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米動画視聴、配信が主役に 利用時間CATV・地上波超え コロナ禍機にシフト 値上げ増、客離れ懸念も 2023/09/10

【シリコンバレー=中藤玲】米国の動画市場でケーブルテレビ(CATV)から配信サービスへのシフトが加速している。1世帯で加入する配信サービスが平均4つまで増え、負担軽減のためにCATVを解約する人が増加した。主戦場となった配信では各社が値上げによる収益確保に動き、消費者が加入先を絞り込むとの指摘も出始めている。

米西海岸ロサンゼルスに住むリサ・ナダーさんは最近、CATVを解約した。ネットフリックスのほか子ども向けアニメが多い「ディズニー+(プラス)」、夫がプロフットボールを見るための「プライムビデオ」など、加入する配信が6つに膨らんだためだ。「配信はCMがなく、テレビとスマートフォンの両方で見られて便利」と話す。

新型コロナウイルス禍での巣ごもりを機に、ハリウッド映画から海外ドラマまで見放題の配信へのシフトが一気に進んだ。米調査会社ニールセンによると、2023年7月のテレビ総視聴時間に占める割合は配信が38.7%で最も高く、CATVと地上波の合計が初めて5割を切った。

「コードカッター」。地上波よりも主流のCATVのコードを切って契約をやめ、配信に乗り換える人をそう呼ぶ。大手コムキャストなどがインターネットとCATVの一体型プランを提供するが、月80ドル(約1万1700円)以上と高く、安価な配信に移っている。

コードカッター自体は10年前から存在する言葉だが、CATVを契約したままネットフリックスだけに加入する人も多かった。

足元では、配信を多重契約する人が増加している。配信利用者の24%が1年前より3つ以上多いサービスに入ったという調査もあり、CATVをやめる動きが加速。米モフェットネイサンソンによると、CATVや衛星放送などの加入者数のピークは10年ごろの約1億世帯で、最近は6000万を切る。世帯普及率は過去約40年で最低水準だ。

日本でも存在感を増す配信サービス。米国ではコロナ禍の反動や節約志向などで配信同士の競争が激しくなり、逆風も吹き始めた。

ネットフリックスの4~6月の北米会員数は、3月末に比べて2%増にとどまった。米ウォルト・ディズニーの「ディズニー+」は1%減り、米ワーナー・ブラザース・ディスカバリーの「Max(マックス)」も2%減った。

配信はコンテンツの獲得やマーケティングコストといった先行投資が重い。市場の拡大期には安い会員料金で加入者数を伸ばすことを最優先にしてきたが、ディズニーは配信の営業赤字が続くなど、継続的なビジネスモデルとしては成り立ちづらい。

サービスの要となる独自コンテンツについても、動画配信番組の報酬還元を求めて脚本家たちがストを決行し、製作が全面的に中断して130日が過ぎた。交渉の行方次第で、企業側にとってはコンテンツの調達費用の上昇もコストプッシュの要因となる。

各社は収益確保に向けて、相次いで値上げに動く。ディズニーは10月から広告なしプランを3ドル高い13.99ドルに上げる。この1年間で2度目となり、19年の開始時に比べると約2倍だ。ネットフリックスも7月、広告がなく最も安いプラン(9.99ドル)の新規加入を米国と英国で廃止。ワーナーと米アップルも、それぞれ初めて米国で値上げした。

多重契約と値上げの結果、1世帯あたりの配信合計額はCATVと肩を並べつつある。米家計調査サイトが1千人を対象にした調査では、7月時点で米国の4人に1人が動画配信に月75ドル以上を支払う。各社の値上げで、さらに計10ドル前後の負担が増えそうだ。

米デロイトはデジタル・メディア・トレンドに関する報告書で「利用者の半数近くは配信への支払いが多すぎると感じ、約3分の1は契約数を減らす意向だ」と指摘する。見たい番組に応じて毎月サービスを乗り換える人も出始めた。今後値上げに頼りすぎると客離れを起こしかねず、各社の思惑通りに収益確保につながるかは不透明だ。

(日本経済新聞)

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