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米KKR幹部「日本はアジア最大の投資先に」 再編に商機 2023/10/16

ネイト・テイラー KKRプライベートエクイティ共同責任者 

米大手投資ファンドKKRのプライベートエクイティ(PE=未公開株)投資部門で共同責任者を務めるネイト・テイラー氏は日本経済新聞の取材で「今後アジアにおいて日本は最大の投資先になる」と述べた。現在の日本経済が「(PE投資が拡大した)1970〜80年代の米国と多くの類似点がある」とし、投資機会の拡大に期待を示した。

――日本での投資方針は。

「2006年に東京事務所を開設して以来、自己資金による国内運用会社の買収を含めて累計で約180億ドル(約2兆7000億円)投資した。足元で投資機会が増えており、私も来日する頻度が増えた。今後アジアにおいて日本は最大の投資先になる可能性がある」

――日本で投資機会が増えているのはなぜですか。

「大手企業がノンコア(非中核)事業や子会社を売却する動きが活発化しており、PEファンドがその受け皿となっている。日本で資本効率やガバナンス(企業統治)を重視する経営者が増えたことが大きい」

「現在の日本は1970〜80年代の米国市場と類似点がある。当時米国には多くのコングロマリット(複合企業)が存在した。株式市場がガバナンスを重視するにつれて、経営者がノンコア事業を切り離す利点を認識するようになり、PEファンドの投資機会が増えた」

――政府は資産運用特区を設置し、海外の運用会社の参入を促す方針です。KKRにとって競合が増える恐れがあります。

「日本で20年近く活動しており、高い実績や認知度がある。米国では約50年間活動してきたが、競争はもっと厳しい。むしろ今後日本でノンコア事業の切り離しなどが活発化すれば、投資機会には事欠かない」

――世界では金利上昇の影響でM&A(合併・買収)が低調です。今後の見通しは。

「金利高の影響で買収時の資金調達が難しくなっていた。ただ23年後半に入り、回復基調にある。資金調達環境が改善したほか、売り手側と価格目線が合いやすくなった」

――日本もインフレ局面に入り、金利が上昇する可能性があります。低利での調達が難しくなれば、投資活動にも影響があるのでは。

「足元の日本のインフレは健全な水準だ。資金調達コストは上昇するが、これまでも企業を成長させて価値を高めた実績があり、低金利に頼った投資はしていない」

――中国では景気後退が懸念され、地政学リスクも高まっています。今後、新規投資に慎重になるのでは。

「中国は巨大な経済圏であり、重要な市場だ。たしかに景気や当局規制などの課題はあるが、こうした環境でどう投資するか考える必要がある。消費関連産業などではKKRが世界で培ったノウハウを生かせる」

――世界でPEファンドの投資先企業の破綻が目立ちます。

「KKRは現在、約200社超、金額で約1700億ドルの企業に投資している。これだけ投資先が多いと、何らかの問題を抱える企業も出てくる。問題が深刻化しないよう早めに対策しており、投資先全体では健全な状態だ」

「PEファンド業界全体でみれば、金利上昇の影響を受けている。今後は影響を軽減する知見があるかどうかで、ファンド間の運用成績が分かれる」

(聞き手は和田大蔵)

(日本経済新聞)

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