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産業DXで変革を推進 「新たなビジネス創出」を目指す三菱商事 2022/03/30

あらゆる産業と接点を持ち幅広い事業を展開する三菱商事。同社はいま、これまで蓄積してきた豊富な産業知見という強みを活かしたデジタルトランスフォーメーション――「産業DX」の実現に向けた取り組みを加速させている。三菱商事が目指す産業DXの狙い、および三菱商事のデジタル戦略を専門部隊として支えるエムシーデジタル(以下、MCデジタル)について、三菱商事デジタル戦略部長兼MCデジタルCEOの平栗拓也氏、さらにMCデジタルのスペシャリストを代表して植松良文氏と石塚悠太氏に話を聞いた。
(聞き手・日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボ所長 戸川尚樹)

―― 三菱商事が目指す産業DXの狙いについて教えてください。

平栗 産業DXは、三菱商事の豊富な産業知見を活かしたDX戦略を意味しています。三菱商事には全産業を俯瞰する豊富なオペレーションノウハウの蓄積という強みがあります。ここにデジタル技術を掛け算し、三菱商事の強みを最大限に発揮した産業全体のDXを推進していくことが狙いです。単にデジタル化に取り組んで収益を上げたり、事業を拡大したりするのではなく、産業のなかにデジタルケーパビリティを組み込んで既存の産業をより強くすることを目的としています。また、あらゆる産業のお客さまが利用できる産業知見のプラットフォーム化やアルゴリズムの抽象化も進めています。このような取り組みが商社の新しいビジネスモデルになると考えています。

―― 産業DXの成果物として、どのようなサービスが提供できるのでしょうか。

平栗 成果物は二つあります。一つはビジネスモデルそのものです。例えば既存の流通システムにAIを組み込んだ新しいビジネスモデルをつくり始めていますが、これは既存の産業知見という強みがあるからこそできるものです。もう一つは、これまで開発してきたアルゴリズムやデータサイエンスの仕組みをデジタルプラットフォーム化し、それをサービスとして展開していくことです。

―― 産業DXを推進する専門部隊として、三菱商事は19年9月にMCデジタルを設立しました。どのような経緯から新会社の設立に至ったのでしょうか。

平栗 産業DXの推進に必要な最先端のデジタル技術の開発機能、ビジネスモデル変革の知見を内製化するというコンセプトを実現するためにも、MCデジタルという別会社が必要でした。設立から2年半、さまざまなデジタル領域のスペシャリストが50名ほど在籍しています。

三菱商事デジタル戦略部長 MCデジタルCEO 平栗 拓也 氏
三菱商事のIT戦略に携わったのち、2社の社内起業を経験。国際戦略研究所、ブラジル現地法人、経営企画部を経て、19年4月に三菱商事デジタル戦略部長、同年9月にMCデジタルCEOに就任。

互いを尊重し合う風土が魅力

―― MCデジタルに加わった社員の皆さんはどのような理由から入社を決断し、現在はどのような業務に携わっているのでしょうか。

植松 外資系コンピューター企業でプロジェクトマネージャー、外資系コンサルティングファームでDX改革とビジネス改革のコンサルティングに従事したのち、MCデジタルに入社しました。それまでの経験を活かし、三菱商事が手がける幅広い産業のDX改革やビジネス改革に取り組むことで、自分自身のスキルも高めていきたいと考え入社を決断しました。現在はプロジェクトマネージメントの経験を活かし、MCデジタルで同時に進んでいる15以上のプロジェクトを取りまとめるスーパーバイザーとして業務に携わっています。

石塚 大学院卒業後に渡米してNASAの人工衛星を使った研究に従事していました。もともとインフラの勉強をしており、将来的には外部費用を可視化して社会コストの少ない意思決定を行っていくために、既存産業のデータを集約・分析する仕組みをつくる仕事に携わりたいと考えていました。自分がやりたいこととMCデジタルのビジョンが合致し、さらに三菱商事が持つ産業界との強固なネットワークに魅力を感じ、入社を決めました。現在は各プロジェクトに参加するデータサイエンティストとビジネスサイドの橋渡し役として、お客さまのニーズに沿った技術的な方針を立案する業務を担当しています。

