金融、コンサル、外資系の転職・求人なら人材紹介【アスパイア】

無料転職支援・
相談のお申し込み

簡単登録
(入力1分)
信頼度NO.1の人材紹介エージェント
  • pic

    Federal Reserve Board Chairman Jerome Powell

  • pic

    Wall Street sign near New York Stock Exchange

株価時価総額最新情報

Stock price market capitalization latest information

東証プライム、1839社で始動 平均時価総額は17%増 1部から8割強移行 2022/04/04

企業統治は強化されるが利益成長を欠く(1日、東京都中央区の東京証券取引所)
東京証券取引所の市場が再編され、新たに3市場が4日始動する。従来より厳しい上場基準で分けられ、実質最上位の「プライム」には1839社が上場する。東証1部に比べて上場企業数が減り、1社あたりの平均時価総額は3843億円と17%増える。企業統治は強化されるが利益成長を欠き、海外マネーをひき付けるのに十分でない。東京市場の活性化に向けた改革はなお途上だ。

東証1部、2部、ジャスダック、マザーズの4市場が再編され、「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場が新たに発足する。東証の中核市場に及ぶ再編は2部を新設した1961年以来約60年ぶりとなる。

プライムはグローバルの機関投資家の投資対象になるような規模と経営の質を備えた企業を集める位置づけだ。流通株式の時価総額100億円などの基準を課し、東証1部企業の8割強にあたる1839社(外国企業含む)が移行する。

プライム企業の実力を分析すると、企業統治の面では前進する。

プライム企業は企業統治指針で、独立社外取締役の比率を3分の1以上にするよう求められている。これを満たすのは81%と東証1部の国内企業(77%)より増える。気候変動の財務への影響を開示するよう求める「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」については、57%の企業が開示資料で言及している。1部企業では49%にとどまっていた。

一方、収益力はなお改善が鈍い。プライム企業の売上高純利益率は6%と1部企業とほぼ変わらない。投資家の成長期待が高まらない企業が少なくなく、1社あたりの平均時価総額は3843億円と1部企業に比べて約560億円の増加にとどまる。

市場再編をにらみ、企業も統治改革や収益性向上に動き出した。プライムに上場する日本たばこ産業(JT)は3月、社外取締役を増員して比率を33%から40%にした。投資家の視点から経営をチェックしてもらうようにする。ヤマハ発動機とヤマハは経営の緊張度を高めるため、持ち合っていた株式の一部をそれぞれ売却した。

日立製作所は事業の選択と集中を加速させ、あらゆるものがネットにつながるIoT戦略に軸足を移す。小島啓二社長は自動車部品子会社について「新規上場や外部資本の注入も将来の選択肢」と語る。日立金属や日立建機の株式売却に続く動きで、資本効率を一段と高める狙いだ。

世界から投資マネーを呼び込もうと、メルカリのようにマザーズやジャスダックなど1部以外の市場からプライム入りを目指す企業もある。大和総研によれば、すでに5社がプライム市場への変更を準備し始めた。

今回、プライム企業の絞り込みは十分に進まなかった。東証は基準を満たさなくても達成に向けた計画書を出せばプライム入りできる経過措置を設けた。プライム企業の2割弱の295社がこの適用を受け、全体の水準を押し下げている。1社あたりの時価総額は基準適合企業だと4477億円なのに対し、経過措置の適用企業は527億円だ。東証は経過措置の廃止時期を示していない。

投資家からは「東証1部と顔ぶれが大きく変わらないままでは投資先の選別が難しい。もっとふるいにかけてほしい」(ピクテ投信投資顧問の松元浩運用商品本部シニア・フェロー)との声が上がる。

東京市場は活力低下が指摘されて久しい。日経平均株価は1989年の最高値をなお3割下回る。この間に米ダウ工業株30種平均は13倍に伸長した。東証が制度の整備を重ねるとともに、企業が経営革新に取り組んで持続的な成長を実現できるかが課題となる。

(日本経済新聞)

menu