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米ファンド、資産1兆ドルへ運用先拡大 債権や不動産に  規制当局は監視強める 2021/11/10

26年までに運用資産1兆ドルを目指すアポロのローワンCEO=ロイター

【ニューヨーク=伴百江】米大手投資ファンドのブラックストーンとアポロ・グローバル・マネジメントが2026年までに運用資産総額1兆ドル(約114兆円)を目指している。従来の未公開株投資に加え、未公開企業が抱える債権や不動産などに急ピッチで投資先を広げる。存在感が高まるなか、規制当局の監視の目が強まる可能性がある。

アポロの運用資産総額は21年9月末で4811億ドルと、前年から11%増えた。7~9月期の投資額は過去最高の280億ドル。21年の年間では810億ドルに達する見通しだ。19年以降からの投資ペースはさらに加速する。

「26年までに運用資産1兆ドルを達成する」。今年3月に最高経営責任者(CEO)に就任したマーク・ローワン氏は10月中旬の投資家説明会でこう宣言した。今後5年で2倍にする目標だ。なかでもアポロが期待するのが「プライベートクレジット」への投資だ。

プライベートクレジットは、未公開企業の社債や資産担保証券(ABS)、リース、貿易ファイナンスなどで一定の金利収入を確保する債権だ。国債などの従来の債券投資に代わる中核の投資先として、「代替投資の中でも最も成長の大きい分野」(ローワン氏)とみている。

22年1月には保険大手アテネ・ホールディングの買収が完了する。マネーが長期で安定的に流入する保険ビジネスをテコに運用資産の拡大をにらむ。保険料収入などでアテネには21年の年初から9月末までで440億ドルの資金が流入した。ローワン氏は「今年年間では550億ドルを見込んでいる」と、買収後の事業拡大に意欲を示す。

アポロより早く、ブラックストーンは18年に「26年に1兆ドル」の目標を掲げた。21年9月末の運用資産総額は7310億ドルと1年間で25%増加。とくに不動産関連の資産は2300億ドルを占め、同社の成長をけん引している。

機関投資家向けだった不動産投資を一般の個人にも広げ、資金流入が拡大している。一般の投資家を対象にした非上場の不動産投資信託(REIT)の「BREIT」だ。商業不動産投資は市場環境の変化に応じて物流やライフサイエンス、エンターテインメントなどに分散投資し、運用利回りの向上につなげている。

BREITの資金流入額は21年7~9月期に79億ドルと四半期ベースで過去最高となった。同社の不動産ファンド全体の流入額160億ドルの半分に相当する。

他の大手投資ファンドも運用資産を拡大させている。KKRは保険会社グローバル・アトランティックの買収に伴い運用資産を21年7~9月期に急激に伸ばした。カーライルも後を追う。

プレキンによると、投資ファンド業界全体の運用資産規模は今年3月末時点で約4兆ドル。今後は「1兆ドルクラブ」入りを狙う大手と、中堅以下のファンドで規模の格差が広がる可能性がある。中小のファンドはニッチな投資案件の発掘などでより違いを出す必要に迫られている。資産規模の拡大に伴い、運用パフォーマンスが伸び悩むという調査結果もある。

投資ファンドの存在感が高まる中で、規制当局による監視の目も強まっている。米民主党を中心に、投資ファンドのレバレッジ(借り入れ)による大型買収を制限したり、ファンドを対象にした優遇税制を撤廃しようとしたりする動きがある。

英国や中国でも投資ファンドの影響力拡大を警戒する向きがある。運用力に加え、今後は投資ファンドの政治力が問われる場面がより増えそうだ。

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