国が及ぼす安保と経済両面のリスクに備えてより密接に手を携える。

3人の首脳はワシントン近郊の山荘「キャンプデービッド」に集った。1時間の会談の後、さらに1時間をかけて昼食をともにした。屋外で臨んだ共同記者会見でバイデン米大統領は「日本と韓国、米国の協力の新しい時代だ」と語った。

特徴は日米韓が協力する領域を大幅に広げた点だ。これまでは核・ミサイル開発をやめない北朝鮮への対応が枠組みの役割だった。

「キャンプデービッドの精神」と題する共同声明に「インド太平洋及びそれを越えた地域で協力を拡大する」と記した。南シナ海や台湾海峡など中国が覇権的な行動を強める水域が含まれる。

日米と米韓はそれぞれ同盟関係にある。朝鮮半島有事には在韓米軍と韓国軍が前線で展開し在日米軍基地が後方で支える。日米韓が緊密に連携しなければ2つの同盟は円滑に機能しない。

平時や有事を問わず首脳や国家安全保障会議(NSC)担当の高官らが緊密に意思疎通できる仕組みを今回つくった。深刻さを増す北朝鮮のサイバー攻撃に対処する新たな協議の場を設ける。

岸田文雄首相は会談などで「安保協力を新たな高みへ引き上げる」と繰り返した。

経済安全保障でも足並みをそろえる。商務・産業政策の担当閣僚の会合を持ち回りで毎年開催すると決めた。財務相会合も新設する。

サプライチェーン(供給網)の強化は3カ国共通の課題だ。半導体を巡っては米中間で主導権争いが激しい。日本は製造装置に強みがあり、韓国は高い生産能力を持つ。米欧や台湾といった有志国・地域でそれぞれの強みを持ち寄る流れが強まっている。

供給網が混乱した事態に備えるため、在外公館を通じ迅速に情報を共有する体制もつくる。バイデン氏は記者会見で「パンデミックの際に特定の物資に不足が生じたような事態に対応する」と強調した。

経済面の連携強化には保守政権に代わった韓国の軸足の変化も作用した。大企業は米韓同盟を重視する尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権に呼応し、米国シフトを強める。財閥大手は先端半導体の新工場や電気自動車(EV)専用工場を米国内に建設中だ。

輸出額は1位の中国向けと2位の米国向けの差が文在寅(ムン・ジェイン)政権時代と比べ縮まってきている。尹氏は記者会見で「先端技術分野での協力を拡大し、未来の成長エンジンを確保していく」と経済協力に積極姿勢を示した。

首脳や閣僚の協議を定例にしたのは、いずれの国で政権が代わっても3カ国の枠組みを継続させる狙いもある。

(日本経済新聞)

米国、対中抑止へ結束迫る アジア安定へ日韓に役割 2023/08/19

【ワシントン=坂口幸裕、甲原潤之介】米国は18日に開いた日米韓首脳会談を踏まえ、北朝鮮への対処が軸だった3カ国の協力分野を中国の抑止にも広げる構えだ。ウクライナ侵攻の長期化で当面は対ロシア政策に力を割かざるを得ない。最大の競争相手である中国と対峙するには東アジアの同盟国の支援が欠かせないとの判断がある。

バイデン米大統領は18日、米首都ワシントン近郊の大統領山荘キャンプデービッドで岸田文雄首相、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領とそろって記者会見に臨んだ。「この歴史的な場所で、歴史的な瞬間を迎えるために会った」と会談の意義を強調した。

米国と日韓が協調すべきだとの立場はバイデン氏がオバマ政権で副大統領だった当時からの持論。2015年以来の外国首脳の訪問となったキャンプデービッドが歴史的な国際合意の場となった経緯から「次の協力の時代を始めるのにこれほどふさわしい場所はない」と訴えた。

米政府高官によると、バイデン氏は21年1月に大統領に就いた直後、歴史問題で対立する日韓の和解を後押しできないか検討するよう指示した。サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は18日、記者団に「(バイデン氏自身も日韓首脳に)強固な日韓関係が米国の国家安全保障上の利益につながると強調してきた」と明かした。

一気に事態が動き出したのは韓国が元徴用工問題の解決策を発表した23年3月だ。バイデン氏は「3カ国の結びつきを強めていく」との声明を出した。国際会議で3人が顔を合わせるのは常態化し、今回は初めて単独開催に踏み切った。首脳や閣僚による定期協議で日米韓協力の「制度化」をめざす。

バイデン氏の念頭には北朝鮮だけでなく、米国主導の国際秩序に挑戦する中国の存在がある。18日には「首脳会談の目的は中国に関するものではなかった」と語った。今秋の米中首脳会談を探るタイミングで中国への配慮を見せる一方、3カ国首脳の共同声明には中国を意識した文言が並ぶ。

不法な海洋権益に関する中国の主張と行動に関し「インド太平洋地域の水域における一方的な現状変更の試みに強く反対する」と明記。台湾海峡の平和と安定が重要との認識を改めて共有した。柱のひとつになる経済安全保障では半導体や重要鉱物など特定物資のサプライチェーン(供給網)をめぐり意見を交わす。

日米が迫る対中抑止への参画に慎重だった韓国も足場を広げようとする兆しがある。韓国大統領府高官は日米韓が「インド太平洋地域の自由と平和の追求へ役割を果たす」と明言。新たな協力分野に①重要品目のサプライチェーン②先端半導体など核心的な新興技術の流出防止③先端技術の共同研究――を挙げる。

日米韓の軍事協力の具体像はまだ見えない。サリバン氏は18日、日米韓で相互防衛協定を将来結ぶのが目標かと問われ「明確な目標は設けていない」と述べるにとどめた。集団安全保障を定める北大西洋条約機構(NATO)のような仕組みにする可能性も否定した。

韓国軍と在韓米軍は北朝鮮に対する能力構築に集中してきた。北朝鮮の脅威が高まる一方、台湾有事を巡る韓国内の議論は低調だ。韓国政府高官は「同盟は一方が攻撃を受けたら自動的に参戦する関係。日米韓は安保協力であり、同盟ではない」と線を引く。

バイデン氏は政権発足当初はロシアを取り込み、中国との関係にくさびを打ち込もうと狙ったが、ウクライナ侵攻で目算が狂った。欧州に駐留する米軍は侵攻前より2万人以上増やした。欧州での負担増は対中抑止策の重荷になる。同盟・有志国の能力を総動員したい米国が日韓の役割拡大を期待するゆえんだ。

日韓も米国と安定した枠組みを持つ意義は大きい。首相は「安全保障協力を新たな高みへ引き上げていく」と強調した。24年の米大統領選では日米、米韓の同盟を疑問視したトランプ前大統領が共和党の有力候補だ。仮に政権交代が起きても確立した制度があれば一定の継続性を保てる。

ブッシュ(第43代)政権で米国家安全保障会議(NSC)アジア部長だったビクター・チャ氏は「(朝鮮半島有事で)韓国の防衛は日本にある米軍基地なしでは不可能だ。台湾有事の際には日米に韓国の能力が必要」と指摘し、緊密な日米韓連携が欠かせないとみる。

共同声明では自衛隊と米韓両軍は対潜水艦やミサイル防衛の定例共同演習をすると定めた。同盟国同士である日米、米韓と異なり、同盟関係にない日韓がどこまで踏み込んだ軍事協力や情報共有をできるのか。すり合わせるべき課題は多い。

(日本経済新聞)

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