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歴史決議「個人崇拝禁止」消える 中国、集団指導体制に転機 2021/11/17

6中全会に参加した中国共産党の政治局常務委員会のメンバーら(11日、北京)=新華社・AP

【北京=桃井裕理】中国共産党は16日、重要会議で11日に採択した「歴史決議」の全文を発表した。毛沢東、鄧小平の時代に続く第3の歴史決議となるが、鄧時代に明記した「個人崇拝禁止」や「集団指導」の文言は記されなかった。習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)の長期政権のもと党の集団指導体制が転機を迎える可能性が強まった。

決議の正式名称は「党の100年にわたる奮闘の重大な成果と歴史経験に関する決議」。8~11日に開かれた第19期中央委員会第6回全体会議(6中全会)で採択され、最終日にコミュニケ(公報)で概要のみが公開されていた。

共産党の歴史決議は1945年の毛、81年の鄧の時代の2回のみ。両者は決議を通じて自身の権力を確立し、その後約40年の中国の方向性を決定づけた。

特に鄧の決議は、改革開放の方針を打ち出すとともに、毛時代の反省を踏まえ「徳と才を兼ね備えた指導者らによる集団指導体制を必ず樹立し、いかなる個人崇拝も禁止する」と掲げた。「指導者・幹部の事実上の終身制を撤廃する」とも明記し、独裁の暴走を防ぐ体制をつくった。

今回の決議からは個人崇拝や終身制など、専制に歯止めをかける文言はなくなった。これまでの集団指導体制が形骸化する恐れがある。習氏は来年の党大会で異例の3期目就任が確実視され、終身も視野に入れているとみられている。

米国に並ぶ大国になろうとする中国で独裁が進み、政治や政策の不確実性が高まれば、世界経済や安全保障への影響は避けられない。

改革開放については「全面深化」の方針を打ち出したが、これまでの経験に基づき今後も堅持する「10の堅持」方針には入らなかった。

同時に、改革開放以降「長期にわたって解決していない矛盾と新たに出現した矛盾に直面した」と問題点を挙げた。さらに、その時代に党の統治が緩み「腐敗がまん延し、党の創造力、求心力、戦闘力が弱まった」と批判した。

そのうえで、習氏の業績として、鄧時代以降の難局を打開した点を力説した。反腐敗や脱貧困、党の指導の強化などを念頭に「長期にわたって解決できなかった多くの難題を解決し、成し遂げられなかった多くの大事を成し遂げた」と称賛した。

決議の最後にある「新時代の中国共産党」と題した章では「2035年までの社会主義現代化の基本的実現」「今世紀半ばまでの社会主義現代化強国の完成」との目標を掲げた。「共同富裕の基本的実現」「中華民族の偉大な復興」など習氏が掲げる理念や用語をちりばめ、今後も習氏の統治が続く可能性を示唆した。

毛時代の大躍進運動や文化大革命については基本的に「誤り」との方針を維持した。天安門事件は「政治風波(騒動)」「動乱」と従来の表現を踏襲した。

台湾問題に関しては「台湾独立・分裂活動と外部勢力の干渉に断固反対し、両岸関係の主導権をしっかり把握する」と記した。香港については「一時期『反中乱港』の活動が激化したが、中央による全面的なガバナンスと『愛国者による香港統治』を確立した」と成果を誇った。

【北京=羽田野主】中国共産党が16日発表した第3の「歴史決議」全文では、習近平(シー・ジンピン)総書記の名前や政治思想に触れる記述回数で建国の父、毛沢東を上回った。習政権下についての言及は全体の半分以上におよび、毛時代と比べても3倍以上と歴代指導者との差が際立った。

習氏が主導した歴史決議の全文は約3万6000字に及んだ。過去の歴史決議と比べると、毛が1945年に起草して独裁的な権力を掌握した第1の歴史決議は約2万8000字、鄧小平が指導して文化大革命を否定した第2の歴史決議は約3万4000字と、今回の歴史決議が最も長い。

今回の歴史決議全文のうち、毛時代は約5600字、鄧時代、江沢民(ジアン・ズォーミン)元総書記、胡錦濤(フー・ジンタオ)前総書記の合計は約4100字だった。

一方、習政権下の9年間については、習氏以前の党の状況も振り返りながら各分野の業績を詳細に説明しており、約1万9000字を費やした。

歴代指導者の名前の登場回数でみると、習氏は22回と、毛(18回)を上回り、鄧(6回)の3倍以上だった。江氏と胡氏はそれぞれ1回だった。

歴代指導者の提唱した政治思想や理論で絞って比べると、見え方が異なる。「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想」は8回と、「毛沢東思想」(7回)を上回りトップだった。ところが、江氏が提唱した「3つの代表」重要思想と、胡氏の「科学的発展観」はそれぞれ4回ずつと、経済大国の礎を築いた「鄧小平理論」(3回)を上回っている。鄧小平理論がもっともかすんだ格好だ。

鄧のキーワードである「改革開放」の登場回数は40回と、習氏のキーワードである「新時代」(47回)を下回った。

(日本経済新聞)

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