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米ファンド、中国以外に的 日本向け、対中の2倍に 分散投資傾向が鮮明 2023/03/09

【ニューヨーク=伴百江】米大手投資ファンドがアジア企業の買収先を多様化している。新型コロナウイルスの感染抑止に伴う経済封鎖や米中関係の緊張で中国企業への投資を手控える動きが目立つ一方で、日本は中国の2倍近くに上り、インドなど他のアジア諸国での買収も広がった。投資余力のあるファンドは2023年以降も中国以外で攻めに出る可能性がある。

米S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスの調べによると、2022年のアジア企業を対象にしたM&A(合併・買収)の金額は487億ドル(約6.5兆円)と株式相場が堅調だった21年に比べると大幅に減速した。中国企業対象のM&Aが前年比76%減となる半面、買収先は様変わりした。とくに日本企業への投資は22年に133億ドルと中国の2倍近くに上った。

日本企業の買収が大きく拡大した背景についてS&Pグローバルは「過去3年ほどの間に新規のアジア向けファンドが多く設定され、ドライパウダー(未投資資金)が潤沢になっている」と指摘。米国の金融引き締めが米景気に与える影響を懸念した投資家が日本企業への投資に積極的になっていることも大きいという。

KKRのロブ・ルーウィン最高財務責任者(CFO)は22年10~12月期の決算説明会で、アジア太平洋地域の企業向けファンドの運用資産総額が600億ドルと19年の3倍に拡大したと強調。23年はアジアでの投資を重要な柱に位置づけると表明した。同社は21年に4号目となるアジア向けファンドのほか、インフラや不動産に特化したアジア関連ファンドも設定しており、投資余力が大きい。

日本企業の間で企業統治や収益性の向上機運が高まっており、22年4月には日立物流を60億ドルで買収した。KKRは財務の改善を進める韓国企業や、上場企業の非公開化が相次ぐオーストラリア企業にも積極的に投資している。「アジア企業は(非中核事業や子会社を切り離す)カーブアウトやスピンオフ、企業再編が活発で投資の機会が増えている」という。

カーライル・グループはインド企業への投資を強化している。21年にブラックストーンでインドのプライベートエクイティ事業を手がけてきたアミット・ジェイン氏を幹部に迎えた。今年1月には美容製品・サービス会社VLCCの買収を発表した。05年にインド進出以来、インド企業の買収は44件で総額は55億ドルに達する。

ブラックストーンはアジアでの不動産投資を拡大させている。22年3月には不動産向けで3号目となるファンドを設定。投資家による同ファンドへの出資総額は昨年12月末時点で81億ドルとなり、13年に設定した1号ファンドの2倍に上った。

投資ファンドがアジアでの投資先を分散している背景には、リミテッドパートナー(LP)としてファンドに資金を振り向ける機関投資家の動向がある。米インディアナ大学ビジネススクールのニクラス・フーサー准教授は「年金基金などのLPは22年の市場環境の悪化を経て、投資ファンドに分散投資の必要性をこれまで以上に求めるようになった」と指摘。「中国企業が中心だったアジアでの投資は23年に、より分散される傾向が鮮明になる」と予想する。

一方、中国はすでに新型コロナ関連の規制を大幅に緩和しており、ファンドによる投資も徐々に回復するとみられている。ただ、専門家の間では「当面は中国の国内投資家が中心で、海外勢は米中関係の展開を前にしばらくは様子見になる」(S&Pグローバル)との見方が多い。

(日本経済新聞)

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