金融、コンサル、外資系の転職・求人なら人材紹介【アスパイア】

無料転職支援・
相談のお申し込み

簡単登録
(入力1分)
信頼度NO.1の人材紹介エージェント
  • pic

    George Roberts, founding partner of Kohlberg Kravis Roberts & Co.,

  • pic

    Blackstone CEO Steve Schwarzman 

投資ファンド業界最新情報

Investment fund industry latest information

第一生命、融資ファンド買収へ 株・債券から運用多様化 2023/10/23

第一生命ホールディングス(HD)は投資家から預かった資金を融資で運用しているトパーズ・キャピタル(東京・港)を買収する。買収額は数十億円規模。銀行が融資しにくい企業に資金を出して比較的高い利回りを狙うのが特徴だ。資産運用立国を掲げる政府は機関投資家に運用力向上を求めており、買収の動きが活発化しそうだ。

トパーズは預かり資金を融資で運用する「プライベートデット」と呼ばれるファンドに特化した運用会社。2012年の設立で、これまでに立ち上げた2つのファンドによる累計融資額は約1000億円にのぼる。ファンドには第一生命保険のほか、地方銀行や企業年金など約70の機関投資家が資金を出している。今秋以降、3号ファンドを立ち上げる。

「ミドルリスク・ミドルリターン」を掲げ、目標とするファンドの運用利回りは4〜6%程度だ。対象は事業再生や成長途上で一時的に損益が悪化していたり、融資限度額などが壁となって銀行からの追加借り入れが困難だったりする中堅・中小企業だ。融資額は1件あたり10億〜50億円程度で、平均の融資期間は2年以内だ。

第一生命HDは株式や債券などの伝統的な運用資産と異なるオルタナティブ(代替)資産の運用強化を目指している。高い利回りを得られれば、資産形成に貢献する商品をつくりやすくなるメリットがある。

金融庁の認可手続きなどを経て、年末までにトパーズの発行済み株式の約70%を取得する。買収額は数十億円になる見通しだ。買収後もトパーズの経営体制は変えず、運用方針などの独立性を保つ。第一生命HDは経営資源の提供やガバナンス(企業統治)を担う。トパーズに資本参加している野村HDの出資比率は10%で変わらない。

プライベートデットは08年の金融危機以降の規制強化で制約が増えた銀行融資の不足を埋める手段として米欧を中心に発達してきた。英調査会社プレキンによると、23年3月末時点の運用残高は約1兆6000億ドル(約240兆円)に達する。直近5年間の平均成長率は15%超とオルタナ資産のなかでも高い水準を維持している。

日本でも大手銀行を中心に融資先の選別が進み、今後受け皿のひとつとしてプライベートデットの拡大が期待されている。プライベートデットは変動金利での融資が中心で、投資家にとっては金利の上昇局面で恩恵を受けやすい点も市場の活性化に追い風となりそうだ。

第一生命HDは27年3月末までに、現在約3兆円の株式時価総額を2倍の6兆円に高める目標を掲げている。営業職員による営業中心の国内生保事業が低迷するなか、成長領域と見込む資産運用事業のてこ入れで収益力の強化をめざす。

将来的にはトパーズのほかにも、運用資産や地域が重複しない専門性の高い運用会社を傘下に収める方針だ。海外では米大手生保ニューヨークライフがグループ会社を通じて専門領域の異なる複数の運用会社を傘下に収める例があるが、国内では同じようなビジネスモデルはない。

資産運用立国を掲げる政府は年内にも実現に向けた計画をまとめる。プライベートデットやプライベートエクイティ(PE=非公開株)などオルタナ資産を中心とした運用対象の多様化や専門人材の育成を含めた運用力の向上が主な課題になる。

(日本経済新聞)

menu