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米金融大手7000人規模削減 ゴールドマンやモルガン・スタンレー、経費見直し「拡大」に転機 2023/01/19

【ニューヨーク=斉藤雄太】米大手金融機関の拡大路線が転機を迎えている。2022年12月期は投資銀行事業が主力のゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーの純利益が前の期比3~5割程度減り、大規模な人員削減を実施。直近2カ月ほどで判明した米金融大手の雇用削減は7000人規模に上る。先行き不透明な経営環境で経費の抑制を急ぐ。

「20年後半から21年にかけて資本市場を介するビジネスの環境は正常ではなかった。大規模な財政刺激策で多くの(資金調達などの)活動が前倒しで過剰に行われた」。ゴールドマンのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は、減益となった前期決算の理由をこう釈明した。

足を引っ張ったのは投資銀行だ。20年春の新型コロナウイルスの流行後、米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和などで株高・金利低下が進み、企業の資金調達やM&A(合併・買収)が活発になった。企業を支援する手数料が拡大し、ゴールドマンやモルガン・スタンレーは21年12月期に最高益を記録した。

22年12月期は一転、FRBの金融引き締めや市場の混乱で投資銀行の事業は縮小した。金融情報会社リフィニティブによると、世界全体の投資銀の手数料収入は前年比3割強の減少とリーマン危機のあった08年以来の落ち込みとなり、米銀大手に強い逆風となった。

投資銀行は23年も厳しい状況が続きそうだ。ゴールドマンのソロモンCEOは「資産価値の大きな変化に人々が適応するには経験上、(調整が始まってから)1年~1年半はかかる」と指摘。資金調達やM&Aが再び活発になるまでは少なくともあと3~6カ月は必要との認識を示した。

ゴールドマンは前期に不良債権処理などに備える与信費用を前の期比7.6倍の27億ドル計上した。JPモルガン・チェースなど商銀主体の大手4行も合計で157億ドルを計上した。23年の米景気は「緩やかな不況になるかもしれないし、そうでないかもしれない」(JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEO)と先行き不安がくすぶる。

17日までに出そろった米銀大手6行の前期決算は純利益がそろって減少した。金利上昇による利ざやの改善で商銀主体のJPモルガンとバンク・オブ・アメリカは相対的に減益幅が小さかった。

各社は経費の見直しを急ぐ。ゴールドマンは決算説明会で1月に従業員の約6%に相当するおよそ3200人を削減したと正式に表明した。「通信費やテクノロジー関連費、広告費などの削減にも積極的に取り組んでいる」(デニス・コールマン最高財務責任者)

同社は直近3年間で人員を1万人以上(3割弱)増やし、投資銀行事業のシェア拡大や消費者金融ビジネスの強化を進めてきた。収益が伸びている局面では目立たなかった経費の急増が足元で浮き彫りになっている。収入に対する経費の割合を示す効率性比率は急速に悪化。22年の同比率は65.8%と目標とする60%を大幅に上回った。

モルガン・スタンレーも22年12月に全体の2%にあたる約1800人の削減に踏み切った。ジェームス・ゴーマンCEOは「人員の適正化に関して我々はここ数年、何も手を打たなかった。少し遅れていた」と語った。

人員削減を急ぐ金融大手は投資銀主体の2社だけではない。米メディアはカストディー(資産管理)業務大手のバンク・オブ・ニューヨーク・メロンが23年中に従業員の約3%にあたる1500人規模の人員削減を計画していると報じた。

住宅ローン需要が冷え込み、ウェルズ・ファーゴは1月に同事業を大幅に縮小する計画を公表し、22年10~12月期に3億5300万ドルの退職金費用を計上した。

(日本経済新聞)

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