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国際政治経済最新情報

International Political Economy Updates

米中間選挙、下院は共和が奪還 ねじれ議会に バイデン氏「党超え協力」 2022/11/17

【ワシントン=坂口幸裕】米中間選挙は16日までの開票の結果、連邦議会下院で野党・共和党が4年ぶりに過半数を奪還する見通しになった。米主要メディアが報じた。上院は与党・民主党が多数派を維持するのが確実で、上院と下院で多数派が異なる「ねじれ議会」になる。バイデン政権は難しい政権運営を迫られる。

中間選挙は4年に1度ある大統領選の2年後に実施される。任期2年の下院435議席すべてと、任期6年の上院100議席のうちおよそ3分の1にあたる35議席が改選対象。現在は上下両院で民主が多数派を握る。

AP通信によると、米東部時間16日午後10時半(日本時間17日午後0時半)時点で、下院の当選確実は民主が211、共和が218で過半数(218)に達した。改選前は民主が220議席、共和が212議席を持っていた。

下院で多数派を失うことで、バイデン政権は政策にかかわる予算案や法案の成立に共和の協力が欠かせなくなる。バイデン大統領は16日発表した声明で共和下院トップのマッカーシー院内総務に祝意を示し「結果を出すために下院共和党と協力する用意がある」と呼びかけた。

下院は投開票日から8日後まで大勢判明がもつれる異例の展開になった。郵便投票を含む期日前投票が前回2018年中間選挙より2割ほど増え、利用者が多い西部のカリフォルニア州やコロラド州などでこれまでより時間がかかっていた。

事前の世論調査では共和が優位と予測されていた。接戦区が多かったことも想定より遅れる理由になった。選挙分析に定評のある「クック・ポリティカル・リポート」は8日の投開票日の直前に「民主は下院で20議席以上を失うだろう」と分析。民主が200議席を割り込む可能性に言及していた。事前予想に比べ議席は伸び悩んだ。

40年ぶりとなる歴史的な高インフレのさなかで民主にとっては逆風下での選挙戦になるとみられていた。最終盤で根強い人気があるオバマ元大統領を激戦州に相次ぎ送り込んだ。中絶の権利維持や民主主義の危機を訴えて支持層に投票を促すなど総力戦で猛追した。

(日本経済新聞)

米国、4年ぶり「ねじれ議会」 バイデン政権に重荷 米中間選挙2022 2022/11/18

【ワシントン=坂口幸裕】米中間選挙は野党・共和党が連邦議会下院で4年ぶりに過半数を奪還した。上院は与党・民主党が多数派を維持し、米議会は上院と下院で多数派が異なるねじれ議会になった。2024年の次期大統領選をにらむ与野党の対立は一段と激しくなる見通しで、バイデン政権がめざす政策の停滞は世界にも影響を及ぼす。

下院で多数派を失うことで、民主は政策にかかわる予算案や法案の成立に共和の協力が欠かせなくなる。バイデン大統領は16日に発表した声明で「結果を出すために下院共和党と協力する用意がある」と呼びかけた。

下院共和トップのマッカーシー院内総務は米メディアが過半数奪還を報じた直後、自身のツイッターで「米国民は国が新しい方向に向く準備ができており、下院共和も実現する準備をしている」と投稿した。

中間選挙は4年に1度ある大統領選の2年後に実施される。任期2年の下院435議席すべてと、任期6年の上院100議席のうちおよそ3分の1にあたる35議席が今回の改選対象だった。

AP通信によると、米東部時間17日午前4時半(日本時間17日午後6時半)時点で、下院の当選確実は民主が211、共和が218で過半数(218)に達した。改選前は民主が220議席、共和が212議席を持っていた。

下院を奪還したとはいえ、共和は事前予想に比べ伸び悩んだ。15日に24年大統領選への出馬を表明したトランプ前大統領は、激戦州で相次ぎ推薦候補が敗れたことで責任論が浮上する。

党内の有力候補に挙げられるフロリダ州のデサンティス知事やペンス前副大統領の動向が今後の焦点になる。

一方の民主ではバイデン氏が再選出馬に意欲を示すものの、20日に80歳の誕生日を迎える高齢への不安は消えていない。23年初めにも自身の対応を判断する構えだ。

上院は非改選議席を含めて民主が50議席、共和が49議席を確保した。12月に決選投票を実施する南部ジョージア州で共和が勝利しても現在の上院の構成と同じ50対50になり、上院議長を兼ねるハリス副大統領が1票を持つため民主の多数派維持が固まった。上院は大統領が指名した政府高官や裁判所判事を承認する権限を持つ。

上院民主は金融・財政政策や気候変動対策など主張が異なる議員の寄り合い所帯で、中間選挙前には与党から異論が出てバイデン政権が掲げた政策を決められない事態に陥った。

これまで円滑に予算や法案の審議が進んでいた下院で共和が主導権を握ることで政策実現のハードルは一気に上がる。

共和からはロシアが侵攻するウクライナへの支援縮小論が出る。物価高などで生活が厳しくなった米有権者から、多額の予算が同国に向かう現状への不満がくすぶるためだ。

共和内にはインフレ緩和には自国でシェールガスを増産すべきだとの声が出ている。気候変動対策を重視する民主のリベラル派を抱えるバイデン氏は難しいかじ取りを迫られる事態も想定される。

民主にとっては40年ぶりとなる歴史的な高インフレでバイデン氏の支持率は40%台前半に低迷する逆風下での選挙戦とみられていた。人工妊娠中絶の権利維持や民主主義の危機を訴えて上院で多数派を維持したものの、下院は及ばなかった。

