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純利益34年で7倍 プライム1500社、23年44兆円 トヨタや商社けん引 ROEは米欧に見劣り 2024/02/23

日経平均株価が34年ぶりに史上最高値を更新した。日本の主要企業の純利益はバブル経済時の1989年から約7倍に拡大。海外で稼ぐグローバル企業の成長が原動力となった。自己資本利益率(ROE)をみてみると、借入金に偏った資金調達も見直され、製品やサービスの付加価値を高め収益を伸ばす経営が根付いてきたことが分かった。

日経NEEDSのデータを使い、日本経済新聞が東証プライム上場企業(21年以前は東京・名古屋・大阪1部上場、変則決算や親子上場の子会社など除く)を対象に集計した。23年の場合は同年1~12月期決算の企業を対象とするなど決算期末ベースで年間業績をまとめた。

23年は約1500社(金融含む)の純利益合計が約44兆2000億円と過去最高になった。日経平均がかつて最高値を付けた89年は約950社の合計で約6兆3000億円だった。単純比較で約7倍に拡大した。

純利益額の上位の顔ぶれを見ると、日本企業の栄枯盛衰が浮かび上がる。目立つのは人口減少や少子高齢化で国内需要が頭打ちとなるなか、積極的に海外進出した企業の躍進だ。

首位のトヨタ自動車は純利益の伸びで2位のNTTを上回る。トヨタは90年代ごろから海外に生産拠点を拡大し、北米や新興国などを開拓した。23年の「トヨタ・レクサス」ブランドの販売台数は日本が過去10年で6%増にとどまるのに対し、海外は17%増えた。24年3月期も値上げや円安効果で最高益を見込む。

89年に上位圏外だった三菱商事や三井物産など総合商社大手5社はそろって20位以内に浮上した。信越化学工業は景気後退局面でも米国で塩化ビニール樹脂の生産能力増強を続け、米住宅市場拡大の波に乗った。海外売上高比率は13年3月期の67%から23年3月期には81%に上昇した。89年の78位から23年は10位に躍進した。

89年に上位20社のうち9社がランクインした金融は、23年には三菱UFJフィナンシャル・グループとみずほフィナンシャルグループの2社に減った。銀行はバブル崩壊後に不良債権処理に追われ、金利低下による利ざや縮小も経営を圧迫。合併や経営統合で生き残りを図った。

日本企業の稼ぐ力は着実に高まっているが、株主から調達した資金でどれだけ効率的に利益を出せたかを示すROEは、89年(金融など除く)の8.6%から23年の9.2%と伸び悩んでいる。

ただROEの中身は様変わりした。ROEは(1)売上高純利益率(収益性)(2)総資産回転率(資産の活用度)(3)財務レバレッジ(負債の活用度)――の3つに分解できる。バブル期の日本企業は資金調達を銀行などからの借り入れに頼り、財務レバレッジが4倍だった。バブル崩壊後に債務の圧縮が進み、23年には2.5倍まで下がった。

代わりに純利益率は1.9%から5.1%に上昇した。「雇用・設備・債務の『3つの過剰』が解消し、製品やサービスの付加価値を上げてマージンを拡大するまっとうな経営になった」(ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジスト)。日本製鉄は鋼材品質の向上を武器に値上げを浸透させ、経営統合前の12年3月期に3%だったROEを23年3月期に18%まで高めた。

もっとも米欧の主要企業のROEは2ケタ台と先を行く。日本は純利益率で見劣りし、総資産回転率も0.7回と89年(1.1回)から悪化している。ニッセイ基礎研の井出氏は「余剰資金を積極的に成長投資に振り向け、さらにマージンを拡大させる好循環に結び付けられるかが資本効率改善のカギを握る」と指摘する。

(日本経済新聞)

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