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東証の市場改革、看板倒れも マネー呼び込み不透明 2021/12/28

市場再編に合わせて東証の玄関を模様替えした(25日、東京・中央)

東京証券取引所の市場再編では最上位のプライム市場の顔ぶれが、現在の東証1部と大きく変わらない見通しになった。東証は上場基準に届かなくても企業がプライムに残れる特例措置を設け、その期限を明示していない。上場企業数は欧米に比べてなお多く、優良銘柄を絞り込む質的な向上は限られる。投資家にも配慮した市場運営を強化しなければ、投資マネーを呼び込む改革は看板倒れになりかねない。

東証は1部市場(約2180社)に時価総額の小さい企業が積み上がり、投資対象としての魅力が薄れているとの危機感から市場区分の変更を決めた。当初はより厳しい基準を適用する考えだったが、人材採用などの観点から最上位市場の地位を失うのを恐れた中小規模の企業から激しい反発を招いた。政治的な配慮もあり、最終的に基準の緩和に動いた経緯がある。

どの市場を選ぶかをめぐり、個別企業の対応はわかれた。プライム基準である流通株式の時価総額100億円にみたない企業の一部は、経営戦略を練り直してプライム維持を目指す。経営コンサルティングのドリームインキュベータは事業の多角化を見直す。高千穂交易は積極的な株主還元策を打ち出し、自己資本利益率(ROE)が3期平均で8%を達成するまで配当性向100%を維持するとした。

もっともプライム基準の達成に向けて各社が開示した計画書にはばらつきがある。東証が暫定期間の期限を明示していない影響もあり、目標達成までの期間は1~7年などと幅がある。コモンズ投信の伊井哲朗社長は「海外マネーを呼び込む必要があるのに、英文で計画書を開示していないケースもある」と疑問を呈する。

市場再編ではマザーズやジャスダックなどからプライムへの昇格を目指す企業もある。メルカリやオンライン診療大手メドレーなどは22年4月の再編時にまずグロースやスタンダードに移行し、プライムへの市場区分変更の申請に向けて準備を行うとした。

市場再編に合わせて、21年6月に企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)が改定された。プライムを選ぶ企業は独立した社外取締役の比率を3分の1以上にすることや気候変動リスクの開示が求められる。ガバナンスの改善が、企業経営の透明性を高める一定の効果も見込める。

一方で、プライム基準をみたすクックパッドやエバラ食品工業などは自らの判断でスタンダードを選んだ。プライム基準を継続的に満たすのは難しいとの理由が多いが、エバラ食品の場合は「限られた経営資源を商品などの開発、組織の活性化に使うことが企業価値を向上させる」と判断した。三井住友DSアセットマネジメントの金子将大シニアファンドマネージャーは「スタンダードでも業績拡大に向けた戦略が練られていれば投資対象になる」と語る。

海外の主要市場と比べても日本は最上位市場の企業数が多い。10月時点で米ナスダックは1600社強、英ロンドンは500社弱、ドイツは300社弱にとどまる。市場改革のスタート段階では、日本市場の構造問題は解消されない。

優良企業の絞り込みが進まないと市場の規律が働かず、企業が収益性を高める動機が働きにくい。株式市場の魅力向上は、日本が国際金融センターを目指す上での最重要課題でもある。東証は市場再編を「企業の自主的な改革を後押しする」と位置づけるが、曖昧さは残る。市場には経過措置の期限の明示とともに、プライム基準の一段の引き上げを求める声も多い。

(日本経済新聞)

東証1部の9割「プライム」移行 絞り込みは小幅 2012/12/28

2022年4月に予定する東京証券取引所の市場再編で、最上位市場「プライム」の上場企業数が1800~1900社と東証1部市場(2185社)の9割程度になる見通しだ。基準を満たさないものの経過措置を使ってプライムに残る企業が約290社に上る。投資対象として魅力ある企業を選別することでプライムの価値を高めようとしていたが、企業の絞り込みは小幅にとどまる。

東証の市場区分は1部、2部、ジャスダック、マザーズの4つから、流通時価総額など新基準に基づきプライム、スタンダード、グロースの3つに再編される。企業は希望する市場を12月末までに東証に申請する。東証は22年1月11日に全企業の上場市場を公表する。

プライムに残るには基準を満たさなくてはならないが、改善に向けた計画書を提出すればプライムに残留できる経過措置が導入されている。これが選別の基準を設けても企業数が減らない要因になっている。

みずほ信託銀行の調査などによると、経過措置を使ってプライムに残ることを選んだ1部企業は28日までで290社超に上る。アパレル大手の三陽商会や高級レストランのひらまつ、食品メーカーのピエトロなどが計画書を提出した。流通時価総額100億円の基準を下回る企業が目立つ。

