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米テック解雇、人材流動促す 世界で昨年16万人 今年も高水準、富士通など海外採用拡大 2023/03/24

日本の情報・電機関連企業が海外で人材獲得を急いでいる。米メタ(旧フェイスブック)やアマゾン・ドット・コムが1万人超のレイオフ(一時解雇)を実施する一方、富士通や東芝テックは海外で技術者採用を増やす。不透明感強まるテック産業だが、待遇面で見劣りする企業に採用機会が広がる。人材流動が新たな競争環境を作るきっかけになるとの見方もある。

米西海岸シリコンバレーのスタートアップ企業への融資などで知られるシリコンバレーバンク(SVB)の経営破綻が10日に伝えられると、テック界では波紋が広がった。資産規模は2090億ドル(約27兆7500億円)で、2008年のリーマン・ショック以降では最大の銀行破綻となる。景気減速によるテック企業への投資が冷え込むなか、中長期的な影響を懸念する声が強まっている。

旺盛なIT(情報技術)需要を受けて採用を大幅に増やしてきたテック企業だが、成長の鈍化や景気後退への懸念が広がったことから、22年以降は大幅な従業員の削減に踏み切っている。米メタは、昨年公表した1万1000人の人員削減に加えて新たに1万人を解雇すると発表した。他にも、米グーグルや米マイクロソフト、米アマゾン・ドット・コムが世界で1万人を超える従業員の削減を明らかにしている。

米雇用情報サイトLayoffs.fyiによると、22年にテック企業が公表した世界全体の解雇計画は約16万人で前年の13倍にのぼった。23年に入ってからも既に14万人に迫るペースで人員整理が拡大している。

ビッグテックが大量に抱え込んでいた技術者が一斉に転職市場に出たことで、給与水準などの条件面で見劣りしてきた日本企業には思わぬ採用の好機が訪れている。

富士通は欧米や中国に加え、22年にインドやイスラエルに研究所を開設するなど海外での研究員などの採用を増やしている。

インド研究所の開設に伴い、理系大学トップのインド工科大卒業生を中心とした19人を採用した。25年度までに50人の採用を見込んでいたが、23年度中に計画を前倒しして採用を進めている。現在は日本700人、海外で200人の人材を抱える。「将来国内と海外で半数ずつにしていきたい」(富士通研究所の豊田建理事)と、海外での人員増を見込む。

専門人材を獲得しやすいよう、研究職独自の人事制度も設けた。能力に応じて高給を提示することも可能で、外部のトップ研究者の採用につなげる狙いだ。米国の研究所は1月に初めて現地採用の研究員がトップに就いており、海外人材の処遇を厚くするなどして獲得競争に備える。「学生のなかには米ビッグテックへの就職を懸念する声も聞かれる。富士通への関心の高まりを感じている」(豊田理事)

POS(販売時点情報管理)システム大手の東芝テックも、米国内の拠点を中心にソフトウエア開発の担当者を増員する。25年度までに全体で1800人程度と22年度比で約3割増やす計画だ。錦織弘信社長は米国での採用について「今はIT業界が人員削減に動いており、状況が変化している」と手応えを示す。

米国内でも巨大テックからの人材流出が新たな競争環境を作るとの期待は強い。

「最近解雇されて『H1Bビザ』をお持ちの方は、連絡をください」。22年11月、人工知能(AI)スタートアップ「DoNotPay」のジョシュア・ブラウダー最高経営責任者(CEO)はSNS(交流サイト)でこう呼びかけた。

米国にはインドや中国などの技術者が多く滞在するが、解雇されると早期に次の仕事を見つけなければ出国しないといけない。ブラウダ氏の呼びかけに「メッセージを送りました」「まだ採用の意向ですか」などのコメントが続いた。これまでエンジニアの獲得に苦慮してきた異業種やベンチャーが採用強化に動く事例も増えている。

実際、解雇された技術者の大半がすぐに次の仕事を見つけているとの調査もある。

米ジップ・リクルーターが22年10月末に実施した調査によると、テック企業を解雇された技術者らの約8割が就職活動を始めてから3カ月以内、そのうち4割近くは1カ月以内に新たな就職先を見つけていた。

一方、求人数は減少を続けている。求人検索サイト「インディード」に掲載された米国のソフトウエア開発に関する求人広告を指数化したデータ(20年2月1日=100、季節調整後)によると、23年3月半ばには103まで落ち込んだ。22年2月末に230でピークに達した時点から急降下を続け、約1年で求人数は半減した。

(日本経済新聞)

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