金融、コンサル、外資系の転職・求人なら人材紹介【アスパイア】

無料転職支援・
相談のお申し込み

簡単登録
(入力1分)
信頼度NO.1の人材紹介エージェント
  • pic

    George Roberts, founding partner of Kohlberg Kravis Roberts & Co.,

  • pic

    Blackstone CEO Steve Schwarzman 

投資ファンド業界最新情報

Investment fund industry latest information

米ブラックストーン、買収先選別でインフレ耐性重視 18兆円調達へ、アジア投資拡大にも意欲 2022/04/12

米大手投資会社ブラックストーン・グループが資金調達を加速している。2023年夏までに複数のファンドを設立し、総額1500億ドル(約18兆円)を投資家から集める。ジョナサン・グレイ社長兼最高執行責任者(COO)は日本経済新聞の取材に対し、買収先の選別でインフレ耐性を重視する考えを示した。アジアでの投資拡大にも意欲を示す。

ブラックストーンのグレイ社長はアジア投資拡大に意欲

ブラックストーンの運用資産総額は21年末時点で8810億ドル。プライベートエクイティ(PE=未公開株)や不動産分野で新ファンドの立ち上げを計画する。「26年までに1兆ドル」という中期目標を前倒しで達成する勢いだ。ロシアのウクライナ侵攻で不安定な市場環境にあるが、グレイ社長は「資金調達能力には自信がある」と述べ、投資家の関心は引き続き高いと強調した。

PEは上場株を上回るリターンで年金基金や富裕層など長期投資家をひき付けてきた。とはいえ投資環境は厳しさを増している。グレイ氏は最大の懸念事項としてインフレを挙げた。世界各国の景気刺激策や、エネルギー供給問題によりインフレ圧力が強まっている。「(物価高と低成長が併存する)スタグフレーションに陥るリスクがある」とも指摘した。

創業者スティーブン・シュワルツマン最高経営責任者の後継者と目されるグレイ氏は、18年から社長兼COOとして日常業務を指揮する。同氏は大きなトレンドから収益を得られる企業に投資する方針を掲げ、テクノロジーやライフサイエンスなど従来型のPEが敬遠してきたグロース(成長)分野に資金を振り向けてきた。

グレイ氏は投資先企業のインフレ耐性を重視する。テクノロジーやライフサイエンス関連は原材料高の影響を受けにくい。大きなトレンドをつかんでいれば、中長期的に安定成長が見込める。一方、「投入コスト上昇の影響を受けやすい資本財関連への投資を比較的少なくしている」という。

地域別ではアジア太平洋での投資拡大に意欲をみせた。このほどアジアに特化したPEの2号ファンドを設立し、調達規模は1号の3倍近い64億ドルに達した。同社のグローバルファンドと共同で買収を狙うため、「110億ドル近いバイイングパワー(購買力)を持つ」(グレイ氏)という。

アジア投資で重視するテーマは、買い物や教育など生活のオンライン化だ。インドで電子商取引(EC)物流を担うエクスプレスビーズに出資したほか、日本ではデータセンターに投資した。旅行需要復活を見込み、近鉄グループホールディングスから日本のホテルも買収した。

アジアでは中国との向き合い方が焦点となる。経済規模でいずれ米国を追い抜くとみられ、長期投資先として無視できない。一方、当局による突然の規制導入でテック企業や教育産業が打撃を受けるなど、政策変更リスクは大きい。

グレイ氏は厳格な新型コロナウイルス対策の影響、住宅や資本市場の問題を指摘したうえで、「短期的にはいくつかの逆風に直面する」と述べた。ブラックストーンの中国投資は主に不動産で、とくに物流施設が多いという。中国の内需に焦点をあてつつ、慎重に投資先を選ぼうとしている。

(ニューヨーク=宮本岳則)

(日本経済新聞)

menu