今回の中間選挙は郵便投票を含む期日前投票が前回18年中間選挙より2割ほど増えたため、これまでに比べて大勢判明までに時間がかかった。接戦区が多かったことも想定より遅れる理由になった。

▼ねじれ議会 両院制や二院制をとる国の議院・議会で、多数派の政党が分かれた状態を示す。米国では大統領の政党である与党と、連邦議会の上院か下院、または上下両院の多数党が異なる場合を指し「Divided government(分割政府)」とも呼ばれる。政権与党は法案成立に野党の協力が不可欠になり、政策決定に制約が生じる。

米国では過去にもねじれ議会が繰り返されてきた。特に4年に1度ある大統領選の2年後に実施される中間選挙では政権政党が苦戦して議席数を減らし、野党による議会過半数の奪還を許すことが多かった。大統領選に比べると投票率が低く、現政権に不満を持つ有権者ほど投票に足を運ぶ機会が増えるためなどとみられる。

共和党のトランプ前政権では2018年の中間選挙で下院の多数派を民主党が奪還し、ねじれ議会となった。トランプ氏は大統領就任後の2年間で大型減税法の成立にこぎ着けたものの、中間選挙後は内政が停滞した。任期後半では対中国や対北朝鮮政策など、議会の制約を受けにくい外交や安全保障の政策に軸足を置いた。

(日本経済新聞)

米国の二極化映す接戦 内向き傾斜、対中国・ロシアに隙 2022/11/18

米国の中間選挙は与党・民主党が議会上院の支配を保つ一方、下院で少数派に転落した。事前の完敗予想を覆したとはいえ、政治を左右に引き裂く二極化の勢いは続く。2024年の大統領選に向けてバイデン政権はなお内向きに傾く米社会と直面せざるを得ない。米民主主義が衰退すれば国際秩序の混沌を招く。

「最重要課題は外交」、わずか2%
政治の二極化と社会の内向き志向は米国のなかで増幅し合う。有権者の関心は極論がぶつかる対立に集中し、国全体が「世界の課題より国内の問題解決」という内向きへの回転を強めるためだ。AP通信の出口調査によると米国が直面する最重要課題について有権者の47%が「経済・雇用」を挙げたのに対し、「外交」は2%だけだった。

「選挙否定論者」。選挙期間中、最も流行した言葉だろう。代表格は共和党からアリゾナ州知事選に挑み、敗れた元テレビキャスター、キャリ・レーク氏。陰謀論と批判されても無視し、20年大統領選でのトランプ前大統領の敗北を認めない人々だ。

特殊な存在ではない。AP通信の出口調査に対し、有権者の3分の1はバイデン大統領が正当に選ばれたと思わないと答えた。選挙を否定するトランプ主義が共和党を覆い、民主党は人工中絶の権利や気候変動対策を絶対視する急進左派が力を持つ。

事前に予想された民主党の「大敗」はなく、選挙否定論者を拒む米国の民意の平衡感覚がある程度、働いた。だが中道派が力を取り戻したとまではいえない。

政治の二極化に振り回される米国を待つのは民主主義陣営と権威主義陣営がぶつかり、激変する世界。米国が国際秩序に混沌をもたらす存在にさえなりかねない。

対ロシア包囲網にほころび
ロシアがウクライナ侵攻という暴挙を続けるなか、共和党下院トップのマッカーシー院内総務はウクライナ支援の縮小論をぶち上げた。物価高に苦しむ支持者の中に多額の海外支援への不満がくすぶるためだ。国際的な対ロ包囲網にほころびを生じさせる火種が米議会にくすぶる。

中国との対立は世界を巻き込む。習近平(シー・ジンピン)体制が異例の3期目に入った中国について、米国は「国際秩序を再構築する意図を持つ唯一の競争相手」とみなす。その対中観は米国が党派を超えて共有する数少ない認識だといっていい。

米国の対中競争の本質は、米国内の産業や雇用を最優先する「米国第一」にほかならない。バイデン氏は14日に習氏と会談し、対話継続に合意した。とはいえ議会での政策実現が困難になれば、大統領権限の大きい外交に活路を求めて対中姿勢をさらに硬化させる可能性がある。

先端半導体などハイテクを主戦場にした米中の「新冷戦」が日本や欧州をさらに巻き込むシナリオが現実味を帯びる。そうなれば多国間主義に基づく戦後国際秩序の再構築を加速することも迫られるだろう。

米衰退のシグナル、権威主義に隙
国際社会の政策協調は試練が続く。バイデン政権はトランプ前政権が離脱したパリ協定(温暖化対策の国際枠組み)に復帰した。中間選挙を受けて米国の温暖化対策が再び後退すれば、ただでさえ難しい政策協調の枠組みは大きく揺らぐ。

ロシアのウクライナ侵攻、台湾海峡を巡る緊張、北朝鮮の核の脅威と安全保障上の緊張が続いている。米政治の二極化により、世界が米国を信頼できる予測可能なリーダーとみなすことが難しくなれば、脅威を抑え込むタガは緩む。

脅威を防ぐ抑止力とは「能力と決断とシグナルのかけ算」であり、どれか一つ欠けてもゼロになる――。元米軍幹部の有名な言葉だ。中国やロシアが「米国衰退のシグナルがある」と受け止めるだけで、権威主義の台頭を許す間隙は広がってしまう。

米民主主義の危機を許せば、リスクは世界へと拡散する。

(ワシントン支局長 大越匡洋)

(日本経済新聞)

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