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海外ファンド、日本の富裕層に照準 カナダ系が投信販売 2023/12/05

海外ファンドが日本の富裕層への運用商品の提供を拡大している。カナダ系大手のブルックフィールドは大手証券会社と組んで2024年から、海外の不動産やインフラを対象とする公募投資信託を国内で販売する。米ブラックストーンや米KKRなどに続く動きで、資金の調達先を分散して運用を安定させる狙いがある。

グループ会社で富裕層へのファンド提供を手掛けるブルックフィールド・オークツリー・ウェルス・ソリューションズのデービッド・リーバイ最高経営責任者(CEO)が明らかにした。まずは24年初めに、ブルックフィールドが個人投資家の購入を想定した非上場の不動産投資信託(REIT)を国内向けに提供し始める。

国内では個人から資金を募って組成した公募投信がブルックフィールドのREITを購入する形をとる。公募投信の販売を担う証券会社は現時点で非公表としている。詳細は調整中だが、最低投資額は数百万円を見込み、購入や換金には一定の制限を設ける。

ブルックフィールドは不動産やインフラ、プライベートエクイティ(PE=未公開株)などのオルタナティブ(代替)投資の大手ファンドで、23年9月末時点の運用資産総額は約8500億ドル(約124兆円)。19年には不良債権投資に強みを持つ米オークツリー・キャピタル・マネジメントを子会社化した。

ブルックフィールドは国内では私募形式でオルタナティブ資産のファンドを提供した実績があるが、公募投信を提供するのは初めて。REITに続き、公募形式でのインフラファンドの提供も24年内に始める。リーバイCEOは「オルタナティブ資産を加えることで運用の安定性が増すため、市場の不透明感が強まるなかで投資家からの引き合いは強い」と話す。

米欧の大手ファンドはこれまで機関投資家が中心だったファンドの販売先を個人に広げている。ブラックストーンは22年以降、海外のREITやプライベートクレジット(企業向け融資)ファンドを日本で相次ぎ提供し始めた。販売はそれぞれ野村証券と大和証券が手掛ける。

KKRはSBIホールディングスと共同出資会社を設立し、プライベートクレジットファンドなどの国内での提供を計画する。米ゴールドマン・サックスも国内でのファンド提供を準備中だ。

ファンドが個人に対象を広げる主な狙いに資金調達先の分散がある。機関投資家は個人と比べて説明などの手間はかかりにくい半面、要求リターンが比較的高く、運用方針が景気や法規制などに左右されやすい。資金の出し手を個人に広げることで、手元資金を安定させて投資機会を捉えやすくする。

個人のオルタナティブ投資は世界で拡大する見通しだ。米コンサルティング大手のベイン・アンド・カンパニーによると、富裕層によるオルタナティブ分野の資産総額は32年時点で13兆ドルと22年比3.3倍に成長する見込み。年平均成長率は12%で、機関投資家の資産総額の年平均成長率の8%を上回る。

個人向けファンドには換金制限リスクがある。ブラックストーンのREITは22年末、一定期間内に上限を超える解約請求があったため解約制限を発動した。一部の投資家が上場株や債券で抱えた損失の埋め合わせのためにREIT売却を急いだためで、23年に入っても換金制限の発動が続いた。

ファンドの投資対象はもともと機関投資家に限定され、上場株などに比べて情報開示が少ない未公開資産だ。国内でも個人投資家に浸透させるには、換金制限があるなど丁寧な説明が求められる。

(和田大蔵)

(日経新聞)

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