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米テック5社、4社が減益 7~9月最終 1週間で時価総額63兆円消滅 景気減速影響、長期化も 2022/10/29

米国経済をけん引してきた米巨大テクノロジー企業の成長に黄信号がともっている。2022年7~9月期は大手5社のうちアップルを除く4社が減益となり、景気減速や競争激化の影響が色濃くなってきた。株式市場では失望売りが広がり、5社の時価総額の合計は1週間足らずで約4300億ドル(約63兆円)減った。足踏みが長引くとの見方が広がっている。

「消費者は買い物に慎重になり、企業もテクノロジーや広告への支出を見直す傾向が強まった」。アマゾン・ドット・コムが27日に開いた決算説明会で、ブライアン・オルサブスキー最高財務責任者(CFO)は事業環境の変化についてこう説明した。

同四半期の売上高は1271億100万ドルとなり前年同期より15%増えたが、特売イベント「プライムデー」の時期をずらした影響が大きい。人件費や燃料費の高騰に伴い本業のもうけを示す営業利益は48%減り、純利益も9%減の28億7200万ドルにとどまった。

アマゾンは電子商取引(EC)に加えてクラウドコンピューティングや広告など幅広い事業を抱えるが、「多くの分野で売上高の伸びが鈍っている」(オルサブスキー氏)。10~12月期の売上高は最大でも8%増の1480億ドルにとどまる見通しを示し、市場予想を下回った。株価は時間外取引で27日終値より一時、20%下落した。

25日に始まったテック大手の7~9月期決算の発表では市場予想を下回る厳しい内容が相次ぎ、株価下落を招いた。

QUICK・ファクトセットによると、5社の時価総額の合計は21日時点では6兆9200億ドル近い水準だったが、27日には6兆4900億ドルを割り込んだ。ピークだった21年12月との比較では3割超の減少となり、S&P500種株価指数全体の時価総額に占める割合は24%台から20%程度に低下した。

JPモルガン・アセット・マネジメントの前川将吾氏は「米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めが業績悪化と株安を招く『逆業績相場』に差し掛かっている」と指摘する。市場では早期の利上げ鈍化を見込む声も出ているが、「鈍化ではなく打ち止めが見えない限り、株価に下押し圧力が続く」(大和証券の壁谷洋和氏)との見方も多い。

テック各社も慎重な見方を強めている。景気減速に伴い広告費を抑制する企業が増え、インターネット広告を収益源とするアルファベット(グーグル親会社)やメタへの向かい風になった。メタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は「23年も経済が安定するか不透明で、保守的な予算を立てざるをえない」と話す。

ドル高も影を落とす。アルファベットは為替変動が売上高の押し下げ要因となり、7~9月期の売上高の前年同期比増加率が5ポイント低下した。同社のルース・ポラットCFOは25日の決算説明会で、「ドル高の逆風が強まっており、10~12月期は影響がさらに大きくなるだろう」と述べた。

さらに深刻なのは競争の激化だ。SNS(交流サイト)では中国発のTikTok(ティックトック)が若年層を中心に利用者を増やし、広告の売上高が急増している。メタの画像共有アプリ、インスタグラムなどと利用者層が重なり、アルファベットの動画共有サービス、ユーチューブとも競合。7~9月期にユーチューブの広告売上高は初めて減少した。

事業環境が厳しくなるなか、アルファベットは成長が続くクラウド市場で投資を拡大し、先行するアマゾンやマイクロソフトを追い上げようとしている。マイクロソフトはゲーム事業、アップルはコンテンツ配信で存在感を高めようとしているが、こうした事業分野の拡大もハードルが高くなっている。

アマゾンはヘルスケア分野の強化を目指して7月に米ワン・メディカルの買収を決めたが、米連邦取引委員会(FTC)の審査を受けている。英競争当局は10月半ば、メタがインスタグラムの強化を狙って20年に買収したスタートアップ企業の売却を命じた。各国でテック大手の独占・寡占への懸念が高まり、M&A(合併・買収)による成長が難しくなりつつある。

(シリコンバレー=奥平和行、古賀雄大)

(日本経済新聞)

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