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米テック、拡大路線転換 AmazonやSalesforce人員削減 2023/01/05

2023年1月5日 20:05 [有料会員限定]

米テクノロジー企業の人員削減が広がっている。4日には米アマゾン・ドット・コムが1万8000人超、米セールスフォースが7000人超のレイオフ(一時解雇)を発表した。利上げに伴う景気減速懸念や株主からの圧力が背景にある。各社は事業の見直しにも着手しており、想定を上回るペースで拡大路線の転換を迫られている。米国などのテック企業の2022年の人員削減は15万人超の高水準となり、業界の勢力図が変わる契機になるとの見方もある。

「経済情勢が不透明であることや、ここ数年急速に人材を採用してきたことを考慮すると、今年の(事業計画の)見直しはより困難なものとなった」。アマゾンのアンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)は従業員らに宛てた4日付のメッセージで当初の想定を上回る規模のリストラを迫られたことを示唆した。

アマゾンの人員削減計画が伝わった22年11月時点では、米メディアは対象者数は約1万人だと報じていた。足元の景気見通しを前提に経営幹部らが23年の事業計画を見直した結果、リストラの対象はスマートスピーカー「エコー」などをてがける端末部門だけでなく、主力のネット通販や人事部門にも広がった。

セールスフォースも4日、今後数週間で従業員を約1割削減すると発表した。直近の従業員数は8万人前後とみられ、対象者は7000人を超える可能性がある。マーク・ベニオフ共同CEOは同日、従業員宛てのメッセージで「環境は依然として厳しく、顧客は購買の意思決定により慎重になっている」と述べた。

22年11月には米メタ(旧フェイスブック)が世界で1万1000人超の削減を発表したが、アマゾンの人員削減はこれを上回る規模だ。米国を中心とするテック企業のリストラ情報を集計するLayoffs.fyiによると、各社の人員削減は22年に計15万人を超える高水準となった。

米テック企業は08年の米金融危機以降、ほぼ一貫して事業を拡大させてきた。20年に新型コロナウイルスの感染が拡大すると巣ごもり消費などで需要が急増、「パンデミック(新型コロナの世界的な流行)後もオンライン化が一段と進むと予想し、投資を増やした」(メタのマーク・ザッカーバーグCEO)。

だが特需は一過性に終わり、22年7~9月期決算では大手5社のうち米アップルを除く4社が減益となった。

コロナ下で世界の中銀がとったゼロ金利政策の転換が進み、金利の急上昇で景気の減速感も強まる。金利上昇は成長期待からテック株に流れていた投資マネーの逆回転につながっている。業績悪化が顕著なメタの株価は22年初めから約6割、米アルファベット(グーグル持ち株会社)やアマゾンも約4~5割下落する。

株価下落で米欧のアクティビスト(物言う株主)はメタやアルファベットにコスト削減による収益改善を求めている。

アクティビストが指摘するのは巨大テックの人件費の高さだ。英有力アクティビストのTCIファンド・マネジメントはアルファベットのスンダー・ピチャイCEOに対し、従業員の報酬がテック業界の時価総額上位20社の中央値(11.7万ドル)の2.5倍に達すると批判する書簡を送った。

ゼロ金利下での株価上昇局面では巨大テックは株式報酬も含め資金力で人材を囲い込んできた。3年でメタの従業員は2倍に、ツイッターの従業員は9割増えていた。

事業見直しも進む。グーグルは11月末、ゲーム配信サービス「スタディア」の利用者に「事業停止に伴う機器購入代金の返金を2週間以内に始めます」と通知した。19年に米国などでサービスを始めたが利用者は伸び悩み、22年9月に事業中止を決定。先端開発部門のプロジェクト数を半減することも決めている。グーグルのピチャイCEOも「本来はもっと早くやめるべき事業があった」と振り返る。

メタやアルファベットの収益源であるネット広告は景気減速だけでなく、プライバシー規制の強化にも影響を受ける。

欧州当局などは米テック大手が高いシェアを持つ世界のネット広告やSNS(交流サイト)でのデータの独占に対して監視を強めている。法令に違反した場合は巨額の制裁金を科されるほか、規制に対応することでネット広告の精度が下がり広告の単価も落ちるため、これまでのような高い収益をあげられなくなる。

創業から年月がたち、巨大テックのビジネスモデルは成熟化しつつある。スマートフォンは価格が上昇する一方で、消費者が驚くような革新は起こしにくく、ネット通販やサブスクリプション(定額課金)も景気減速や競争激化の影響を受ける。各社ともこれまでのような高成長を続けることは難しくなっている。

(日本経済新聞)

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