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時価総額10兆円超の企業数、「米国増・中国減」で明暗 日本勢はリクルート加入で5社 世界で6位 2021/12/07

世界トップといえる時価総額10兆円企業は米国で96社と、20年比で3割増えた=AP
世界の株式市場では今年、米中の明暗が分かれた。時価総額が10兆円を上回っている企業数を調べたところ、米国はデジタル化を追い風に前年末比で3割増え96社となった。一方、中国は当局の規制強化が重荷となって同2割減の17社となった。日本では新たにリクルートホールディングスが大台に乗せたが、合計で5社にとどまる。国内総生産(GDP)で劣る仏英独の社数を下回り、日本ではデジタル化の波をつかんだ企業はまだ少ない。

時価総額10兆円は競争力や成長性といった実力や投資家による人気などの証しで、世界トップ企業だけが手に入れられるステータスといえる。一時的に大台を突破することができても維持するのは難しい。日本企業で「10兆円クラブ」に入り、不動の地位を築いているのはトヨタ自動車のみだ。GDP成長率などで日本を上回る韓国や台湾でも1社のみだ。

QUICK・ファクトセットによると、2021年(12月3日時点)は世界で171社が10兆円を超え、前年比で2割ほど増えた。20年末の140社から大幅に増加した。米国は20年末比3割増の96社と最多で、2割減の中国(17社)、仏英独(6~8社)と続く。日本は横ばいの5社にとどまる。

時価総額が一時10兆円を下回ったものの、再び復活した企業を含む新規加入組を見ると、デジタル化の波を商機につなげた企業が目立つ。米国ではビッグデータの保管・分析を手がけるスノーフレイクが11.8兆円、20年末にナスダック市場に新規上場した民泊仲介大手のエアビーアンドビーが12.1兆円となった。アプライドマテリアルズやラムリサーチなど、通信や情報端末の部品需要が急増した半導体関連企業も大幅に伸ばした。

デジタル化を味方に付けたのはIT(情報技術)分野だけではない。手術支援ロボットなどを開発する米インテュイティブサージカルは20年末比で3割増の13兆円となった。あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」技術を導入してビルや工場のエネルギー使用の効率化を支援する仏シュナイダーエレクトリックは11.6兆円と、デジタルトランスフォーメーション(DX)と脱炭素の二つの潮流をつかんだ。

日本勢で新たに加入したのはリクルートだ。12年に買収した米求人サイト「インディード」事業が米国での人材採用需要の高まりを受けて躍進。求職者のサイト閲覧頻度で収益を得るビジネスモデルやネットで採用が完結する仕組みが新型コロナウイルス禍の需要を取り込んだ。国内ではNTTを抜き、4位に躍り出た。

M&A(合併・買収)で事業拡大を狙う企業も多い。蒸留酒世界最大手の英ディアジオは4月、カクテルブランドの「ロイヤル9カクテル」を買収。米半導体大手アナログ・デバイセズも8月、同業の米マキシム・インテグレーテッドの買収手続きを完了した。東海東京調査センターの平川昇二チーフグローバルストラテジストは「半導体など長期的に市場拡大が期待できる分野では積極的な買収が評価されやすい」という。

新型コロナウイルス禍で医薬関連企業にも注目が集まった。コロナ向けワクチンや治療薬を手がける米モデルナ、英グラクソ・スミスクラインだけでなく、店舗でのワクチン接種の広がりで業績拡大したドラッグストア運営の米CVSヘルスも伸びた。ロシア国営ガス最大手のガスプロムなど、資源高が恩恵となった企業も多い。

世界的な金融緩和の影響で余剰マネーが新興企業に流れ込む構図も浮かぶ。電気自動車(EV)のスタートアップ、米リヴィアン・オートモーティブは11月に米ナスダック市場に上場し、2日後に10兆円クラブに仲間入りした。米アマゾン・ドット・コムから商用EVを受注したが生産は追いついておらず、期待先行の株価上昇は否めない。

米ブラックストーンや米ゴールドマン・サックスなど金融や運用会社も10兆円に乗せた。米国の金融政策の正常化を見越して、利上げで恩恵を受ける銘柄に資金が移っている。ニッセイアセットマネジメントの三国公靖・上席運用部長は「来年以降は業績の裏付けが乏しい企業からは資金が退避し、圧倒的な競争力を有する銘柄に集中する可能性がある」と指摘した。

主要国で20年末から社数を減らした中国では、当局によるIT企業への締め付けが響き、スマートフォン大手の小米(シャオミ)やインターネット検索大手の百度(バイドゥ)が脱落した。その余波を受け、傘下の「ビジョン・ファンド」が中国企業に投資するソフトバンクグループも10兆円を下回った。(本脇賢尚)

(日本経済新聞)

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