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海渡る「出稼ぎ日本人」 さよなら、安いニッポン 2023/03/04

安いニッポンよ、さようなら――。景気低迷が続き、賃金が上がらない日本を見限り、高額報酬を求めて海を渡る日本人が後を絶たない。経済協力開発機構(OECD)によると、日本の平均賃金は34カ国中24位。主要7カ国(G7)で最低だ。より条件の良い労働環境を求めて海外に移住する「出稼ぎ日本人」の実態を探った。

「年収は前職の約1.5倍。日本では手に入らない生活環境を得られた」。スウェーデンの首都ストックホルム。北欧のベネチアと呼ばれる美しい町で、システムエンジニアとして働く日本人男性(34)の表情は明るい。

2020年2月、同国のスタートアップ企業に日本の自動車メーカーから転職した。社員約3500人のうち日本人は20人ほど。欧州や北米の自動車メーカーや産業機械メーカー向けにシステム設計をするのが主な仕事だ。

海外転職のきっかけは前職時代の欧州出張。グループ会社で働く同僚は午後6時に仕事を終えて家族と夕食を楽しみ、週末もしっかり休んでいたが、給料は日本より高かった。男性は国立大大学院を卒業後、7年間勤めたが給料は頭打ち。繁忙期は深夜の帰宅も多く、残業が80時間を超える月もあった。

「停滞する日本よりも、海外で成長したい」。海外転職の支援会社などを利用して転職活動を開始。海外の自動車メーカーなど数社の面接を受け、今の会社にたどり着いた。

平日は午後6時に家路につき、妻と一人娘と夕食を共にする。食後に娘と外で遊ぶ機会も増えた。公用語はスウェーデン語だが、国民の多くが英語を話せるので言葉の壁もそれほど感じないという。

「一番生活しやすい日本にいるのがベスト。だが報酬やワークライフバランスを犠牲にしてまで日本に戻るのは難しい」と男性。当面は同国でキャリアを積むつもりだ。

より良い報酬や労働条件を求めて海外に移り住むビジネスパーソンが増えている。OECDによると、21年の日本の平均賃金は3万9711ドル(1ドル=136円換算で約540万円)。3万7866ドルだった1991年から30年間ほとんど増えていない。一方で、米国の賃金(7万4738ドル)は日本の約1.9倍に上り、同じ期間で約1.5倍に増えた。韓国(4万2747ドル)は15年に日本を抜いた。

すし職人の田中康博さん(37)は16年に渡米。米国の高級すし店のヘッドシェフなどを経て20年12月に独立した。今は米フロリダ州マイアミのすし店でオーナーシェフを務める。

大学卒業後に青年海外協力隊に入隊。調理師専門学校を卒業し、東京・銀座の高級すし店に就職した。だがカウンターに立つ機会は訪れず、シャリを握れたのは閉店後の練習だけ。買い出しにまかないづくり、電話番などに追われたが年収は300万円ほどだった。

「ニューヨークなら握れるぞ」。2年半ほど下積み生活を続けたある日、一時帰国した元兄弟子から誘われた。元兄弟子が働いている同地のすし店に転職し「初めて客にすしを握った」。それでも渡米1年目の年収は銀座時代の2倍。キャリアを重ねる中で収入は順調に上がり、独立した今の年収は約8000万円だ。

田中さんは銀座時代の親方や兄弟子に感謝しつつ「日本は年功序列で、才能よりも長い下積み修業が重視される。米国では年齢や性別も関係なく、チャンスが圧倒的に多い」と語る。

海外転職支援を手掛けるGJJ(東京・新宿)創業者の田村さつき氏によると、円安も追い風となり、22年の海外転職希望者の問い合わせは21年の約1.5倍に増えた。「以前は有名大学を卒業した20代後半から30代前半の若者が中心だったが、最近は海外駐在経験のある50〜60代も増えた。日系企業の現地採用などで東南アジアに転職する例が多い」と話す。多くが永住目的ではないという。

海外転職にはリスクもある。海外就職研究家で関連する著書もある森山たつを氏は「海外で高い報酬を得るには専門性の高いスキルが求められる。誰もが通用するわけではない」とくぎを刺す。規制が厳しく解雇されにくい日本に比べ、海外は試用期間が長く、成果が出なければすぐに解雇を言い渡されることもある。医療費が高いうえ、水準の高い医療にアクセスしにくい地域もある。

森山氏は「転職を決める前に短期間でも現地で生活してみること、何かあった場合に現地で転職したり、日本に帰国したりできる選択肢を残しておくことが重要だ」と話している。

(前田健輔)

(日本経済新聞)

「魅力度指数」大きく減少 賃上げと生産性向上がカギ 2023/03/05

日本の「魅力度指数」低下 アジア発展、賃金差縮小

外国人労働者にとっても、日本は魅力的な国とは言えなくなりつつある。第一生命経済研究所の星野卓也・主任エコノミストは、最低賃金をベースに日本で働いた場合、自国の何倍の賃金を得られるかを「出稼ぎ魅力度指数」として試算した。2011年と21年を比較すると、ベトナムは38.7倍→20.5倍、中国は7.8倍→3.6倍と10年で大幅に減少した。

発展途上国の経済成長などに伴い、日本との賃金差は縮まっている。星野氏は「優秀な人材が海外に流出し、外国人労働者も集まらない傾向が強まっている。つなぎ留めには賃上げや生産性の向上が欠かせない」と指摘する。

(日本経済新聞)

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