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昨年の投資銀手数料ランキング みずほ、世界10位浮上 アーム上場など海外大型案件が寄与 2024/01/30

2023年の世界の投資銀行の手数料リーグテーブルで、みずほフィナンシャルグループ(FG)の順位が上昇した。米欧のバルジブラケット(一流の投資銀行群)が上位を占めるなか、同社として初めてトップ10に入った。英半導体設計大手アームの新規株式公開(IPO)で主幹事4社に入るなど、海外の大型案件が寄与した。

リーグテーブルは投資銀行の助言や引き受けの実績ランキングで、投資銀行手数料(IBフィー)部門はM&A(合併・買収)助言、株式および債券の引き受け、シンジケートローン(協調融資)の各部門での手数料を合計した「総合成績表」といえる。

英ロンドン証券取引所を運営するLSEGによると、23年の世界の手数料総額(フィープール)は前年比7%減の1060億ドル(約15兆円)と2年連続で減った。インフレなど先行きの不透明感から企業のM&Aや資金調達が低調だった。日本市場は対照的に好調で、手数料は46億ドルと24%増えた。

23年のリーグテーブル首位は米JPモルガンで、上位8社までの顔ぶれは前年と同じだった。前年9位の中国中信集団(CITIC)が13位に、同10位のドイツ銀行が14位にそれぞれ順位を落とし、仏BNPパリバとみずほがトップ10入りを果たした。みずほの手数料は前年比16%増の19億7000万ドルだった。

日本の大手金融機関のトップ10入りは野村ホールディングスが10年に9位となって以来だ。23年は三井住友フィナンシャルグループが17位、三菱UFJフィナンシャル・グループが19位で、野村はトップ20入りを逃した。

みずほの順位上昇の理由は大きく2つある。一つがアームの米ナスダック証券取引所上場に関与したことだ。上場時の時価総額約8兆円と23年最大のIPO案件で、みずほは上場を仕切る主幹事4社に加わった。他は英バークレイズ、米ゴールドマン・サックス、JPモルガンだった。英国企業が米国市場に上場する案件の主幹事に、日系の金融機関が加わるのは異例だ。

主幹事に加わることができたのは、アーム親会社のソフトバンクグループ(SBG)との関係性が大きい。みずほは長年にわたりSBGのメインバンクであり、M&Aや資金調達を支えてきた。

みずほは15年に英ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)が持つ北米の貸出債権を買い取り、社員を引き継ぐなど、北米の証券ビジネスを拡大してきた。SBGとの距離の近さに加え、米国市場での機関投資家の営業網が評価され、大型案件の獲得につながった。

順位上昇の理由のもう一つが、米投資銀行グリーンヒル買収だ。同社は「ブティック型」と呼ぶ独立系の投資銀行で、M&A助言に強みを持つ。みずほは米欧でのM&A助言強化を狙い、5億5000万ドル(約800億円)を投じて23年12月に完全子会社化した。同年のリーグテーブルではグリーンヒルが関与した案件もみずほの集計対象となった。

グリーンヒル買収の効果は日本関連のリーグテーブルにも表れている。東京ガスが23年12月に発表した米シェール開発会社の約3800億円買収では、グリーンヒルが東京ガス側の助言役の一社に加わった。みずほ証券でM&Aを担当する木戸明宏執行理事は「グリーンヒル買収で米欧の企業の情報が入りやすくなっており、今後は(国内と海外企業間の)クロスボーダーM&Aをより支援できるようになる」と話す。

海外で実績を伸ばすみずほだが、国内市場では依然、野村の存在感が大きい。23年の日本関連のリーグテーブルで野村はM&A、株式引き受けで首位で、債券引き受けでも2位だった。半面、みずほは債券は首位だが、M&Aと株式は3位だった。

海外での実績が増え、投資銀行としてのみずほブランドが向上すれば、国内で起用の機会が増える可能性がある。投資銀行同士のシェア争いは一段と激しくなりそうだ。

(和田大蔵)

(日本経済新聞)

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