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米国で在宅勤務が定着してきた。新型コロナウイルス感染拡大前と比べて出社比率は4割台の水準で推移している。在宅と出社を組み合わせるハイブリッド型の働き方が広がっており、アマゾン・ドット・コムはオフィスの拡張計画を見直し始めた。
7月下旬の西部サンフランシスコ。クラウド大手セールスフォース・ドットコムなどが本社を構えるオフィス街の人通りは平日でも多くない。
「コロナ前は週5日出社していたけれど、今は水曜と木曜だけ。同僚に会うのは大事だけど、集中して作業する日も必要だから」。金融系IT(情報技術)企業に勤めるラニー・ラゲットさん(26)は言う。
「新たな日常」に
全米で2600棟のビルを管理しているキャッスル・システムズが入退出システムの利用データをもとに推計したところ、サンフランシスコのオフィスワーカーの出社率は7月中旬でコロナ前の39%だった。
全米主要10都市の平均出社率は変異型「オミクロン型」が流行していた22年1月中旬の時点でコロナ前の3割弱だった。3月以降は4割台で推移している。
コロナ禍で人々の行動分析に使われた他の指標と比べると、オフィスへの人の戻りの鈍さが際立つ。
例えばオープンテーブルが全米のレストランを対象に調べているディナーの予約数は、7月までに19年とほぼ同水準に戻った。米運輸保安局(TSA)が集計している米国内の空港の通過人数も9割まで回復している。
マイクロソフトのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は、ハイブリッド型こそがすでに通常の勤務形態との認識を示す。「週40時間以上の出社」を求めるテスラのイーロン・マスクCEOのような経営者もいるが、企業が求めても従業員が出社しない「グレートレジスタンス」と呼ぶ動きも起きている。
ハイブリッド型が好まれるのは、オフィスと在宅勤務の両方の良い点を取り込めるためだ。ハーバード・ビジネス・スクールによると、出社比率が2~4割の場合に「仕事の成果物の新規性とコミュニケーションの両方を増加させる可能性がある」との研究結果もある。
リモートワーク研究の第一人者であるスタンフォード大学のニコラス・ブルーム教授は「企業が再開を模索する時期は過ぎており『新たな日常』と捉えるべきだろう」と指摘する。「週5日の出社を強制するのは非現実的だ」と語る。
働き方の変化は、オフィスのあり方に見直しを迫る。アマゾンは7月、西部ワシントン州と南部テネシー州で進めていた新オフィスの建設工事をいったん中断した。設計そのものを見直す必要が生じたという。
日本は出勤6割
不動産情報のクッシュマン・アンド・ウェイクフィールドによると、4~6月期の米国のオフィス空室率は17.6%。コロナ前より5ポイント近く高い。
足元の感染急拡大で小休止の状況がみられるものの、日本では出社が増えている。日本経済新聞の調べでは、東京・大阪・横浜の主要37拠点の6月半ば時点の出勤者数は、3年前に比べて6割の水準まで戻っている。22年3月との比較では20%の増加だった。
米フューチャー・フォーラムの2月の調査では、完全出社で働く人の比率が日本は50.9%と米国(34.7%)やドイツ(32%)などに比べ高く、対面重視の傾向が確認できる。ホンダやいすゞ自動車、日揮ホールディングスなどが5月以降原則出社に戻しており、完全出社している人の比率はさらに高まっている可能性がある。
原則在宅から「必要に応じ出社可」とした日立製作所や、主要子会社で原則テレワークにかじを切ったNTTなど明確な方針を示せているのは大企業の一部にとどまっている。日本のオフィスワーカーの間で「なんとなく出社」が増えている実態もありそうだ。
(シリコンバレー=佐藤浩実、京塚環)
(日本経済新聞)