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米KKRとSBIが新会社 プロ向け投信、24年にも個人販売 2023/09/11

海外の大手投資ファンドが日本の個人運用資産を開拓している。米KKRはSBIホールディングス(HD)と新会社をつくり、プロ向けの投資信託を日本の個人に提供する。米ブラックストーンも海外の不動産ファンドの販売を始めた。約2000兆円の日本の個人金融資産に照準を定めている。

KKRとSBIHDは2023年度中をめどに共同出資会社をつくる。KKRが海外の富裕層向けに販売するファンドをもとに、日本向けに投資信託を組成して売り出す。新会社の出資比率は未定だが、SBIHDが過半となるもようだ。

KKRはプライベートエクイティ(PE=未公開株)や不動産などへの投資を手がける世界大手だ。こうした分野はオルタナティブ投資と呼ばれ、一般に上場株や債券などよりも高い利回りが期待できる。最低購入額が数億〜十数億円など制限が多いため、年金基金など機関投資家に限定されていた。

第1弾はプライベートデットと呼ぶ、企業に融資したり、債券を購入したりするファンドになるようだ。変動金利商品のため、金利上昇局面でも価値が下がりにくいとされる。24年度上半期までの販売開始をめざす。

最低投資額は300万〜500万円程度に抑え、購入後は四半期や月単位で現金化できるようにする方向だ。購入・解約の手続きは日本語で対応する。

SBIHDは傘下の証券会社や銀行を通じ、富裕層を中心とする個人にファンドを販売する。提携関係にある地方銀行など、規模の小さい機関投資家にも提供する。運用資産残高は3年間で1000億円程度をめざす。

海外ファンドにとって、日本の潤沢な個人金融資産は魅力的に映る。仏コンサルティング会社キャップジェミニの22年の調査では、日本の富裕層資産の現預金比率は34%。世界平均の24%を上回る。日本の個人金融資産は約2000兆円で、約半分が現預金だ。

米ブラックストーンは22年、野村証券と組んで海外不動産ファンドを公募投資信託の形で販売し始めた。23年には大和証券とプライベートデットファンドの提供を始めた。

米アポロ・グローバル・マネジメントは22年に三井住友トラスト・ホールディングスと提携し、国内個人向けの商品開発を検討する。米ゴールドマン・サックスも日本の個人向けファンド販売を準備中だ。KKRは個人開拓のため、SBI以外にも提携先を広げる考えだ。

政府は資産運用立国を掲げており、海外の投資会社も日本での事業拡大に関心を強めている。ブラックストーンは3月、KKRは7月にそれぞれ首脳が首相官邸を訪ね、岸田文雄首相と面会した。政府は海外ファンドの参入を促すための規制緩和を検討している。

国内運用会社がオルタナティブ投資を広げ、個人に提供する動きは乏しい。国内勢にとっては海外ファンドに身近な潜在顧客を奪われる形となる。海外勢の取り組みは国内運用会社の機能の高度化という課題も突き付けている。

(和田大蔵、日高大)

(日本経済新聞)

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