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米銀、強まる「一人勝ち」 前期は大手4行が最高益 M&A助言など好調  市場に変調、逆風も 2022/01/21

【ニューヨーク=宮本岳則】世界の金融機関で米大手銀行の強さが際立っている。主要6行の2021年12月期決算は、JPモルガン・チェースなど4行が過去最高益を更新した。活発なM&A(合併・買収)の助言業務でシェアを伸ばし、米国内の富裕層ビジネスも好調だった。今期もIT(情報技術)や人材関連で攻めの投資を続けるが、足元の株価変調や過度なインフレが逆風になるリスクもある。

19日までに出そろった21年12月期決算ではJPモルガンに加え、バンク・オブ・アメリカやゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーが過去最高の純利益を記録した。米国の景気回復で貸倒引当金の戻し入れが発生し、企業の攻めの投資から恩恵を受ける投資銀行業務も好調だった。収益面で英HSBCなど欧州大手銀や日本のメガバンクとの差が広がり、米銀1強の構図が強まる。

米銀の強さには構造的な要因がある。M&Aの助言、株式や債券の引き受けといった投資銀行部門は北米市場が最大だ。米銀は圧倒的な地位を占め、21年のM&Aブームの追い風を受けた。母国市場での高い収益力を背景に、欧州やアジア事業を強化している。金融情報会社リフィニティブによれば米銀5行の手数料シェアは世界で3割に達し、16年以降で最も高くなった。

「EMEA(欧州・中近東・アフリカ)と北米は非常に好調だ」。シティグループのマーク・メイソン最高財務責任者(CFO)は14日の決算説明会で手応えを口にした。低収益の海外リテール部門のリストラを進める一方、投資銀行事業ではヘルスケアやテクノロジー分野のバンカーを増員している。

経営体力で劣る欧州勢はトレーディング事業の縮小に動く。クレディ・スイスは昨年、ヘッジファンドに取引機能を提供する「プライムブローカレッジ」業務からの撤退を発表した。ドイツ銀行は株式取引事業から撤退済みだ。米銀は08年のリーマン危機後の規制強化に苦しんだ時期もあったが、20年以降のトレーディング活況で息を吹き返し、残存者利益を享受している。

伝統的な商業銀行ビジネスでも米銀は優位な立場にいる。米銀のリテール部門はクレジットカード事業の構成比が大きく、利ざやが稼ぎやすい。新型コロナウイルス禍を受けた米政府の財政支出効果で米個人の消費意欲は強い。

FRBの金融政策の正常化もプラスに働く。金利上昇によって、貸付利息や有価証券利息の収益が増えるからだ。バンカメのアラステア・ボースウィックCFOは19日の説明会で「22年の純金利収入は21年対比で増える」と述べた。

もっとも22年12月期は不透明感が増している。金融政策の正常化は金利収入にプラスとなる半面、米景気鈍化や市場の混乱で企業活動が鈍る恐れがある。投資銀行業務が21年の米銀決算を支えていただけに、22年の増益のハードルは高い。

それでも米銀が攻めの手を緩める様子はない。JPモルガンは14日、22年の非金利費用が前年比9%増の770億ドルに膨らみそうだと公表した。IT関連に120億ドルを投じるなど、今後の収益源の確保に向けた積極策を続ける。

バンカメは今期、既存業務向けのIT支出とは別に、新技術の開発資金として35億ドルを振り向ける。ボースウィックCFOは「デジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させる」と話した。米決済大手ペイパル・ホールディングスなどフィンテック勢が台頭し、今後も投資増で競争力の維持を狙う。欧州銀や邦銀にとって米銀の背中は遠く、投資スタンスの差で格差が一段と広がる可能性もある。

(日本経済新聞)

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