一方、日本オラクルやクックパッド、進学会ホールディングスなど1部の企業でもスタンダードを選ぶ企業も280社超ある。大半がプライム基準を満たしていないとみられる。

大和総研によると、基準を達成してプライムに移ると表明した1部企業は28日までで味の素や富士フイルムホールディングスなど約1290社に上る。こうした企業は最終的に1600社程度に増える見通しだ。

スタンダードに移る企業や経過措置を使用する企業なども加味すれば、現時点で東証1部の9割程度に相当する1800~1900社がプライムに残る公算が大きい。

(日本経済新聞)

プライム市場って何? 東証再編ビジュアル解説 2021/09/07

東京証券取引所は2022年4月、現在の1部、2部、マザーズ、ジャスダックの4つの市場区分を「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場に再編する。21年9月には再編後の複数市場の上場基準を満たす企業が、どの市場を選ぶかを申請する期間に入った。長く国内大企業の代名詞だった「東証1部」を廃止し、大がかりな再編に踏み切る目的や上場企業への影響、再編のスケジュールを解説する。

海外マネー呼び込み狙う
東証は22年春の市場再編では、企業に成長を促して投資マネーを呼び込むため、各市場の役割をはっきりさせる。プライムは多くの海外投資家を呼び込む大企業との位置づけだ。現在の東証1部市場は上場社数が2100社を超え、全体の6割が集中している。海外の主要市場と比べても企業数が多い。

業績や売買のしやすさを示す株式流動性の観点から投資しにくい企業が多いとの批判もあった。プライムは1部より上場基準を厳しくし、東京市場の看板として企業の「質」を高める。その一つが流通株式比率で、多くの投資家が取引しやすいよう特定株主の影響力を下げる。

また21年6月には企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)が改定され、プライム市場に上場する企業は取締役会の3分の1以上を独立した社外取締役で構成するほか、企業に気候変動リスクの開示を求めている。

企業にとって東証1部より狭き門になるが、プライムに上場できるかは重要な問題だ。最上位にいるかどうかは企業ブランドに大きく影響する。プライムだと投資家層が幅広く、指数に連動した運用を目指すパッシブマネーの流入も期待できる。人材採用や取引の面でも効果は大きい。1部からプライム市場に入るには、市場で流通する株式の比率が35%以上、流通株ベースの時価総額が100億円以上などが条件になる。

「プライム基準」3割、600社超が未達成
東証によると、6月末時点で1部上場2100社超のうち約3割の664社が基準に達していないという。再編後の経過措置により、1部上場企業は希望すれば当面はプライム市場に所属できる。東証から不適合と判定されても適合に向けた計画書を開示したり、追加の情報を出すことで再計算を求めたりすることもできる。

東証株価指数(TOPIX)改革も企業に難しい対応を迫りそうだ。現状のTOPIXは東証1部の全銘柄で構成されるが、市場再編に伴ってプライム市場と切り離される。パッシブ投資家などへの影響を考慮し、新しい基準により算出するTOPIXへの移行は25年1月まで段階的に実施する方針。

流通時価総額100億円以上の基準を設けて絞り込むため、その要件を満たさない企業はTOPIX銘柄から段階的に外れる。指数に連動する投資信託を運用する機関投資家が運用対象から外せば、売り圧力が高まってしまう。

企業はプライムを目指すために対策を打ち出している。目立つのが大株主による売却だ。1部からプライムに移行するには、市場に流通する株式が35%以上というのが一つの条件となっている。大株主が固定されていると流通株式が減るため、創業者などに株式を売却してもらい、流通株式比率を引き上げる考えだ。

衣料品通販サイト「ゾゾタウン」を運営するZOZOやトヨタ紡織、アドバンスクリエイトなどでは大株主が売却した。東証の算出方法に基づくと自社株の消却も効果的で、日立物流やアスクルなどがすでに決めている。

プライムでは流通株式の時価総額で100億円以上が必要になる。5億円未満で上場廃止になるということを定めている現在の東証1部より厳しい。ソーダニッカは初の自社株買いを決めるなど、株主還元やM&A(合併・買収)を通じた成長戦略を打ち出すことが有効になる。

22年1月11日、プライム市場の顔ぶれ公表

東証は21年7月、新市場の適合状況の通知を出した。通知を受けた企業は9月から12月30日までにどの市場へ上場するか選び、東証に申請する。東証は22年1月11日に企業が「プライム」「スタンダード」「グロース」のどの市場を選択したかを公表し、4月4日には新市場へ移行することになっている。

市場区分の再編は世界的に一巡した動きだ。ドイツ取引所は国際基準に従った情報開示を求められる「プライム・スタンダード市場」を03年につくったほか、米ナスダック市場は06年に最上位の「グローバル・セレクト市場」を新設した。東証の再編はそれから20年近く遅れたものといえる。

日本経済新聞社は日経平均株価の算出や選定を22年4月の東京証券取引所の市場区分変更にあわせ、対象市場を東証1部から東証プライム市場に変更する。

(日本経済新聞)

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