MCデジタル プロジェクト推進室長補佐 プロジェクトマネージャー 植松 良文 氏
外資系コンピューター企業でシステム導入のプロジェクトマネージメントを多数経験したのち、外資系コンサルティングファームで業務改革・DX改革を支援するシニアマネージャーとして活躍。21年6月より現職。

―― お二人から見て、MCデジタルはどのような会社ですか。

植松 社員全員が前向きなディスカッションを通じて切磋琢磨しながら質の高いアウトプットを出しています。これまでの経験にもとづいたマネージメント能力や技術スキルだけに頼るのではなく、デジタル変革に必要なアルゴリズムや新しい技術の習得にも前向きに取り組むレベルの高い人たちばかりです。また、上下関係を定義していないフラットな組織構造のため、管理の仕組みやルールについても、社員が自発的に決定していく社風が育まれていると感じます。

石塚 入社してみると自分とは違う専門性を持った非常に優秀なスペシャリストが集まっていることに驚かされました。人と人のつながりを大切にし、それぞれが尊重しながら学び合える雰囲気や風土が醸成されています。これはMCデジタルの魅力であり、強みだと考えています。

―― まさにスペシャリスト集団と呼べるMCデジタルですが、どのような観点から人材を集めているのでしょうか。

平栗 まずは専門部隊なので、プロジェクトマネージャー、データサイエンティスト、エンジニアなど、それぞれに求められる能力を備えているか、実力があるかという部分は重視しています。同時にもう一つ、私たちが大事にしているのは、社員同士が互いにリスペクトし合える文化に適合する素養の人材であるかという点です。また、社会課題の解決にやりがいを感じているか、前向きに取り組もうと思っているかといった点も大事にしています。

産業DXで新ビジネスを創造
―― どのような産業DXの取り組み事例がありますか。

平栗 業種業界を問わず、さまざまな産業向けのDX推進に取り組んできました。その一例として挙げられるのが「食品流通DXプラットフォーム」です。これは食品ロスという課題を抱える食品流通業界向けに、サプライチェーンに関わる受発注や在庫などのデータをAI技術で解析し、余剰在庫を大幅に削減する需要予測モデルを提供するプラットフォームです。このほか再生可能エネルギーを中心としたエネルギー産業領域のDX、大きな変革期を迎えた自動車産業領域のDXを推進するプロジェクトなども進んでいます。
MCデジタル データサイエンティスト 石塚 悠太 氏
東京大学大学院在学中にJAXAと協働で洪水予測システムを構築。卒業後はマサチューセッツ大学およびNASAで人工衛星ミッションに参画。衛星画像と数値モデリングを活用した減災技術開発に従事。2020年10月より現職。

―― 今後の展望を教えてください。

平栗 私たちが目指しているのは、産業DXの実現を通じて新しいビジネスモデルを生み出し、さまざまな企業と連携し、社会課題の解決をすることです。その過程において「これまで取引関係はないけれども、三菱商事にDX推進の相談をしてみよう」と思われるような存在になりたいと考えています。私たちはあくまでも〝黒子〟として、MCデジタルを起点にお手伝いしていきたいと考えています。

石塚 三菱商事のお客さまや投資先のデータとナレッジを一つのプラットフォームにまとめ、それらをもとに意思決定ができるようになることが、産業DXの本質だと考えています。まずは産業の壁を溶かすことで、素早い意思決定を支援する基盤をつくり上げたいと思います。

植松 三菱商事にはあらゆる産業の知見が蓄積されています。それを三菱商事グループ外の産業領域にも横展開し、社会課題の解決に貢献していくことが私たちの役割です。ただし、MCデジタルだけでは機能的に限られている部分もあるので、他社とも連携しながら、三菱商事が目指す産業DXの実現に取り組みたいと考えています。

(日本経済新聞)

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