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米IT、ヘルスケアに照準 GAFAM、特許出願10年で10倍 技術蓄積し囲い込み 2022/05/24

マイクロソフトやアップルなど米IT(情報技術)大手5社の特許情報を専門家の協力を得て分析すると、ヘルスケアのデジタル化を見据えて技術を蓄積する姿が浮き彫りになった。関連の出願は2000年代に比べて10年代には約10倍になった。健康管理や遠隔診療などでデータや顧客の囲い込みを急ぐ。27年に市場規模は16兆円とも推定され、どこでも診断や治療ができる将来を目指す競争が進む。

調査は特許分析の専門家でつくるIPL経営戦略研究会の協力で実施した。同研究会は知財分析を経営に生かす取り組み「IPランドスケープ」の第一人者として知られる知財ランドスケープ(東京・中央)の山内明最高経営責任者(CEO)が代表を務める。
グーグル親会社のアルファベット、アップル、メタ(旧フェイスブック)、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフトのIT大手5社(GAFAM)とその関連会社が出願し公開された約13万件の特許出願情報を分析した。
近年力を入れるのが、医療や健康といったヘルスケア関連のデジタル化に関わる分野だ。10年代からヘルスケアとの直接の関わりが薄かったIT大手の特許出願が増えた。それまでは年間10件弱にとどまっていたが、10年からの10年間は平均100件程度に増えた。

分野ごとにみると、生体情報を集めるバイタルセンシングが累計800件と16年からの5年間で34%増えた。遠隔医療や電子カルテなどを含む医療ICT(情報通信技術)が227件と50%増、人工知能(AI)による解析技術などバイオICTは78件と63%増えた。
各社が目指すのはヘルスケア市場の取り込みだ。今後デジタル化が本格化すると見込まれる。市場調査データを扱うグローバルインフォメーションによると、ヘルスケアITの市場規模は21年から毎年平均7.7%成長し、27年には1251億ドル(約16兆円)にのぼるという。
米ベンチャーキャピタル最大手のアンドリーセン・ホロウィッツは遠隔医療などのデジタル化を「ヘルスケアが建物(病院)を去って、私たちの住む場所や働く場所に向かっている」とし、20年代がヘルスケアの時代になると予測している。
特許の数でみるとマイクロソフト、アルファベット、アップルが3強だ。マイクロソフトやアルファベットは病院や薬局の運営母体や製薬会社などヘルスケアを手掛けてきた企業との協力を進めている。「データや顧客を囲い込むほか、関連技術を持つスタートアップの買収や提携、人材獲得にも積極的だ」(分析を担当した知財アナリストの梶間幹弘氏)

マイクロソフトはビジネスチャット「Teams(チームズ)」やクラウドサービス「Azure(アジュール)」などを活用した医療機関向けのサービスを展開している。21年4月には医療用の音声AIに強みを持つニュアンス・コミュニケーションズを197億ドルで買収すると発表し、22年3月に買収を完了するなどヘルスケア分野に力を入れている。
遠隔医療や電子カルテなど医療機関が使う技術に強みがある。患者が自宅などで取り組む食事療法や運動療法の効果を患者の活動データなどから把握してAIで分析し、治療計画を見直す特許出願が18年に公開された。電子カルテの情報を自動で要約して患者本人に送る技術のほか、健康状態や運動能力などの情報をアバターに持たせて、医師との意思疎通を円滑にする技術も持つ。
アルファベットは傘下にグーグルや医療ITのベリリー、バイオ医療向けのAI技術も優れた英ディープマインド、21年に買収を終えたウエアラブル端末大手のフィットビットを抱える。医療機関寄りの特許が多く、例えばAIでコンピューター断層撮影装置(CT)などの医療画像からがんを検出する技術や、電子カルテから患者の将来の健康状態を予測する技術などを出願した。
製品化を表明した消費者向けの技術も注目を集める。グーグルは22年5月11日、スマートウオッチなどと呼ぶ腕時計型端末の販売に乗り出すと発表した。フィットビットの技術を活用する計画だというが、自前でも関連技術を出願している。
例えば上半身の動きを靴に付けたセンサーで把握する技術や、スマホで睡眠時の体の動きや心拍数、呼吸などを監視する技術の出願がある。フィットビットは指輪型のセンサーを出願している。
アップルは心電図など健康状態も把握できる「アップルウオッチ」を販売しており、スマートウオッチで先行する。特許分析からも消費者に近いバイタルセンシングなどの技術分野に強みを持つことが分かる。ワイヤレスイヤホン「エアポッズ」に似たイラストが例示され、イヤホンで体温を測る技術が21年に公開された。
22年3月に公開された「ウエアラブルタグ」は衣服や体の様々な部位に取り付けて、姿勢の確認、日光の量の把握、転倒検知などに使えるという。スマートフォンで空気中の微粒子を検出し、空気の状態を把握するための関連技術も複数出願している。梶間氏は「アップルはほかの4社より自前技術が多い」と指摘する。

(日本経済新聞)

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