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第一生命、ベネワン買収でパソナと合意 2173円でTOBへ エムスリーは1600円見直さず、不成立へ 2024/02/08

第一生命ホールディングス(HD)は8日、福利厚生代行のベネフィット・ワンを買収することで同社の親会社パソナグループと合意したと発表した。9日からTOB(株式公開買い付け)を始める。医療情報サイト運営のエムスリーとの買収戦を制し、保険以外の事業の拡大につなげる。

大企業が進行中のM&A(合併・買収)に後から参入することは異例。好条件を提示した側が買収を実現させるという観点からも日本のM&Aの転機となる。

TOB価格は2173円で、買収総額は2920億円。パソナは8日、一連の取引で保有するベネワン株を売却することで第一生命HDと合意し、エムスリーと結んでいたTOBへの応募契約は終了したと発表した。

ベネワンには2023年11月、エムスリーが買収に向けて1株1600円でTOBを始め、約51%を持つパソナは応募契約を結んだ。第一生命HDは12月、パソナとの同意を前提として対抗提案を発表。2123円でのTOBを打ち出していた。

パソナとエムスリーの応募契約には上回る条件での提案がでてきた場合は協議するとの条項があり、パソナは両社案を比較して検討を続けていた。第一生命HDが最終的にTOB価格を2173円に引き上げたこともあり、パソナは第一生命HD案のほうがエムスリー案より企業価値向上に資すると判断した。

ベネワンはエムスリーのTOBに賛同していたが8日、エムスリー案への意見を留保へと変更し、第一生命HDのTOBに賛同すると発表した。

エムスリーは同日、パソナとベネワンの変更を受けて、TOBの条件見直しはしないと発表した。エムスリーのTOBは不成立となる見通し。ベネワンから事業提携の意向を受けているとして、第一生命HDの買収完了後に3社間での協議を検討するという。

ベネワンは企業の福利厚生を代行し、約950万人の会員がいる。第一生命HDは福利厚生代行という非保険事業の拡大だけでなく、ベネワン会員の家族構成や年齢層に合わせた最適な保険提案にもつなげる。

国内市場の成長が見込みづらい生命保険業界では非保険事業を強化する動きが相次ぐ。国内生保最大手の日本生命保険は23年11月末に介護最大手のニチイ学館を傘下に持つニチイHDを約2100億円で買収し、介護事業への参入を決めた。

パソナは24年5月期にベネワン株の売却益として1136億円を特別利益として計上する見通し。資金は間接業務を請け負うBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業などの成長投資にあてる予定だ。

買い手と対象会社の合意で粛々と進むことが多かった日本のM&Aは経済合理性を重視する形に変わりつつある。

23年にはニデックが事前の同意がないままに工作機械のTAKISAWAに買収を提案し実現させた。今回の第一生命HDはすでに合意のもと進んでいたM&Aに横入りした格好だ。

日本企業のM&Aでは早い者勝ちの様相が強かったが今回、ベネワンの経営陣はパソナ以外の一般株主、パソナの経営陣は自社の株主に対して、エムスリーと第一生命HDのどちらが利益をもたらすかを検討し、第一生命HD案に乗り換えた。

この流れが定着すると合意をもとに進むM&Aに、さらに高い価値を提供できると考える第三者が登場しやすくなり、企業価値の向上策を競い合うことになる。M&Aが活性化すれば、日本企業の成長力も高まる。

(日本経済新聞)

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